第10回 コペンハーゲン周遊記

  コペンハーゲンでも、朝食はバイキングでした。
  北欧の朝食バイキングは、ほとんど同じスタイルですが、
  このホテルでは一つだけ違いがありました。
  何って?
  何と日本食のコーナーがあったのです。
  ご飯にみそ汁、生卵、海苔、塩シャケまであって驚きました。
  さすがはコペンハーゲン中心部のホテルです。
  でも、逆にいうとそれだけ、多くの日本人が利用しているって事なんでしょうね。
  そう思って、ぐるっと見回してみると、確かにそれらしき人たちがいました。

  コペンハーゲンで今日はどう過ごすか。
  なにせ夕方からはチボリしか頭に無いのですが、
  それまではストロイエ周辺をブラブラショッピングやら、
  観光やらで過ごそうと決めました。

  ショッピングについては、二つ目当てのものがありました。
  一つはジョージジャンセンのクリスマスオーナメント。
  留学でスウェーデンに行ったのがちょうどクリスマスの時。
  帰国するまで、3回のクリスマスがあり、ホームパーティーのプレゼントに
  毎年このオーナメントを頂いていました。
  3年分のオーナメントを持ち帰り、日本でも毎年これだけは集め続けようと、
  コレクションをはじめました。今年の分はぜひストロイエの本店で買おうと
  楽しみにしていたのです。

  もう一つは、昨夜のミーティングで急に登場した女のこの人形です。

  実はルンドで出会って、昨日から私たちの一員となったスカンスカのとなりに、
  その時もう一人ステキな子がいて…下の子がデンマークまで来てから
  忘れられなくなってしまったと言うのです。
  ぜひ、あの子も連れて帰りたいとのこと。
  きっとデンマークにも仲間がいるに違いないと、
  お人形売り場にもチェックを入れることになりました。

  幸いストロイエには大きなおもちゃやさんもデパートもありますから、
  探すのは簡単だろう、きっと出会えるだろうと思っていました。

  くどいようですが、コペンハーゲンにはちょっと自信があります。
  方々を歩き回ったし、土地勘もバッチリです。

  では、半日観光でどこへ行くか。

  私達が、全員一致で選んだのは、やはり初めて999バスでコペンハーゲンに来た時、
  真冬に歩いたあのルート。(第7回参照)
  何と言っても、あのリトルマーメイドに陸側からごあいさつをせねばなりませんし、
  衛兵の交代式もみなければなりません。
  デンマークのイケメンズにもあわなくちゃね!
  そして、雄々しいゲフォンの泉の噴水のしぶきもあびなければ!
  勝手知ったる、しかし、それだけにかなり遠いことも知ったる道のりです。

  ストロイエでショッピングしながら、まずは衛兵の交代時間にあわせて、
  アメリエンボー宮殿に行きました。
  てっぺんにデンマークの国旗がそよいでいるときは女王さまがいらっしゃる。
  そよいでないときは、ご不在で交代式も簡素になると以前の知識を思い出しつつ、
  てっぺんを確認すると…国旗はありません。
  残念ながら女王様はご不在のようです。
  でも、その割には多くの観光客と思われる集団の多いこと多いこと。
  観光バス単位でいろいろな国の人が集まってきているようで、
  交代式の時間が近くなるにつれて、広場はインターナショナルなにぎわいになってきました。

  そんななか、衛兵ではない警察官と思われるおじさんが、何やらわめいています。
  下がれ下がれということなんでしょうが、「15M、15M」(英語でした)
  なんて連呼しだんだん列を後ろに下げて行きます。

   押し合いへし合いのなか、
気がつくと衛兵がやってきましたが、
予想通りそれほどの隊列ではなく、
多くの観光客を整理しきれない警官にも
何かいらだちを覚え、
今ひとつの広場の雰囲気にも
なんだか疲れてきて、バカバカしくなって、
もういいかと皆でアイコンタクトを送って、
早々にゲフォンの泉方向へと歩き出しました。

  衛兵達も、スウェーデンの方がよっぽどイケメンぞろいでステキでしたよ。  

  ようやくたどり着いたゲフォンの泉は
  何故か水が出ていませんでした。
  私たちの最初の出会いの時にあわせてくれた?
  冬場は完全に停止していますが、
  夏場はたいてい水がでていたのになあ。
  エコロジーの観点から出してないのでしょうか?


