テロ対策新法 民主党両院議員総会 & 
「グループホームへの訪問調査の留意点と配慮」

            第193号(2001/10/13)

 メールマガジンの読者の皆さん、こんにちは。
今は10月12日(金)深夜の11時50分。
高輪の議員宿舎で、筑紫哲也ニュースでの小泉首相と視聴者の対話
を見ながら、このメールマガジンを打っています。

 本当は今ごろは宇治の自宅にいるはずなのですが、テロ対策法案
についての民主党の両院議員総会(議員や秘書さんが150人参加)
での議論が夕方6時半から9時半まで続き、賛否両論が飛び交い、
最終の新幹線に間に合わず、帰れなくなりました。

明日は朝9時から宇治で会合、朝6時の新幹線で帰ります。
 それにしてもテロ対策法案への対応は頭が痛い。

■今日(12日)
・8時から民主党の「医療制度改革チーム」(私が事務局長)会合。

健康保険連合会、国民健康保険中央会、連合、日本経済団体連合会
の代表者からの意見を聞く。9月に発表になった厚生労働省の医療
制度改革案(たたき台)についての意見を聞いた。

 この会合は毎週金曜の朝8時から1時間半。
各種団体の意見を聞く。今日の団体はすべて、大なり小なり、保険
料のアップを抑えたい意向が強かった。保険の支払い側なので、当
然といえば当然だが、医療の質についての議論は少なかった。

・10時から、男女共同参画調査会の打ち合わせ。

この調査会の代表は、水島広子衆議院議員(現在、産休中)。水島
さんの指名で私が事務局長に。男女共同参画を、私も身の回りのこ
とで実践せねばならないと緊張。

ちなみに、民主党で男女共同参画問題に一番強く、熱心なのは、今
日の打ち合わせでも私の隣席だった山花郁夫議員(元社会党委員長
の山花貞夫さんの息子さん)だ。

・11時半から1年生議員の昼食会(カレーライス)。

講師は熊谷弘国会対策委員長。
内容は、今後の日米関係のあり方、景気対策について。

・12時半から、衆議院厚生労働委員会で、坂口力大臣の所信表明
 演説を10分聞く。

まあ、差しさわりのない一般論の内容だ。10分だから仕方がない
のか? ちなみに、介護保険については次のような表現であった。

 「介護保険については、今月より高齢者の保険料の本来額での徴収
が開始されましたが、高齢者の介護を国民皆で支えていくという
制度の趣旨を基本として、現場の皆様の声を大切にして、より良い
制度へと育ててまいります」

 これが、厚生労働省がこの臨時国会で介護保険にのぞむ姿勢であ
る・・・・。


●なお、国会日程がテロ対策法案で混乱し、坂口大臣への衆議院厚
生労働委員会での、私の質問は17日水曜日の予定だが、少し延期
になるかもしれない。

・午後は、この国会質問(医療制度改革と介護保険)の打ち合わせ。

そのほか、グループホームの夜勤問題、来年からの在宅サービスや
ショートステイの一元化の問題点について、厚生労働省の担当者と
議論。地元からの福祉の陳情への対応。

●また、昨日のメールマガジンにも書いたが、昨日発表になった社
会保障制度審議会の介護給付分科会のメンバーにケアマネージャ
ー、ホームヘルパー、グループホーム関係者が入っていないことに
ついて、厚生労働省に問い合わせた。

「メンバーには入っていないが、分科会でのヒヤリングで対応した
い」とのこと。

皮肉なことに、介護報酬引き上げ議論の3つのポイント。
(1)ケアマネージャー、
(2)ホームヘルプの家事援助、
(3)グループホームの関係者が入っていない。

逆に言えば、介護保険導入時の審議会の委員にもこの方々が入って
いなかったからこそ、ケアマネージャーやホームヘルプ、グループ
ホームの介護報酬が低くなったのだ。

同じ過ちを繰り返してほしくない。

◆なお、グループホームについて資料を見ていたら、グループホー
ム連絡協議会の冊子に「グループホームを訪問調査する場合の留意
事項について」書いてあった。このメールマガジンの巻末に載せま
す。非常に参考になる素晴らしい内容です。

・5時半からは民主党本部の5階ホールで、民主党の外交・安全保
 障部会で自衛隊法の改正について議論。

自衛隊が、日本のアメリカ軍基地と、自衛隊の基地しか守れないの
はおかしい。これではテロから国民を守ることにはならない、と反
対の声が大勢。


◆外交部会が6時10分に終わったので、6時半まで時間があった。
一番前の席に座っていると、鳩山代表が早い目に着席。もめそうな
両院議員総会の前にもかかわらず、穏やかな表情。鳩山代表はスタ
ンフォード大学で博士号をとり、アメリカに詳しい。

