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 介護保険 Q&A Q7・ケアプラン 

      申請訪問調査要介護認定介護サービス計画
 Q7 ステップ四 介護サービス計画(ケアプラン)をつくる

   介護認定の結果の通知がきますと、自宅でサービスを受けるのか、施設を利用するかをまず決めます。

施設は、

 在宅を選ぶ場合は、介護サービス計画をつくります。
 施設を選ぶ場合は、利用する施設で介護サービス計画をつくってもらい、それに基づいた介護を受けます。

 また、どの事業者の在宅サービスを利用するか、具体的にどの施設を利用するかも介護支援専門員(ケアマネージャー、後述)と相談して選ぶことができます。 

(1)自由に在宅か施設かを選べるのか?
施設は「要介護」と判定された場合のみ

 もし、要介護認定で「自立」と判定されたら、サービスは受けられません。

 在宅サービスは、「要支援」以上に判定されてはじめて利用できます。
 要支援の段階では、施設サービスは利用できません。
 施設サービスは「要介護度一」以上に判定されたとき利用できます。
 ただし、施設を希望しても、満員で待機しなければならないこともあります。

(2)介護支援専門員(ケアマネージャー)とは?
介護サービス計画を作る専門家

  介護支援専門員とは、介護サービス計画を、家族や本人と相談してつくる専門家を言います。
 現場での実務経験者を対象に試験が行なわれ、その合格者は2日間の研修(3日ずつ2回)を受け、その修了者に資格が与えられます。
 1998年9月に初めての試験があり20万7080人が受験し、9万1269人(44.1%)が合格。
 1999年には7月25日に試験がありました。次のような専門職でその仕事を5年以上経験した人が受験資格を持っています。

  医師、 歯科医師、 薬剤師、 保健婦(士)、 看護婦(士)、 理学療法士、    作業療法士、 社会福祉士、 介護福祉士、 あんまマッサージ指圧師、 はり師、  きゅう師、 管理栄養士、 栄養士、 義肢装具師、 言語聴覚士、 歯科衛生士、  視能訓練士、 柔道整復師、 精神保健福祉士など。

  主な合格者は、看護婦・准看護婦(33.5%)、介護福祉士(11.2%)、ケースワーカーおよび介護業務従事者(10.6%)、保健婦(10.3%)、医師(9.7%)、薬剤師(9.2%)その他となっています。

 厚生省は介護支援専門員の必要人員を4万人(常勤換算)と見込んでいます。

(3)介護サービス計画(ケアプラン)の作り方は?
医療の処方せんのようなもの

   医療では、医師が「処方せん」をつくり、それに従って治療・投薬がおこなわれます。同じように、介護保険においては「介護サービス計画」に従って介護サービスが提供されます。

 この介護サービス計画は、要介護認定の結果にしたがって、介護支援専門員が家族やお年寄り本人と相談してつくります。

 介護支援専門員が家を訪問して、お年寄りの状況を調べ、お年寄り本人、家族と相談し、たたき台としての介護サービス計画を示し、家族や本人と相談して決めます。

 たとえば、「あなたは要介護度三で、最高27万4千円分のサービスが受けられます。どんなサービスを利用されますか? ホームヘルパー、デイサービス、入浴サービス、訪問看護をどう組み合わせて利用しますか?」と尋ねながら、介護サービス計画をつくります。

介護サービス計画をつくる流れ
 1  介護サービス計画作成依頼。
(居宅介護支援事業者・介護支援専門員のいる施設)
 2 訪問調査をし要介護者の状況を把握する。
(介護支援専門員)
 3 調査結果を基に介護サービス計画を作成。本人の承諾を得る。本人や家族も参加可能。(ケア検討会議)
 4 介護サービス提供事業者・施設と連絡や調整を行い、
サービスが継続的に利用できるようにする。

(注)居宅介護サービス計画費(介護サービス計画作成費・連絡調整費)は、介護保険から全額給付を受けられます。

 このように申請から一ヶ月をメドに要介護認定の結果が本人や家族に通知され、その後、介護サービス計画作成を経て、サービスの利用に至ります。

(4)「介護報酬」とは?
各サービスに保険給付の単価が決まる

 各介護サービスについては、デイサービスは1回****円というように、単価が公表されます。これを介護報酬と言います。1999年7月頃には大まかな単価が、そして、2000年の初めには最終的な単価が決まります。

 一週間の介護サービス計画をつくる際には、そのサービスのトータルの介護報酬が介護認定で定められた上限を越えないようにせねばなりません。

 たとえば、要介護認定で20万円の上限が決められたとします。
 4.3週間ですから1週に約4万7千円が上限になります。
 デイサービスの介護報酬は、平均推定1回6000円(実際には、お年寄りの要介護度により異なります)。
 これを週3回使ったら、1万8000円で、あと週に3万2000円使えます。
 身体介護のホームヘルプの介護報酬は、1時間当たり4000円。
 3万2000円を4000円で割ると、8時間。
 月曜日から土曜日までは、毎日1時間ずつ。
 日曜日には2時間というような計算になります。

 この場合、自己負担は20万円の一割で2万円です。

 しかし、これはあくまでも上限であり、「あなたは重度ですから、35万円分のサービスが受けられます」という時でも、3万5000円が払いたくない場合もあります。
 そのような時は、「1万円しか払えないので、10万円分だけサービスを利用する」というのもオーケーです。

