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福祉用語集 |
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進行する型の老人性痴呆の病気の一つです。ドイツのアルツハイマー氏が発見したことからこの名前が付いています。1994年にレーガン元大統領が、この病気にかかったことを発表して話題になりました。
脳の萎縮などが起こり、記憶・判断力の減退、意欲の低下が次々に起こり、徘徊や同じ動作の繰り返しが現れます。はっきりとした原因は未だに不明で、遺伝によるものもあるようです。治療法も決定的なものはなく、未だ予防も困難ですので、医学の進歩が待たれます。
単純に日本語に訳すと「年齢主義」。具体的には年齢にこだわった老人の社会的差別のことです。一般的に文化・経済といったものは,若い世代を中心として変化していくので,取り残された老人には社会との溝ができてしまいます。昔の日本であれば「うば捨て山」,現代では定年退職,老人医療,のようなところに現れています。
企業,医療機関,福祉施設,交通機関などを考えても,老人は年をとっているだけで日陰へと追いやられる社会的状況があります。このエイジズムをなくすには,世代間の日常交流,老人個々の能力の活用が必要であると考えられます。
か行 |
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介護がどのくらい大変なものであるかということは,実際に経験してみなければ分かりにくいものですが,次のことを想像してみてください。24時間365日年中無休で,しかも食事,着替え,入浴,トイレなど生活の手助けを,全て自分1人で,しかも赤の他人にしてあげる仕事があったとすれば,あなたはそんな仕事を引き受けますか。
普通はみんな嫌がります。これは介護としては極端な例かもしれませんが,現実にある話ですし,実際にはノイローゼや疲労のために入院してしまった人もいます。そこまでの状況に至らなくても,あまりのストレスからお年寄りに暴力を振るう老人虐待の例もあり,介護する側にとっても,される側にとっても,介護はまさに地獄のように感じられるのかもしれません。
これまでは,日本に限らず,介護というものは家庭で行われるものでした。しかし,長寿社会となるにつれ,介護の期間が長期化してきました。さらに,核家族化が進行したために,成人した子供は親と同居しなくなってきています。このような状況が積み重なった現在,介護は家庭だけでは行えなくなりつつあります。そこで,介護を社会全体で支えていこうという考え方が「介護の社会化」です。
老人病院の一種で,正式には入院医療管理料承認病院といいます。通常の特例許可老人病院と比べてどのあたりが違うのかというと,患者あたりの看護・介護職員の数が多く,看護・注射・投薬・検査に対する医療保険からの負担が一定額に決まっている(定額制)点が違います。これは,従来の老人病院で見られた薬漬けによる医療保険の過剰負担を押さえ,介護・看護による機能回復に重点をおくことを目的としています。
この病院は,患者あたりの看護・介護職員の数が多くなるほど,医療保険の負担額(老人病棟入院医療管理料)が増えるようになっています。つまり,看護・介護の質を強化していくことを、病院に推進させる制度となっています。
日本語では「生活の質」「生命の充実度」の様な意味になりますが、専門用語としてこのまま使われます。ただ、英語のままQuality of lifeと書くと長いので「QOL」と略されたりします。
ついこの間まで、日本は平均寿命が世界一であるとか、経済的に強くなった、というようなことが言われていましたが、そのまま数字上の豊かさが人間の豊かさであるとは言えないことが分かってきました。ということから、もっと数より質(Quality)を重視しよう、ということで使われるようになった言葉です。
6〜9人の痴呆のお年寄りが地域の住宅で専門のスタッフと共同生活をするものです。食事を作ったり、掃除をしたり、役割や出番を持ち続けることによって、脳を刺激し、痴呆のお年寄りに残された能力(残存能力)を引き出して、痴呆の進行を遅らせます。
秋田市、出雲市など全国で厚生省のモデル事業が始まっています。宇治市のように独自にグループホームを開設する自治体も現れています。小さなグループホームが住み慣れた地域にたくさんできれば、痴呆になっても安心して暮らすことができます。→ことぶき園訪問記
軽費老人ホームの一種。痴呆などの重い症状のお年寄りではなく,比較的自立している,自宅での生活が困難なお年寄りが入所します。雰囲気としては,マンションなどの住宅に近いものがあります。