 私はいつもカバンに入れて、持ち歩いている
故・マーティン・ルサー・キング牧師の写真を鳩山代表に見せて、
話しかけました。

「私の尊敬する人で、公民権運動の産みの親であるキング牧師です。
「I HAVE A DREAM(私には夢がある。いつの日か黒人の子
どもと白人の子どもが同じテーブルを囲んで食事をできる社会をつ
くりたいという夢がある)」という演説が私は好きです。7年前に
はキング牧師の墓参りにアトランタまで行きました」。

(キング牧師のおかげで、1960年代にアメリカで公民権法がで
き、黒人差別が大幅に減った。キング牧師は、ノーベル平和賞を受
けた)。

 鳩山代表も、「彼のような人間になりたいね」と言って下さった。

テロ対策法案の大きな議論の緊迫したときに、私がこんな話を鳩山
代表にしたのは、

結論はどうあれ、今回のテロ対策法案に対する民主党の方針を
「愛を持って決断してほしい」という私の気持ちからである。

6時半になった。

・6時半から、問題のテロ対策法案について議論する両院議員総会。

「今日は時間を決めずエンドレスで発言してほしい」
と鳩山代表から最初の挨拶。

 詳しくは明日の朝刊に載ると思うのでポイントだけを書く。

いま民主党は、自衛隊を派遣する場合に
1)前提としての国連決議、
2)派遣の基本計画の国会での事前承認、
3)武器・弾薬を輸送しない、

などについて条件をつけ、与党を交渉をしている。

◆とにかく、日本は憲法では武力行使ができないのだ。
しかし、武器・弾薬の輸送は事実上の武力行使である。
また、パキスタンなどに行けば、戦闘に巻き込まれる危険性が大で
ある。

私は、テロ撲滅のために、自衛隊の派遣は必要だと思うが、あくま
でも武力行使と一体化しないように、上記の条件で民主党がしっか
り歯止めをかけるべきだと思う。

 共産党、社民党、自由党は、この法案には全く反対。

しかし、全く反対で与党とも全く話をしないのであれば、この法案
はこのままの形ですぐに通ってしまう(与党が多数だから)。

しかし、民主党が修正を持ちかけることで、国会の事前承認など、
法案が修正できるかもしれず、歯止めが可能になるのだ。

 この両院議員総会では3時間で37人が発言。反対論、慎重論か
ら賛成論まで議論が飛び交った。まあ、反対論・慎重論が25、賛
成論が12くらいだったが、今のままの法案では賛成できないが、
民主党の出した条件を与党が飲めば賛成という声も多かった。

◆総会の途中、一度、電話とトイレに立った。トイレでは珍しく羽
田孜元首相と横に並んで二人っきりになった。元首相なので羽田さ
んにはSPの護衛がついているが、トイレまではついてこない。

トイレで横に並び、失礼かと思いながららも、
「なかなかこの議論は、大変ですねえ」と私が言うと、
「時々、このような激しい議論をやるのは必要なことだよ。でも、
民主党は、賛成しても、反対しても批判はされるんだよ。それは覚
悟しないとダメだよ」とのこと。

重い言葉だ。

羽田さんは非常に安定感のある頼れる方だ。

 その後、議論は続き、私が手を挙げようかどうしよかと迷ってい
るときに、挙手もとだえ、一応、議論は終わった。9時半。

特に、執行部による意見の取りまとめはなかった。

鳩山代表がマイクを握って話そうとすると、幹部の方々が
「今日は、代表は話さないほうがよい」と押しとどめた。

■しかし、血気盛んな菅さんがマイクを握り、
「1つ言いたいことがあります。反対でも賛成もいいが、ただ、自
分は共犯にはなりたくない、自分の手だけは汚したくないという理
由で反対をするのは無責任だと思います。

私たちは国会議員である以上、みんな共犯なんですよ。危険が伴う
判断には自分はかかわりたくない、自分の手は汚したくない、とい
うのはおかしいんであって、私たちは国会議員になった段階で、も
う手は汚れてるんです。