(5)一割の自己負担が払えないときは?  
減額や免除になる場合も

 利用者負担の額の合計が、その人の所得に応じた負担上限額を超える場合は、超える額が「高額介護サービス費」として支給されます。

 また、生活保護世帯は「介護扶助」が支給され、自己資金でなく介護サービスを受けられます。ただし、所得が少なくとも貯金などがある場合には、当然、その貯金の額がある一定以下になるまでは、介護扶助は受けられません。

(6)要介護認定の区分と利用できるサービスの目安 制度7d2へ

 

(7)どこのサービスを利用するか選べるのか?
はい、そうです

 たとえば今までは、その町に5つデイサービスセンターがあるとしたら、「東部地域の住民は、このデイサービスセンター」と、住所(居住地域)によって決められていました。ところが介護保険後は、「少し遠いけれど、娘が働いている施設を利用したい」と隣町のサービスを利用するとか、ホームへルプを利用する際にも、シルバービジネス、JA(農協)、社会福祉協議会などの中から、「評判の良い***のサービスを利用したい」という利用者の選択が介護サービス計画に盛り込めます。

 ですから、サービス提供者同士の競争になってきます。

 家族も本人も、どこのサービスが良いか、情報収集や勉強する必要があります。

(8)「自立」と判定されたら、全くサービスは受けられないのか?
全額自己負担になる

  いくら保険料を払っていても、「自立」と判定されれば、介護保険からはサービスは受けられません。
 もしサービスを受けるなら、保険がきかないので全額自己負担でサービスを受けるか、保険以外の市町村による福祉サービスを利用することになります。

 「自立」と判定された人が、市町村独自の介護サービスを受けられるかどうかは、各市町村の裁量によります。
 「自立」と判定され不服の場合は、前述のように、不服申し立てや再認定の申請をすることができます。 

(9)「上乗せサービス」・「横出しサービス」とは? 
市町村独自のサービス  

 市町村が基準サービス以外に独自で行なうサービスのことを、「上乗せサービス」、「横出しサービス」と言います。

 市町村の財源・要介護区分に応じた支給限度の基準額を条例により引き上げることを「上乗せサービス」と言います。
 「上乗せサービス」は、「ホームヘルプ」のように、メニュー自体は介護保険にあるが、利用できる量や回数を上乗せするのです。
  たとえば、ホームヘルパーが、1日最高4回しか来られない。でもどうしても5,6回は必要という場合、あるいは1回当たりの訪問時間の延長の場合が、「上乗せサービス」です。

 その他、福祉用具の貸与、福祉用具購入費の上乗せ、住宅改修費の上乗せ、介護保険施設の看護・介護人員の増配などがあります。

  「横出しサービス」は、介護保険のメニューにないサービスを市町村が独自で提供することを言います。
 たとえば、食事(弁当)を配る配食サービスは、介護保険に含まれていません。お年寄りと外出する散歩、買い物の付き添いも、介護保険のメニューには含まれていません。
 食事を届けたり、一緒に散歩したり、買い物・病院などに付き添って行くのも、大切なことです。
 その他、移送サービス、外出介助サービス、見守りサービス、寝具丸洗い乾燥・消毒サービス、理髪サービスなどです。

 「上乗せサービス」や「横出しサービス」を充実させれば、暮らしやすい地域になりますが、そのためには一般財源から予算をより多く福祉に使うか、保険料を高くすることになります。

 また、保険の枠外で市町村が独自に行なう保健福祉事業は「下付けサービス」と呼ばれることもあります。これには、介護保険で「自立」に判定された人に対するサービス、介護教室、健康教育などが含まれます。

(10)自分で介護サービス計画を作ってもよいのか?
自分でつくってもよい

  福祉に関心と経験がある家族の場合は、介護支援専門員に任せずに、介護サービス計画を自分で作ることもできます。「お年寄りのことを一番知っているのは介護している私です」という人は、保険の範囲内で、サービスが提供できる範囲内で、自分で原案を作ればよいのです。

 要介護認定での利用できる上限価格を聞いて、「ホームヘルパーはいりません。私は上限まで全部デイサービスを使いたい」ということも可能です。しかし、この場合も希望するサービスが利用できるか、つまり、満員でないかを、介護支援専門員に相談する必要があります。

 たとえ自分で介護サービス計画を立てなくても、介護支援専門員と本人、家族が相談しますので、家族も勉強しておかなくてはなりません。そして、家族がどんなサービスを利用したいかという希望を、介護支援専門員にしっかり伝えなければなりません。介護支援専門員も初めてであり、制度も初めてなのですから。

(11)家族だけで介護した時には、保険料の見返りはなし?
 

 日本の介護保険制度は原則として、家族への現金支給はしません。ただし、例外的措置として、介護サービスが著しく不足している離島や過疎地では、ヘルパー資格取得のほか、次の条件のもと、介護している家族に現金を支払う方法が検討されています。

(1)外部の介護支援専門員が介護計画を作成する。
(2)自宅以外でのヘルパー活動時間が自宅での介護時間を上回る。
(3)市町村がやむを得ないと認定する。
(4)身体介護に限り、家事援助は対象としない。

 ちなみに、ドイツの介護保険では、介護している家族にも要介護度に合わせて給料つまり、現金を支給しています。

 この介護家族への現金給付は、一歩間違うと、「ヘルパーや老人ホームを増やすよりも、家族をヘルパーにするのが市町村にとっては手間がかからず、安上がり」ということになりかねず、市町村が介護サービスを充実する熱意にブレーキをかけかねません。

 介護保険の最大の目的が、介護を社会全体で支えることなのですから、介護サービスの充実にマイナス効果を及ぼす家族への現金給付は日本では認めないほうがよいと思います。


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