施設は車椅子利用などを考えてあり,生活相談,給食サービスの提供が行われます。新ゴールドプランで,ケアハウスは2000年までに10万人分を建設する予定です。1994年現在,23700人分が建設されています。
高齢者が介護を受ける際に,どのようなサービスでどの程度援助をしていくか,という介護計画のことです。実際には高齢者の心身の状態や希望,家族の要望などを考えて,ケアマネージャーと呼ばれる専門家がケアプランを作っていきます。
実際には,週単位でのサービスの時間割表や,高齢者の生活改善の目標などが計画として立てられ,この計画は目標の達成や新たな要望などの変化に応じて,書き換えられていくことになります。ただし,うまくケアプランを立てても,サービス提供者の事情などにより実施できないとか,市町村格差などの問題も多くあります。
ケースマネジメントとも言われます。高齢者が受けられるサービスは,施設サービスの老人ホームや在宅サービスのホームヘルプなどの様々なものがありますが,それらをバラバラに受けてもお金や時間の無駄になり,高齢者に負担がかかる場合もあります。そこで,高齢者の要望や心身の状態を考え合わせ,保健・医療・福祉のいろいろなサービスを,効率よく総合的に提供するために取り合わせを考えることが「ケアマネジメント」です。
この仕組みでは,高齢者がサービスを受けるかどうかの評価と判定,ケアプランの作成,各種サービスの斡旋/調整,適切なケアプランへの組み直し,と様々な仕事が期待されています。公的介護保険でも,在宅介護支援センターなどの機関で,このケアマネジメントの仕組みを導入することになっています。
特別養護老人ホームや養護老人ホームとは違って、入所者が直接契約して入所が決められる老人ホームです。「家庭環境・住宅事情」のために在宅での生活ができない老人が入ることができます。2つのタイプがあり、入所者の経済状況等の条件により、食事サービス付きのA型と自炊が前提のB型に分けられます。
とはいえ、あまり聞き慣れないこの言葉。これからは、「ケアハウス」という新しいタイプの軽費老人ホームを、2000年までに10万人分建設する計画があり、こちらの方を耳にすることが多くなりつつあります。
実は高齢者(65歳以上)の90%弱の人は健康に暮らしています(1990年調査)。60%ぐらいのお年寄りが自宅で暮らしており,他に25%ぐらいのお年寄りが働いています。 しかし,必ずしも完全な健康体というわけでもなく,生活していく中で,健康上なんらかの身体的な障害を自覚しているお年寄りは,65歳以上で48%もいます(1995年,厚生省)。そのうち,実際に医者にかかった人は17%。年齢を経るごとに元気に暮らしていくことがいかに難しくなるか,ということがうかがえます。
簡単に言うと、医療保険の福祉版のことです。医者にかかったときには、診療費の一部を、普段払い込んでいる保険料が肩代りしてくれます。これを「医者にかかったとき」ということから「介護サービスを利用したとき」という風になったものといえるでしょう。
介護保険は65歳以上(特定病・特定障害は40歳以上)の高齢者が介護サービスを受けたときに支払われます。払われるお金は地域の機関で判定される介護を必要とする度合で、数段階に分かれます。ただし、介護サービスを受ける人は金額の1割の負担をすることになっています.また、定められた金額以上のサービスを受けた場合はオーバーした分は自己負担となります。
高齢者(65歳以上)の人口の割合が、7%以上14%未満を占めている社会のこと。先進国のほとんどは高齢化社会です。
日本の高齢化は今に始まったことではありませんが、高齢者の人口が増えるのと共に、新しく産まれてくる子どもの数が少なくなって、これからも高齢化が加速度的に進んでいきます。大体2050年に高齢者人口が33%でピークを迎えるという推計がありますが、そのころには日本はどのようになっているでしょうか。
高齢人口、つまり65歳以上の高齢者の数が、その社会の14%以上になってしまい、それが続いていく社会のことです。高齢化社会とちょっと違います。
1995年の日本の高齢者人口は1821万人で、14.5%を占めていて、国民の7人に1人はお年寄りということになります。ということで日本も、もはや高齢社会になったといえるでしょう。ちなみに推計では、2025年には3244万人、日本の人口の25.9%が高齢者になるとか。
厚生省によると65歳以上の男性と60歳以上の女性で出来た世帯か、18歳未満の子供と暮らす世帯、ということです。1996年現在、全国の世帯の14.2%、約562万世帯がこういった高齢者世帯です。そのうち6割以上が無職。厚生省の推計では2010年には、高齢者人口の67%が高齢者世帯になる予定とのことです。
