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 介護保険 Q&A Q1 

2000年4月から介護保険がスタートします。
保険料の支払いと 介護サービスの利用は2000年4月から始まります.
申請の受付は、1999年10月1日から始まります。 

 介護保険には良い点もありますが、課題や問題点も多くあります。
問題点と言われるものの中には、誤解によるものもあります。
いざ導入されると「こんなはずじゃなかった」と、新たに生じる問題も多いでしょう。

 なかなか理解しにくい介護保険を、できるだけわかりやすく解説。
「介護保険にどううまく対応するか」を考えるとともに、その課題や問題点を浮き彫りにします。

Q1 介護保険はなぜ必要か?
社会全体で老いを支える

まず、介護保険の主な3つの必要性は、次の通りです。 

 ・医療と同じように、介護サービスを受けやすくするため
 ・介護サービスを増やす財源を確保するため
 ・パンクしかけている医療保険を救うため

 以下、簡単に説明します。 

@ 医療と同じように、介護サービスを受けやすくするため

日本は世界で一番、医療が受けやすい国です。
にもかかわらず、日本は先進国でもっとも介護サービスが受けにくい国です。
 
 私たちは、病気になれば好きな病院に行き、すぐ利用できます。
老人ホームは、1〜2年待ち、おまけに利用したい老人ホームを選べません。

 医療にかかるのは権利としてかかりやすいが、介護サービスを利用するのは、
「他人のお世話」になっているようで、何か後ろめたいという声を聞きます。

 この医療と介護サービスの落差は、どこからくるのでしょうか?

 それについては、医療は保険制度ですから利用しやすい。
介護サービスは税金でやっている措置制度だから受けにくい、という批判が多いのです。

 そこで、介護サービスにも医療と同じ保険制度を取り入れ、サービスを受けやすくするというのが、介護保険の一つの必要性です。 

A 介護サービスを増やす財源を確保するため

第2の理由は、財源確保のためです。急速に介護財源を増やすには、保険制度のほうが優れています。

 日本の老人医療費は9兆2000億円(1995年度)。
しかし、老人福祉費(老人介護費)は1兆1000億円。
老人福祉費は老人医療費の八分の一にすぎません。

 欧米先進国と比べて、日本の老人福祉費の少なさは異常です。

 医療保険は、事前に保険料を決めます。
たとえば、「今年これだけの医療サービスを使いました。予想より多くのお金がかかりましたので、来年度以降の保険料に上乗せして徴収します」と使っただけ医療に対して、保険でお金をまかなうシステムです。

 一方、税金(公費)による老人福祉費は、どれだけサービスが必要かではなく、前年度の予算を基準に年間予算を組み、その枠以上の福祉サービスは提供できません。

 いくら老人ホームや、ホームヘルパーが足りなくても、「この予算の範囲でやって下さい」となります。ニーズ(必要性)ではなく、財源の枠によってサービスが頭打ちになってしまいます。

今まで介護サービスにお金が回らなかったのは、必要がなかったからではなくて、税金によるサービスなので財源が増やしにくかったからです。 

 介護保険は使い道が明らか 

 このように介護サービスに使うお金を増やすのですから、国民の負担は残念ながら増えます。しかし、その場合、納得しやすい負担の方法でなければなりません。

 消費税や一般の税金の増税は、目的税にしない限り「福祉のために本当に使われるのか?」「違う予算に使われるのでは?」という不信感が根強いのです(実際、消費税も「福祉のため」と言いながら、ごく一部しか福祉に使われていません)。

 その点、介護保険料は介護にしか使われませんので、現時点では、消費税よりはまだ国民に理解を得やすいのかもしれません。 

B パンクしかけている医療保険を救う

 第三の大きな理由は、医療保険を救うためです。

 老人ホームやホームヘルパーなどの介護サービスが足りないため、治療が一段落した多くのお年寄りが退院できません(社会的入院)。

 介護保険を導入して、介護が必要な人には介護サービスを、医療が必要な人には医療を、という役割分担をしないと、「介護サービスが足りないため、自宅や老人ホームに居られないお年寄りを病院で面倒をみる」という方法は、社会的にも高くつき、お年寄りに対しても良くありません。

 介護保険の導入により、今まで医療保険でまかなわれていた老人保健施設や訪問看護、療養型病床群などの費用が介護保険に移りますので、医療保険の保険料はその分、安くなります。

 さらに、治療が一段落した人が病院から退院しやすくなり、
将来的な医療保険料の伸びも抑えられます。


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