  ゲフォンの泉まで来れば、
もう一息でマーメイドです。
次こそは!と元気を振り絞って歩き続けます。
周りには、マーメイドの置物やら、
写真やら、Tシャツやら、
マーメイドグッズの露店が立ち並んでいました。

マーメイドと記念撮影をして、
さあ帰ろうかということになりましたが、
遠いことは身を持って感じていますし、
今回はバスで帰ろうと思いました。
けれども、観光客を乗せたバスは
たくさん出入りしているのに、
路線バスのバス停が無い…
近隣を探し回りましたが、
やはりバス停はない。
  あきらめて船着き場に帰ったら、
  何故か水上バスがやってきました。
  時刻表ではまだまだ来ないはずだったんですが、
  これもあちらではよくあったこと。
  逆で悲しい思いをしたこともあったし、
  この時の私たちは、本当にラッキー
  ということで、ニューハウンまでの
  予定外の船旅を楽しみました。

  昼食はなつかしのマガジンデパートのビュッフェで、
  これまた食べ物分野のチェックリストにピックアップしてあった
  デンマーク名物のサーモンやらエビやらのオープンサンド、
  ケーキやらを食べました。

  留学当時はこのケーキはあまり好きでは無かったのですが、
  思わずプレートを取ってしまいました。食べてみると、味は思っていたとおりで、
  なんとなく残念な思いがして、それがまた懐かしくて…
  とおかしな感じで不思議に満足しました。

  そして探して歩いた人形ですが、ストロイエを往復しても、結局見つかりませんでした。
  生粋のスウェーデンっ子だったのでしょうか?
  やむなく連れて帰るのをあきらめました。
  また縁があれば、どこかでめぐり会えることでしょう。

  さて、予定していた見どころは、早いピッチでしたが、すべてたずねたので、
  夕方までは夜のチボリに備えて、ホテルに帰り仮眠をとることにしました。

  数時間の仮眠にて、完全に復活した我々。
  

さあ、いざチボリです。
テンション高く、チボリに乗り込みました。
チボリの園内にはスピーカーがなくて、
楽しげなBGMも全く流れず。
時折、どこかのステージから流れてくる生演奏や、
人々の歓声だけで不思議と盛り上がっているのは
昔のままでした。ただ、なんだか、思っていたより小さく、
狭く感じたのは子供が大きくなったせい?
モダンな遊具が増えたせい?
たちと違って、チボリと言ってもなんだか
ピンと来るものが少なかった娘達も、
公園の中に一歩入ると
昔のことがよみがえってきて、
ビンテージカーやメリーゴーランドといった
乗り物やアヒルつり(人形です)や競馬ゲーム、
お皿わりゲームなどのゲームコーナーや
売店のおやつを喜んでチェックして回っていました。


  私も最初は先頭を切って公園を闊歩していたのですが、夕暮れになるに連れて、
  なんだか、私…とってもせつなくなって…説明できないけれど…
  涙があふれてきて…皆を困らせました。

  帰るのがとってもいやというか、なんというか。
  思いは、昔に行ったり、今に来たり、明日に行ったり…で。

  そんな私に3人は「えっ、どうしたの?」とか「まあ、しょうがないんじゃない」とか
  「いいんじゃない、泣いてても」とか言いながら、最後の夜をまだまだ楽しんでいましたが、
  私は、どうにもこうにもそれどころではなく、いやなやつになってしまいました。

  皆さんゴメンナサイ。

  そして、公園には、なんだか夜にかけて、驚くほど人が増えてきました。

  

  存分に遊び、花火大会の時間までは
  ゆっくりどっかのベンチに座って
  休んでいようと計画していたのですが、
  それどころではない混雑になってしまったのと、
  泣き虫にも困ったりで、
  名残惜しくもホテルに退散することにしました。

  ホテルの部屋からも打ち上げ花火だけは楽しむことができました。
  良かった。

  期待通りだったり、がっかりだったりと結構盛りだくさんの長い1日でした。
  今回の旅行の最後の一夜だというのに、私以外の女性陣3人は、
  感傷的になることもなく、花火が終わるとバタンキューでした。

  明日はいよいよ帰国です。