ちなみに、18歳未満の子供との同居を含まない高齢者の世帯は約45%。また一人暮らし世帯だけを見ると女性の方が60歳以上という線引きの違いかもしれませんが、男性一人暮らしの世帯数の4倍(約1万5千:約6万)もあります。う〜ん、女は強し。
→ゴールドプラン,新ゴールドプラン(1995年以降)
1989年末に国が打ち出した、これからやってくる高齢社会へ向けての老人保健・老人福祉の充実を目指す計画のことです。
正式には「高齢者保健福祉推進10ヶ年戦略」といい、その名の通り10年間かけて、1999年までに行われるということでした。ですが、見積もり違いか、3年足らずで目標以上の成果があがってしまった上に、まだまだ福祉サービスを増やす必要があることが分かったために、今現在は新ゴールドプランという、目標が引き上げられるなどの見直しがされたものが実施されています。
さ行 |
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在宅の寝たきり老人などの介護や看護の相談に乗る窓口です。新ゴールドプランによって,大体,中学校区に1つの割合程度の,全国1万ヶ所の窓口が1999年までに設置される予定です。ほとんどの在宅介護支援センターは老人ホーム,病院などに併設され,24時間体制で電話でも相談を受け付けています。
施設入所,サービスの利用,介護機器の利用などの相談や手続きなどの仕事が主なものですが,人数などの態勢や,権限が小さいことなどの問題があり,本当に介護,看護の全ての問題を解決できるわけではないというのが現状です。
在宅で介護する際に受けられる福祉サービスのことで,在宅福祉サービスというようにもいわれます。一般的な在宅ケアサービスとしては「在宅福祉の3本柱」ということで,ホームヘルプサービス,デイサービス,ショートステイサービス,の3つがあげられます。
また,これ以外にも,配食サービス,入浴サービスや,病院の運営による訪問看護・訪問リハビリテーションといったものがあります。ただし,利用したくても,住んでいる近辺・自治体にサービスが無い,などの場合がありますのでご注意を。
入所するかたちで利用できる介護サービスのことを指します。在宅ケアサービスと対比され,老人福祉施設として,老人ホーム(特別養護,養護,軽費),ケアハウス,それ以外のものとして,有料老人ホーム,老人保健施設,老人病院,療養型病床群があげられます。入所を希望される場合は,住んでいる地域の在宅介護支援センターか,自治体の福祉課などに相談されるといいでしょう。
すこし体に障害が残ったものの、医療が終わって退院できる状態のお年寄りが、「家庭の事情」などで病院に長期入院している状態を「社会的入院」といいます。その「家庭の事情」というのは「息子夫婦が共働き」とか「家が狭い」といった介護する家族の事情から、「嫁とは気が合わない」とか「病院の方が話し相手が多い」といったお年寄りの側の事情、はたまた「老人ホームに入れない」という施設の事情まで様々です。
このようなお年寄りは全国に30万人いるといわれます。しかも、待遇の良くない病院も中にはあるとか、医療保険赤字の圧迫などの問題があります。比較的健康なのに社会参加しない(出来ない)お年寄りがこれだけいるというのもまた、高齢者事情の奇妙な1面といえます。→生活って何だ
一週間ぐらいの間、老人ホームなどでお年寄りを預かってもらうサービスです。「短期入所(事業)」とも言われます。介護している人が、用事のある場合や介護疲れなどで休みたい場合にも利用できます。
介護者の負担を軽減することを目的としているところから、老人と一緒に介護者が入所して、介護技術の講習会を行っている、というようなところもあり、なかなか人気は高いようです。
1999年までに老人保健・老人福祉の充実を目指す計画のことです。実際はゴールドプランの目標値が1995年に変更されたものです。1990年から1999年までの総事業費は9兆円以上(!)といわれます。
実際のサービスの目標は下の表のようになっていますが、この他にも人員整備、基本理念、施策の実施などが謳われています。このように、環境の整備はなされてきていますが、それを利用する、またはする可能性のある立場にある、我々の意識の方も改善されていくことも大事になってくると思われます。
サービス 目標 サービス 目標 ホームヘルパー 17万人 特別養護老人ホーム 29万人分 ショートステイ 6万人分 老人保健施設 28万人分 デイサービス 1万7千ヶ所 高齢者生活福祉センター 400ヶ所 在宅介護支援センター 1万ヶ所 ケアハウス 10万人分 訪問看護ステーション 5000ヶ所
た行 |
