介護保険 Q&A Q2 |
Q2 介護保険のねらいは? |
「お恵み」の福祉から「権利」の介護サービスへ |
介護保険には、問題点も多くありますが、ねらいを4点あげます。
1.将来は老人ホームなどの介護サービスを選べるように |
今までは、老人ホームを利用したい場合、市町村に申請し、市町村が「老人ホームが空きました」と、半年や1〜2年後に返事をしていました。 一方、私たちは病院を選んでいます。開業医、病院。近くの病院、隣町の病院。健康保険証一枚あれば、全国どこの病院でも利用できます。 介護保険が導入されると、将来的には老人ホームや介護サービスも選べるようになります(ただし、当初はサービスが足りないために、選べないかもしれません)。ホームヘルプも、社会福祉協議会から受けるのか、シルバービジネスや医療法人から受けるのか、「どこが良い介護をしてくれるのか」を比較して選べるようになります。 |
2.競争によるサービスの質の向上 |
選べるようになることは 良いことです。それによって老人ホームもお互いが 切磋琢磨し、サービスが向上します。ホームヘルプサービスやデイサービスも同じことが言えます。 たとえば、 特別養護老人ホーム「あさがおホール」(兵庫県朝来町)では、食堂で朝食・昼食・夕食、三食すべてバイキング形式を取り入れる工夫をし、入居者から好評です。 今まではこのような工夫をする等の競争原理が働きませんでした。もちろん、競争しすぎて現場のスタッフがへとへとに疲れて病気になってはダメですが、利用者にとってはある程度のサービス競争は喜ばしいことです。 |
3. 保険証があれば、気がねなく介護サービスが利用できる |
日本には「福祉のお世話になるのは恥」という意識が強くあります。そのため、今までは 介護サービスの利用をためらう人が多くありました。 一方、「医者にかかるのは、保険料を払っているから当然の権利だ」という意識も強いのが日本です。 介護サービスも保険制度に変えることにより、早めに気軽に介護サービスを受けることができるようになります。 たとえば、今まではホームヘルパーを利用するとき、役所の福祉窓口や介護支援センターに行きます。 これは措置制度と言って、国民の税金を使う以上、このような方法をとるのは仕方ありません。そのために心理的に介護サービスは受けにくかったのです。 かたや、医療を受けるとき、病院にかかるのは申し訳ないと思っている人はいません。健康保険料を払ってきたから権利だと思っています。 さらに今までは、「人様のお世話になるのは申し訳ない」と福祉サービスを拒否していたお年寄り本人も、「保険料を払うんだったら私も利用しようか」と、早めにサービスを受けられるようになって、寝たきりなどの予防や、共倒れを減らす効果も期待できます。 |
4. 介護サービス計画にそったサービスが受けられる |
介護保険では、1日24時間、1週間トータルで見ます。 今までよりも、より専門的でトータルな介護サービスを目指しています。それによって寝たきりや家族の共倒れを減らします。 介護保険のスタート当初は混乱 ただ、今述べたような効果は、認定されたサービスが十分にあればの話です。今月まで
介護サービスが大幅に足りなかったのに、急に2000年4月からサービスを増やすのは難しいことです。 国民皆保険制度となった1960年頃には、「保険あって医療なし」「無医村」という問題がありました。 しかし、それから40年近く経った現在は、誰でも、すぐにお医者さんにかかれます。日本は世界で一番医療を受けやすい国となりました。 ドイツでも1995年に介護保険が導入され、最初は大混乱しましたが、今は少し落ち着いてきているそうです。 |
では、次に、このような期待と不安とともに門出をする介護保険の、 具体的な内容について説明します。Q3へ。 |