第二十回 「レクイエム」
いよいよ、サッカーワールドカップ開幕です。
代表の23名の発表、皆さん方はどうでしたか??
久保選手の落選は、チョッとサプライズでしたし、
若手の松井選手が選ばれなかったのは
4年後の南アフリカ大会を見据えるとどうなんだろう…なんて思っちゃいますが、
私にとってはフランス大会や日韓大会の時のようなビッグサプライズはありませんでしたね。
ドイツ戦の高原選手の2ゴールは期待を抱かせますが、
逆に後半に2点を挙げて2対0となった後、2点を守りきれない事に不安を感じませんか??
マルタ戦はドイツ戦とは違ってパッとしかなったですね〜予選前の最後の試合だって言うから、
各下だって言うから、4対ゼロくらいで勝てるのかな〜勝って欲しいな〜と思っていたのに…まあ、忘れましょ!
プロ野球は交流戦真っ只中ですが、ジャイアンツの独走態勢は完全に崩れちゃいましたね〜
故障者が一杯出てきていますし…ジャイアンツファンの方、心配ですよねっ。
我がドラゴンズはやっぱり交流戦は苦手のようですが、それでも昨年よりはましで、
何とか3位にしがみついていますよ。
でも、やはり我が家では今は野球よりサッカーモードになっています。
日本は勿論ですが、我が家ではドイツナショナルチームにも大注目しています。なぜかって、
うちの娘がドイツチームの某選手の大ファンなのです。
先に書いたドイツ代表との試合なんて大変な騒ぎ?でしたよ。
ドイツと日本がワールドカップで決勝を戦うなんて事になったらどうなるんでしょうね。
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さあ、本題のこぼれ話です。
今回はまたまた、ディープな話題で盛り上がりました。
改正等のあおりで、参加者は今回も残念ながら少なかったのですが、
こういうときに限って非常にディープな話題が出る傾向があります。
今回は、一体どういうハードルを越えれば在宅でのターミナルケアができるのか、
支えられるのか…という問題でした。
在宅の限界ってなんだろう…と思わせる内容でしたが、
生々しすぎて現時点ではチョットここでは書けません。
ほとぼりが冷めた頃にまた紹介させて頂きます。
となると…今回は書くことがない…。
しかし、折角このページを開いてくださった皆様のために何も書かないというわけにはいきませんよね。
そこで、私の最近の経験を紹介させて頂きます。
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私が在宅で数年に渡って診させて頂いていた患者様が最近亡くなってしまいました。
高血圧で投薬していたのですが、足腰が弱って外に出ない、
出ないからよけいに弱ってしまうという悪循環でした。
おまけに耳がチョット?遠いもんですから、大声で話さないと聞こえない。
一応「補聴器」は持っていられるのですが、「飾り」にしかすぎず、役に立たない。
役に立たないから、また他人と話すのが億劫になって閉じこもっちゃう。こういう状況でした。
なぜか解らないのですが、私の声って難聴の方は聞きやすいみたいなのです。
「先生の声は良く聞こえる」って複数の患者さんからいわれたことがあります。
「声の周波数」の問題なのでしょうか??
このおじいちゃんも、「先生の言うことはよう解るわ」って言ってくれてご機嫌でした。
薬もちゃんと飲んで、血圧もそこそこ安定して、安心して訪問を重ねていました。
訪問するとまず「握手」から始まるのです。
寒い冬には「先生外は寒いんやな〜冷たい手してはる」といい、
暑い夏には「先生手にまで汗かいてるで、よっぽど暑いんやな〜」っておっしゃいます。
私を通じて季節を感じておられたのでしょうかね?
時にはステテコ一丁で迎えてくれることもありましたし、
アルコールの香りを漂わせながら迎えてくれることもありましたが、
「もうこの年齢であの元気ならいいよな〜」と思わせる方でした。
両下肢の拇指の爪が巻き爪で自分ではもちろん切れず、奥さんも高齢で目が弱って切れず…
ある日「先生切ってくれへんか?」と申し訳なさそうにおっしゃるので「よっしゃ」と引き受けたものの
私も老眼が出てきており四苦八苦しながら切らせて頂いておりました。
そのおじいちゃんが、二週間に一回だけ外に出る日があるんです。
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いつだと思います??
そう、私の訪問日に私が帰るときに玄関先まで出て見送ってくださるんです。
私が車で走り去る時まで、奥さんと一緒に手を振って見送ってくださるんです。
寒い冬も暑い夏もそうでした。
あの日もそうでした。
4月のある日、奥さんから電話がありました。
3日ほど前からどうもご主人が食欲がない、しんどいと言って起きてこないので心配だとの電話でした。
これまで正直一回も緊急での往診や訪問の依頼がなかったので、
これは一大事と午後の予定を変更して訪問に行きました。
いつも迎えてくれる一階にはおじちゃんは居られず、
奥さんに促されるままに急な階段を二階にあがりました。(実は二階に上がるのは初めてでした)
ふとんに横たわるように寝ていたおじいちゃんは、突然私が現れたのでビックリされましたが、
いつものように握手をし「どうしたん」と聞くと
「しんどいねん。食べとうないし、何でも甘くかんじるねん」とおっしゃいました。
ただ事ではないと感じたので、とにかく検査しようと採血の用意を取りに医院に帰り、
とって帰って訪問すると…なぜかさっきまで二階で寝ていたおじいちゃんが
一階のいつもの場所で座っていました。
「どうしたん」と聞くと「もうどうもない」と言って笑っておられました。
採血をすませ、「しんどい原因が解ればいいけど検査出しとくしな」と言って帰ろうとすると…
「チョット待っててや」といつものように出てきて手を振って送ってくださいました。
それが、最後のお見送りでした。
奥さんに事情を聞くと、その夜半に脳梗塞を起こされ、倒れられたようです。
翌朝、奥さんからご主人が起きてこないので見に行くと倒れた形跡があって、
麻痺が出ているとのこと…直ぐに救急対応をして病院へ搬送したのですが、
脳梗塞に加えて肺炎を合併されており、救命できずに亡くなってしまったのでした。
実は前日訪問したときには、熱もなく、血液検査上も白血球増多もなくという状態でした。
後で話を聞くと急激にすすんで命を奪ってしまう変な肺炎が高齢者に流行っているんだそうです。
皆さん気をつけてくださいね。
なんかほっとする時間と空間を与えてくださっていたおじいちゃんに感謝するとともに、
もう会えないんだな〜と思うと寂しい感じがします。合掌
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