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知能の低下した状態、例えば自分の名前や今日の日付や時間が分からないといった状態、が長く続く老人のことをいいます。その原因は脳血管障害、アルツハイマー病などがあげられます。アルツハイマー病の場合は治療も難しいのですが、脳血管障害の場合はリハビリなどでの回復や進行阻止も可能です。
ちなみに、痴呆性老人の6割以上は脳血管障害によるものです。また、痴呆性老人の65歳以上の人口に占める割合は、どの先進国でもだいたい5%前後です。
昼間に限って、老人ホーム、あるいはデイサービスセンターでお年寄りを預かるサービスのことです。お年寄りは同世代とのレクリエーションでの交流や、食事、入浴、生活指導を楽しむことができます。また、家族介護者教室が行われている所もあります。
痴呆症や身体の不自由、又は虚弱なお年寄りにとって、外出による緊張感等が生きる意欲と自立性を高めます。実際、痴呆症で夜中に徘徊をしていたお年寄りが、デイサービスに通うことで徘徊がとまったというケースもあります。→上京デイサービスルポ
痴呆や虚弱、または寝たきりで常に介護が必要なお年寄りに、長期的な介護を提供する老人ホームです。「特養」というように略して呼ばれることもあります。入所は希望者の意思の他に、公的機関の判断が必要ということになっていて、費用は所得に応じて変わります。
重い病気にならない限りは、終身まで入所していることが可能ですが、入るまでが大変なのが現状です。施設は21万人分(1993末)ありますが、それでも介護が必要な老人の増加に施設数が追いついていないということが原因で、さらなる増加が求められています。→高齢者の福祉サービスについて
→老人病院
な行 |
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毎日4〜5回短時間、早朝・深夜も対応できる意味で、24時間派遣が可能なホームヘルプサービスです。従来のサービスは、週1〜2回、長時間、家事が中心というのに対し、このサービスは1日に数回、15分〜30分、身体介護中心、というようになっています。
大阪府枚方市・福岡県北九州市の先行実施では、「夜も排泄介助があるためオムツをはずせた」「介護する家族の心身の疲れが減った」等の利用者側の効果、「効率的なサービス提供」「介護施設・病院より経済的」等のサービス側の効果も報告されています。→〜サービスとは?
在宅で寝ていることがほとんど、というお年寄りのことです。大体、全国で寝たきり老人と呼ばれる人は約29万人います(1993)。これは欧米などの先進諸国と比較すると格段に多い数字です。
他の国には「寝たきり老人」はそれほどいないと言われますが、それは日本の寝たきり老人は「寝かせきり老人」であるからです。寝かせない努力をする社会・家族・老人という存在が少ないことが寝たきり増加の原因といえます。最近では、新ゴールドプランにおいて「新寝たきり老人ゼロ作戦」が展開されたり、寝たきり予防の努力もなされるようになってきています。
毎年、一定額のお金を積み立てて、高齢や病気や一家の働き手が死亡したなどの時に、お金が支払われる制度のこと。国民全員が加入する国民年金のほか、民間サラリーマンが加入する厚生年金、公務員や元々公務員的扱いのJR、NTTの従業員が加入する共済年金、自営業者が加入することができる国民年金基金などがあります。
ただし、高齢化の加速、経済成長の沈滞などで年金制度の運営は苦しくなりつつあり、今のサラリーマンは月給の約17%を企業と折半して納めているのが、2025年には約34%と2倍に跳ね上がると予想されています。また、給付額を減らす、給付開始年齢を上げる、専業主婦からも保険料を取る、などの対策も考えられており、これまでのように年金をもらえる、というようにはいかないようです。
0歳〜15歳未満の人口のこと。毎年総理府は、5月5日のこどもの日に4月1日現在の年少人口を発表するという面白いことをしてくれますが、出てくる結果はあまりいいものとはいえないようです。
1997年の発表では、前年度と比べて15歳以下の人口が32万人減少、65歳以上の高齢者人口が71万人増ということでほぼ同じ数になった、との発表がありました。これからは高齢社会だけでなく、少子社会という新しい問題をも、私たちは考えていく必要があるようです。
脳の血流障害や動脈硬化などのために,脳へ栄養や酸素が行き渡らないために起こる痴呆症。リハビリテーションや薬の投与などの治療で障害の進行が止まったり,障害が回復する場合もあります。脳卒中の後遺症として出る場合が多いと言われます。日本の痴呆性老人の約半数以上が「脳血管性痴呆」といわれるので,約50〜60万人いることになります。
