どんぶりこぼればなし


第十六回  「病院のせい?」

 皆様、明けましておめでとうございます。
 本年もおがわ医院ホームページをよろしくお願い申し上げます。

 さて、昨年の暮れは寒かったですね〜暖冬なんて予想でしたが、
 12月にはいると突然寒くなり京都でも雪が積もりました。
 雪で訪問診療にでられないなんて事態が起きるなんて正直予想しませんでした。
 キューちゃん(当院の往診車です)の後継車は4輪駆動にしなきゃと真剣に考えています。

 新年を迎えて…今年はなんと言ってもワールドカップです。
 日本代表は予選リーグF組に決まりました。
 何が起こるか解らない予選リーグですが、ブラジル、クロアチア、オーストラリアと戦うことになります。
 ブラジルには正直かなわないでしょうし、
 2位通過を目指して初戦のオーストラリア戦をどう戦うのか、これがポイントでしょうね。
 ブラジルにどういう戦いができるかも大事でしょうね。
 負けるにしても得失点差が効いてくると思いますね。
 そういうことになると、最終戦までにブラジルは予選通過が決まっている可能性が高いので、
 最後に戦うのは有利?なんて考えもチョットよぎりますね。

 それから、もう一つ大きなイベントはトリノオリンピックでしょうか。
 女子のフィギアスケートは最後まで激しい戦いを繰り広げ、
 全日本選手権で優勝した村主章枝選手、同3位に入った荒川静香選手が、
 安藤美姫選手とともに代表に選出されました。
 私個人的にはドーナツスピンの中野友加里選手を応援していたので、チョット残念でした。
 それにしても、全日本選手権で、なぜ中野選手の得点が伸びなかったのか解りませんでした。
 テレビの前でブーイングを送ってしまったのは私だけではないはず…。
 まあ、決まったことは決まったこと、中野選手には次のオリンピックを
 浅田真央選手とともに目指してもらいましょう。

   

 さてさて、今月のどんぶりは取材を受けました。
 大日本住友製薬が作られている情報誌でどんぶりの活動が紹介されました。
 興味のある方は大日本住友製薬のHPからもご覧になれるそうです。
 (1月8日現在まだアップロードされていないようです)
 後日探してみてくださいね。

 でも、今回は残念ながら出席が少なくさみしかったです。
 「出席確認をせず、集まれるメンバーだけが集まって話をするのであって強制はしない。」
 これがどんぶりのポリシーではありますが、取材となるとチョットどきどきものです。

 今日の話題は入院中に状態が悪化した場合に「病院のせいだ」と思いこまれるケースが結構多くて
 対応に困るというお話がありました。

 心当たりがあります。
 実は当院で関わったケースでも2人ほどありました。
 一人は脳出血で病院へ緊急入院されたのですが、
 一命は取り留めたものの、広範囲の障害を残しました。

 さらに、数日後に全身の痙攣をおこされたようです。
 その後は痙攣の予防に抗痙攣剤を投与されることになるのですが、
 ご家族にとっては「どうもそのころから様子がおかしい」という事になるわけです。
 「どうもあの薬を飲み出してから様子がおかしい」というわけです。
 入院中に相談に来られたご家族は
 「早く連れて帰ってあの薬をやめさせて在宅でみたい」とのことでした。

 脳出血後で全身の痙攣がある患者さんの抗痙攣剤を在宅で中止するなんて
 とても私には考えられません。痙攣が起こるような状態になったから様子が変化した、
 状況が変わったなんてご家族は思われませんし、そういう状況では
 既に信頼感がゆらいでいますから、色々と病院のいたらない部分が目につくのでしょう。

 誤解を解くために説明をしましたが、目につく不満、
 不信がどんどん出てきますのでもうダメだと判断し、
 転院して再度コントロールしてもらうようにしました。
 転院後はご本人さんの状態は残念ながら大きな変化はありませんでしたが、
 ご家族は大いに納得され、無事に抗痙攣剤を内服した状況で在宅加療となっています。


 もう一つのケースは脳梗塞です。
 在宅加療中に脳梗塞を発症され、救急搬送されました。
 残念ながら広範囲の梗塞で意思の疎通ができない状態になられました。
 そして、経過中に誤嚥性肺炎を起こされたようです。
 突然ご家族から電話があって「入院中に肺炎を起こしてしまった」とのことでした。
 ご家族にすれば、入院中に肺炎を起こしたのは病院が適切な処置を怠ったからだという雰囲気でした。

 我々の感覚から言えば、広範囲の脳梗塞で飲み込みが上手にできなくなって
 誤嚥性肺炎をおこされたのだろうな〜となるのですが…。
 それから数日して、再度電話がかかってきました。
 飲み込みが上手にできないから鼻からチューブを入れるか、
 胃ろうを作ることをすすめられたが、今までは口から食べていたし、
 食べさせたいので在宅に戻りたいとのこと…。
 入院していても、できないことが増えるばかりだし、訓練もしてくれないので、
 在宅で食事を食べさせる訓練をしたいと思う…とのことでした。


 今までにも何度か書いたように、ご家族の思いというのは非常に「欲目」の部分があります。
 医療従事者側からは、できそうもない、いや、危険でできない事を、
 家族の力で家でできる、やれると思ってしまわれるのです。
 状況を何度も説明するしかないのですが、そういうときは本当に困ってしまいます。
 ちなみにこの方は、胃ろうを作って現在まだ入院中です。
 かかりつけ医の役割として、ご家族と病院の主治医の間での説明や補足って
 結構大事だな〜と思う今日この頃です。

 そうそう、今回どんぶりで新年会をすることになりました。
 いままで、そういうレクリエーション的な事って全く無縁だったどんぶりですが、楽しみだな〜。
 次回は新年会報告ができるかも、いやオフレコになっちゃうかな!

   

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