第一回 日本の介護保険制度
ご承知のように、介護保険制度が導入されはや、4年半が経過しました。
どんぶりでも様々なケースに関わったり、皆で相談にのったりしました。
けれども…独居、つまり、全くの一人暮らしで寝たきりのケース
っていうのは そう多くありません。
介護保険導入前の状況では、全くもって無理でした。
介護保険が導入されたから、それが可能になったと言えないこともないのですが…
でも実際は、そういう方は今の日本の介護保険制度では在宅での生活は極めて困難です。
困難どころか、そういうケースはケアマネさん、ヘルパーさん、
医療従事者(主治医も訪問看護師もリハスタッフも…)皆が苦労して、
犠牲を払って支えているというのが正直なところではないでしょうか?
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どんぶりの話題でも毎回話題に上るTさんもそんな方です。
Tさんは完全に寝たきりです。
自分で寝返りもうてません。
座れません。
トイレもいけません。
お風呂も入れません。
もちろん、食事の用意も買い物もできません。
食事は用意して、そばまで持って行けば何とか自分で食べられます。
着替えも自分ではできません。
ベッドから、ずり落ちてきても、自分で上に上がることも、
真っ直ぐに体勢を立て直すこともできません。
でも、意志はしっかり持っているし、お話もハッキリできます。
Tさんは自分のうちで、自分一人で生活したいとおっしゃいます。
医療的な問題は、床ずれが直ぐにできます。
介護的な問題では、意志がハッキリしすぎてる?ので、
ヘルパーさんのやり方や時間の使い方等に文句を一杯おっしゃって、
ヘルパーさんもタジタジです。
自分では動けないし、暑くってもエアコンや扇風機を使うのも嫌いだし、
いつも訪問すると私やヘルパーさんは、そんなこんなで汗だく状態です。
そんな状態ですから床ずれも乾燥せずジクジクしていて悪化します。
私が関わり始めたのも床ずれの悪化からでした。
病院からの訪問看護と訪問診療を受けておられたTさんでしたが、
床ずれの悪化と感情的な行き違いからくるもつれで仲間のケアマネさんからSOSがありました。
そのような方は、現状の介護保険制度の運用では在宅生活は、
可能だけれど極めて困難です。何が言いたいかっていうと、
今の介護保険制度では介護者なき在宅医療は困難であること。
それを何とか支えようとすると、周りのスタッフに必要以上の仕事を強いることになる。
仕事以上のボランティア精神がないと難しいということです。
今後高齢化がますます進み、要介護者が増え、その価値観も多様化していけば、
このままでは制度が持たないのではないかな〜と正直思います。
それでも、どうしても在宅で生活したいって方、我々に「そっと」ご相談ください。
「どんぶりマジック」でかなえられるかもしれませんよ!
P.S. 今回は第一回目ということで、
一般的ではない皆が困ったケースをいきなり紹介しましたが、
よく考えれば「どんぶり仲間」を充分紹介していませんでした。
次回からはしばらくの間、どんぶりの具たる仲間のお仕事を
具体的にお話していこうと思っています。
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