やまのい和則のホームページ 福祉


介護保険のここが問題 8 

保険料が安くて良いサービスの町ができるか?
療養型病床群を増やしすぎないこと

 まず、在宅サービスを充実させ、療養型病床群を増やしすぎないことです。
 厚生省は、65歳以上人口の3.4%が施設(特別養護老人ホーム・老人保健施設・療養型病床群)に入居というのをモデルとしています。
 また、特別養護老人ホーム・老人保健施設・療養型病床群のベッド数の比率も、8:7:5が厚生省のモデルとなっています。
 これよりはるかに療養型病床群が多ければ、たとえ、在宅サービスが遅れていても保険料は高くなります。

 その理由は、在宅サービスを利用する人は、1人平均15万円(月)の保険給付と予想され、老人ホームは約31万円・療養型病床群は約46万円です。
 1:2:3の関係で療養型病床群が高いからです。療養型病床群が必要以上に多いと保険料は割高になります。

 ですから、在宅サービスを充実させて、療養型病床群に過度に依存しなくて済むようにすれば、保険料が安くなります。
 ただし、療養型病床群の認可は都道府県の権限ですので、市町村は都道府県と連携をとって、療養型病床群が増えすぎないようにすることが必要です。

 実例として、ある村では、保険料が月6000円を超えると推計されました。この村は在宅サービスが非常に遅れ、老人ホームもありませんでした。
 「サービスがないから保険料は安いはず」と思えますが、計算してみたら基準額保険料の倍以上と、非常に保険料は高くなりました。
 なぜでしょうか。

 その理由は、お年寄りたちは介護が必要になると、その村に介護サービスがないために、隣町の老人病院にたくさん入院していました。
 介護保険になると、その老人病院も療養型病床群として、介護保険から1人当たり月に約46万円もかかってしまうのです。

 役場の職員が「これは大変だ。何とか退院させなくては」と、入院中のお年寄りを見舞い、「村に帰ってくれませんか」と声をかけました。
 お年寄りたちは口をそろえて、
「それは有り難い。自分の生まれ育った村に帰りたい。けれど、自分が家に帰ったら家族に迷惑をかけてしまう」と言いました。

 そこで村は、お年寄りを引き取る家族に重い介護の負担をかけないように、ホームヘルプなどの在宅サービスに力を入れました。
 その結果、老人病院からの退院も進み、保険料の推計も安くなりつつつつあります。

 このように、在宅サービスを充実させ、多くを療養型病床群に頼らないことが大切です。

 第二の方法は、予防に力を入れて要介護者を減らし、介護保険に申請する人を少なくすることです。
 そのようにしたら、申請した人一人当たりには充分なサービスがありますが、申請する人が少ないから保険料は安くなります。


次へ 戻る 目次へ タイトルに戻る