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介護保険のここが問題 2

軽く認定されて、今まで受けていたサービスが受けられないことも
                                    経過措置が必要

デイサービスやホームヘルプの利用者で、モデル事業の要介護認定で「自立」と判定された人が約一割います。

 これについては、2通りのケースが考えられます。

  • 本当は症状が重いのに、たまたま訪問調査の日に元気になりすぎて、認定が軽く出たケース。
    これは、再認定を申請するか、不服申し立てをする必要があります。
    また、事前にこのようなケースを防ぐには、「訪問調査を受けるときの家族の心構え」で書いた「対策」を、家族が講じる必要があります。
  • そもそも症状は軽いが、今までからサービスを受けていたケース。

 私の知り合いの特別養護老人ホームでは、100人の入居者のうち、9人がモデル調査で「自立」または「要支援」と判定されました。このままでは、9人が老人ホームを退去せねばなりません。
 特別養護老人ホームの入居者の約6%つまり1万7千人が、「自立」か「要支援」と判定されると予想されています。
 1999年10月1日から始まる正式な要介護認定の結果は、11月以降に本人に通知されます。

 特別養護老人ホームには、5年間の経過措置が認められています。
 つまり、2005年4月までは認定が軽くても入居し続けられます。
 しかし、「5年以内にここを出ていってください」と、職員がお年寄りに言わねばなりません。ある寮母さんは、「そんな残酷なこと、私はお年寄りに言えない!」と悩んでいます。

 「5年経つうちに、お年寄りの症状も重くなり、老人ホームに住み続けられるようになる」という意見もありますが、それはあまりにも楽観的な考えです。5年、10年ずっとお元気な方もおられます。

 では、お年寄りはどこに行くのでしょうか。
 家には帰れない。療養型病床群にも老人保健施設にも入れない。普通の病院にも行けない。
 一人暮らしのお年寄りは不動産屋さんに行っても、部屋や家も斡旋してもらえない。
 ケアハウスも自己負担が高かったり、遠く離れていたり、満員だったりして、そう簡単に入れません。

 5年間は住み続けられると言っても、「5年以内に出ていって下さい」と言われたお年寄りは、まさに路頭に迷うケースも出てくるかもしれません。

 一方では、老人ホームのある施設長は、
 「そのような元気なお年寄りがそもそも4人部屋の老人ホームに入居していることが不幸だ。行政は早急に、介護付き住宅などの受け皿を用意すべきだ」と言います。
 確かに、なぜそんなに多くの症状のお年寄りが今まで特別養護老人ホームに入居していたかも問題かもしれません。
 もちろん、特別養護老人ホームでプロの介護を受けて、症状が軽くなったお年寄りも多いとは思いますが。

 私の意見は、既に老人ホームに入居しているお年寄りに対しては、いくら症状が軽いからと言っても、強制的に退去させるのは無理があると思います。
 行き場所を失ったお年寄りが人生を悲観し、自殺でもしたら大問題です。
 まさにこのような方々は、介護保険で行き場所を失う「介護保険難民」と言えます。

 また同時に、老人ホーム外での生活を希望するお年寄りに対しては、その受け皿となる高齢者住宅の整備を急がねばなりません。


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