第13回おがわ医院健康教室「インフルエンザの最新情報」
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1.看護婦渋谷からのインフルエンザの紹介 予防接種の実際を知っていただく為に |
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今年の予防接種第一号は院長。 |
2. 栄養士中村より風邪に強い身体を作る栄養素の説明
キーワードはビタミンC・ビタミンA・ |
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3. 院長による「2000年のインフルエンザ最新情報」
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予防注射は一回で本当にいいのか? 治療薬は無いのか? ワクチンはどうやって作られるのか? 今年のインフルエンザの型は? またワクチン不足はやってくるのか? などのお話がありました。 先生のお話はここをクリック! |
参加者の方からも積極的に質疑応答がありました。 さて、インフルエンザの予防接種、皆様はどうされますか? |
日本ではインフルエンザワクチンは1960年代から学童に集団接種が実施されてきました。
1994年の予防接種法の改正で任意接種となり、集団接種は中止されました。
一方、欧米ではインフルエンザワクチンは主に高齢者(65歳以上)と
基礎疾患を持ったハイリスク患者を対象に積極的に進められており、
多くの国では無料接種が実施されています。
1996年の接種率は米国55%、フランスでは70%以上と高率に達している事が知られています。
欧米ではワクチンの普及を基礎として、ワクチンの必要量の算定や
具体的な接種計画等の対策が危機管理の一環としてとられています。
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我が国では1970年代にインフルエンザワクチンの有用性が証明されていた 日本では、今までワクチンの接種回数は2回接種が原則でした。 |
今年になって、「13歳以上のインフルエンザワクチンの接種は1回でもよい。」
と効能書が改正されましたが、どうでしょうか?
結論を先に述べますと現時点では可能なら、「なるべく4週間間隔にて2回接種すべきである」と思っています。
そうするには、シーズンを迎える前の12月上旬までに余裕を持って2回接種する事が望ましいと思います。
ただし、2回接種できないから1回も行わないというのでは「インフルエンザ」に対して無防備になってしまいます。
そういったケースに関しては1回のみでも接種する方が望ましいと思います。
今後高齢者やハイリスク者を対象にインフルエンザワクチン接種を
早急に開始する必要があると思われますが、広い対象集団において接種率の向上を図るためには
接種回数をどうするのかが大きな問題となります。(当然のことながら2回接種するには2倍のワクチンがいります。)
米国では2000年からワクチンの推奨接種年齢が65歳から50歳と大幅に引き下げられました。
今世紀は3回の新型インフルエンザが出現、世界的な大流行をおこしました。
スペインかぜ(1918年)アジアかぜ(1957年)香港かぜ(1968年)です。
香港かぜは現在も流行を繰り返しています。香港かぜの出現からすでに30年以上経過し、
いつ新型インフルエンザが出現してもおかしくない時期に入っているといわれています。
新型インフルエンザはブタに感染したヒトとトリのインフルエンザが遺伝的に再結合が起こりできるとされています。
それがヒトに感染しヒトの間でひろがって行くのです。
1957年のアジアかぜではインフルエンザの遺伝子のうちの5/8がヒト、 3/8がトリ由来であった事が解っています。
新型インフルエンザ対策として考えられることは
「大量かつ迅速に新型インフルエンザ用ワクチンを生産、供給、接種する事」です。
そのためには、まずワクチン接種の優先順位リストと対象群を事前に決定する必要があります。
新型ではワクチンの供給が絶対的に不足するからです。
アジアかぜの時、日本政府は500万人分のワクチンを準備しましたが、
都道府県からの要求はその4倍近い1800万人分であったそうです。
優先順位を決めていなかったため、「不公平」との不満が多かったそうです。
その経験から、新型インフルエンザ対策としては2000から3000万人分のワクチンが必要と考えられます。
そのスムースな供給のためには、毎年1000万人分以上のワクチンの生産が必要と考えられていますが、
まだまだその水準には達していません。
その他には数種類の抗インフルエンザ薬が開発されています。
アマンタジンというお薬が販売されている他は、現時点では(10月23日)まだ発売のめどは立っていません。
アマンタジンはパーキンソン病のお薬として日本では使用されていましたが、
欧米ではA型インフルエンザのお薬としても以前から使用されていました。
ただ、このお薬はA型にしか効かないこと、
耐性ができやすい(お薬が効きにくくなること)こと等の弱点があります。
新しいお薬の開発、発売が待たれますが、それよりもやはり予防を心がける事をお勧めします。