介護保険のここが問題 10 |
福祉に熱心な町長さんの悩み |
住民の意識が大切 |
私の知人の町長は福祉に熱心で、ここ数年福祉に力を入れてきました。
「うちの町は他より福祉が進んでいる」と、いつも自慢していました。
ところが、最近、町長は、悩んでいます。
他の町より福祉が進んでいるのは良いけれど、保険料が高くなります。
「町民はどう言うだろう?」。来年、選挙があります。
町長は福祉を良くしようと頑張ったつもりですが、対立候補からは、「保険料が高い町は、けしからん」と攻撃されて、選挙に負けるかもしれないのです。
それで、この町長は、福祉を良くしようという気持ちが落ち込んでいます。
でもこの町長だけを責められません。
より安く良いサービスが理想です。
が、良い介護サービスを求めるなら、私たちは「保険料は少しくらい高くなってもよい」と、表明していく必要があるのではないでしょうか。
そうでなければ、今の状態をほうっておいたらどうなるのでしょうか。
「保険料が高くなって攻撃されるのはかなわない」と、多くの自治体は、自分の地域の保険料が、近隣の自治体よりも突出して高くならないように、横並びにします。
結局は低いところで横並びになってしまいます。
実際、先ほど紹介した福祉に熱心な町長は、いま、まわりから攻撃されています。
「なに一人いいカッコしてるのか? あなたの町が進んだサービスをするから、うちは住民から文句を言われて困っている」と。
介護保険で、介護サービスを普及させる目的とは裏腹に、
「赤信号みんなで渡れば怖くない」
「介護サービス、みんなで手を抜けば怖くない」になりかねません。
その結果として困るのも住民、その鍵を握っているのも住民です。