また,「脳血管性痴呆」は以下のようなことを守ることで,悪化を予防することが可能です。
→アルツハイマー病
- 栄養のある食事を毎日3食きっちり食べること。
- ストレスをためないようにすること。
- 散歩など適度な運動を毎日20〜30分すること。
- 趣味や楽しみ、友人を持ち、刺激のある生活をすること。
発音上「ノーマリーゼーション」ともいわれますが、英語での意味は「普通にする」ということです。誰が何するのを普通にしよう、といっているのかというと、高齢者・障害者が「普通に」生活する、ということを意味しています。
今の日本では、「老人は寝たままにさせておく」といったような、ある種の年齢による隔離といったようなものがあり、そういったことをなくそうということでこの言葉が使われます。ただ、身体能力を考えると、全ての面で普通にするということも難しいので、実際は、特別視されることなく社会に参加できるということが目標とされています。
は行 |
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1995年の労働力調査では,65歳以上で働いている人は,438万人いることが分かっています。高齢者人口の24.2%ですから,65歳以上のお年寄りのほぼ4人に1人が働いていることになります。そのうち,183万人が会社などに雇われて働く人です。これを男女別に見ていくと,65歳以上の男性は37.3%,女性は15.6%が働いているか,働く意志があるとなっています。 ちなみに,欧米先進国ではほとんどの国が10%以下で,日本のお年寄りは比較的多くの人が働いているといえます。
障害物(バリア)が無い(フリー)ということです。車椅子の障害者や足腰の衰えた高齢者などは、ちょっとした段差でも乗り越えるのに苦労することがあります。そのような段差などをなくそうと云うことで「バリアフリー」が唱えられてきました。現在は、こういったことを実践した「バリアフリー住宅」などが作られています。
また、最近はこの意味を応用して、障害者・高齢者と健常者との間の心の壁をなくそう、といった意味でもバリアフリーという言葉が使い始められています。
生まれたばかりの赤ちゃんが何年生きられるか、の数字です。ちなみに0歳児以外の人があと何年生きられるかは平均余命といいます。1996年での平均寿命は男76.38歳、女82.85歳でどちらも世界第1位。
また、100歳以上の老人も、1997年9月の発表で8000人を越えたことが分かりましたが、1年で1000人近く増えるというとてつもなく速いペースで2000年には1万人以上行くことは確実のようです。
ホームヘルプサービスにおいて、お年寄りの家庭で掃除、調理、入浴、排泄等のお手伝いをする人のことです。
1993年末で69000人、10万人当たり55人、という数の「ホームヘルパー」が日本にはいます。しかし、ノルウェー、スウェーデンでは10万人当たり1000人近くのヘルパーがいることを考えると、日本はまだまだ少数と言えるようです。
週に数回、ホームヘルパーがお年寄りの家庭を訪問し、掃除や食事づくり、入浴や排泄のお手伝いをするサービスです。利用料は所得に応じて1時間あたり、0〜900円程度です。
しかし、ホームヘルパーの数が少ない、24時間体制のサービスが少ないなど、問題点はまだまだ多いというのが現状です。
や行 |
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養護老人ホーム・特別養護〜・軽費〜とは違って、公的補助の無い、完全に民間経営の老人ホームです。費用は入所する時に一定額を払い込み、あとは月々払いです(平均1200万円)。全国で約25000人(1993年末)のお年寄りが入所しています。
元々は日常生活のサービスのみを主眼においていましたが、最近は終身介護を目指している施設も増えています。
字面の通り、介護を必要とするお年寄りのことです。その原因としては、脳卒中、骨折、アルツハイマー病、パーキンソン病、老衰、その他による寝たきり、痴呆が挙げられます。
大体全国に約100万人の介護の要る寝たきり・痴呆性老人がいます。更に寝たきりでなくても介護が必要な体の弱った老人が約100万人います。厚生省の推計では現在、合わせて200万人の要介護高齢者は、2000年には270万人、2025年には530万人になると出ており、社会福祉、社会保障にとって最大の課題となっています。
身体の障害やその他の事情で、在宅で充分生活できないお年寄りに、長期的な介護を提供する老人ホームです。特別養護老人ホームとの違いは、入所する際の条件に「低所得」という経済条件が付け加わること。それだけに、利用料は安くなっています。
あとは、当人の意思と公的機関の判断が必要なところは同じものとなっています。
核家族化が進行した社会では,一般的に,子供が結婚すると親から独立し,自分の家を別に構えて生活します。ここまではどこの国でもあることですが,日本の場合,親が高齢になり介護が必要となったときに,子供がその面倒を見る場合がよく見られます。しかし,別居しているのではきちんとした介護はできませんので,介護される親は子供の家へと呼び寄せられることになります。このような老人のことを呼び寄せ老人といいます。
こうして,生活の場を自分の家から他人の家へと移すことは,老人にとってはかなりのストレスをもたらすことがあります。ぼけが悪化するなどの実例もあり,介護としてはあまりおすすめはできません。こんな事態を不必要にするためにも,全国的な福祉サービスの充実は重要な課題であるといえます。
ら行 |
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長く入院する必要のある患者のために,ある一定基準以上に病院の環境を良くした病院,病棟のことです。通常よりも医師や看護婦は少なくてよい分,介護職員を増やす必要があり,その点では老人病院の中の介護力強化病院と同じです。1997年1月現在で,全国に591施設,47326床のベッドがあります。
新築の場合は従来の病院になかった,食堂,談話室,浴室などがあります(既存病棟からの転換の場合は無くても良い)。また,年齢に関係なく患者は入院できますが,公的介護保険で特別養護老人ホームや老人保健施設と同じように,保険の給付対象となるので,高齢者により関係が深くなると思われます。
入院するお年寄りにはどうしても検査や治療より、手厚い看護が必要となります。ですから、一定の割合以上老人が入院している病院には、医師・看護婦を一般病院の基準より減らし、介護職員を増やすことを義務づけています。こういった特例許可老人病院というものと、単に6割以上のお年寄りが入院している病院のことを「老人病院」といいます。
全国に1500ヶ所の施設(93年末)がありますが、中にはあまり適切とはいえない処遇の所もある、といった問題があり、今後の改善の対象となっています。→高齢者の福祉サービスについて
入所することで、食事や介護などの日常における生活サービスを受けることのできる老人福祉施設です。ひとくちに「老人ホーム」といっても、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム、有料老人ホームと区分されています。
その違いはどういうものでしょうか。養護〜・特別養護〜・軽費〜が公的補助が出るのに対し、有料〜は民間資金で経営されていること。養護〜・特別養護〜が公的判断(自治体など)が入所条件にあるのに対し、軽費〜が経営者との直接契約で入所できること。養護〜が低所得であることが入所条件にあるのに対し、特別養護は経済条件はない、という違いがそれぞれあります。
比較的長期間にわたって、介護の必要なお年寄りを預かる施設です。この施設は自立支援と家庭へのお年寄りの復帰ということを目指しています。ですから入所者も入院の必要はないけど、日常生活の自立が困難なお年寄りが中心となります。
93年の厚生省の調査では、施設から家庭に復帰した人が6割弱、しかも入所期間が長い、ということが分かっています。また、満杯の老人ホームの代わりに入所するというお年寄りもおり、あまり特別養護老人ホームと差がない、という声もあります。
70歳以上の高齢者、または65歳以上の寝たきりの高齢者の医療費を、健康保険などの医療保険制度とは別に公的に負担するシステムのことです。医療費は各医療保険からの拠出金と国などの公費からの負担で補助されます。
以前には、高齢者の医療費の自己負担は完全に無料の時代もありました。ですが、このたびの医療保険制度の改革で、外来で1ヶ月1000円程度だったのが1ヶ月単位で4回まで500円の負担、入院が1日700円程度だったのが1日1000円の負担に増えました。このことが、今後どのような変化をもたらすかは分かりませんが、さらなる制度自体の見直しを考える必要もあるようです。
高齢者が高齢者の介護をすることです。一般的には,夫婦の片方が寝たきりなどで介護が必要になったために,もう片方が介護をするという図式となっています。このような老老介護は在宅での寝たきり老人の場合,全体の3割ぐらいとなっています。
かなりの精神的・肉体的負担を強いられ,介護地獄ともいわれる日本の介護の状況の中で,高齢者が介護をする側になると,「共倒れ」といって介護する高齢者までが寝たきりになってしまったり,ひどい場合には先に亡くなってしまうということもあります。こういった老老介護の問題点をなくすためにも,社会的に介護をサポートしていくことが必要なのです。