手を汚したくない、何事にも責任を負いたくないという人は政治家
になるべきじゃない」という趣旨の発言をされた。

普通、幹部はこういう場合は、あまり発言しないものだが、そこを
敢えて、きついことを言うのが菅さんの菅さんたるゆえんである。

 とにかく、疲れた3時間であった。また、月曜日には再び会合が
持たれるようだ。


■明日10月13日は地元。

午前9時から会合での挨拶。
午後は、1時間半ずつ3つのミニ集会。

■14日は、国政報告会と福祉学習会。

この週末、多くの方に会って、また意見を聞きたいと思う。

 なお、巻末にさきほど述べた「グループホームの訪問の留意点」
の資料を載せます。

それにしても、テロ対策から痴呆性高齢者向けグループホームまで、
全く違う話が入り混じったメールマガジンでした。

これから医療制度改革の本を読んで寝ます。もう1時になりました。
明日は5時起きです。
 

■「グループホームへの訪問調査の留意点と配慮」
  (痴呆性高齢者グループホーム連絡協議会の冊子より)

この冊子では、グループホームへの訪問調査について書かれており、
以下は、訪問調査の留意点だが、グループホームの本質を突いた素
晴らしい内容なので以下に抜粋させて頂きます。


◆こんな点に配慮しよう

*構えないで。
親しい「大切な人の家」にお邪魔させてもらうような気持ちと態度
で。

*堅苦しくない服装で。
 きれいな明るい服の訪問者だと寄ってきて話しかけてくる入居者
 がおられます。

*書類かばんやや封筒など、ものものしい入れ物は、当ヨは避けた
 方が無難です。
 「紙袋のようなものを下げて、さりげなくきてくれるといいなあ
 (あるホーム長の声)」

*一歩、玄関を入ってからは、そのグループホームの「家の決まり
 ごと」にしたがって行動を。
 例)靴をどこに脱いでおく?→決められた場所にしまわないと、
 入居者が履いたり片付けて(かくして)しまうことも。

*声のトーンがとても大切。
 やわらかで落ち着いたトーンで。元気すぎるあいさつに痴呆の方
 はとてもよわい。

*こちらが言葉や身動きのスピードも大事な点です。
 とにかくゆったりと。

*入居者のゾーンを脅かすことがないよう、そっと入っていく。

*調査シートは、入居者の生活空間に持ち込まない。

*数人まとまった集団で動かない。お互い少しはなれて。

*本人らにもきちんと挨拶。
 調査委員をどう自己紹介したら一番適切か、当日事前にグループ
 ホーム長と打ち合わせを。
 自分から自己紹介するより、入居者が信頼しているホ一ム長等を
 通してから紹介してもらった方が受け入れられやすい。
 例「ここの様子を見に、市役所からこられた方たちです」

*視察の間は、いかにも調べること優先ではなく、まずは時間を一
 緒にすごしてみる。
 少し馴染んできてから、必要な調べを。

*調査委員の前では穏やかに会話していても、あとでリバウンドが
 くる人も。
 あまり話しこんだりしない方がいい人について、事前に打ち合わ せを。

*自分の部屋に案内してくれる場合もある。
 これもあとでトラブルになりがちなので、誘われても居室に立ち
 入るまずい人がいるかあらかじめ聞いておく。

*居室をみる場合は、必ず本人の了解を。
 当日の打ち合わせの時に、「どなたかの部屋を見せていただきた
 い」旨、あらかじめ依頼しておく。

*ホームやお年寄りの動きにあわせる。
 予定の時間に少々あわなくても、ホーム長らときちんとはなしあ
 って、進行を調整する。

*帰る際、帰る挨拶をあからさまにしない方がいい場合が多い。
 スタッフには、きちんと(そっと)挨拶を。


◆訪問調査にあたっての留意事項

*訪問調査に関してホーム長から、以下のような意見が出ています。

・調査の大切さも十分わかるが、グループホームは痴呆の人々が主
人公の家だから、調査に入ることで利用者をおびやかさないよう十
分に注意してほしい。

・「権威者が調査にきた」という態度で来てほしくない。
背広や事務服を着た人がくると、途端にお年よりが固くなる。

・お年寄りばかりでない。いつもの見学や研修とは違って、訪問調
査にこられると思うと職員側が今から非常に緊張する。

・なぜ、このグループホームでそうしているのか、外からみれば指
摘を受けそうな点や、気付いてもらえそうもない何気ないところに、
たくさんのしかけがある。
グループホーム側から、こういう点を注意してみてほしいというこ
とを事前に書いて出してもいいか?(書き出すことが難しいほど沢
山あるが)。

・施設や病院と違って、一度の受け入れは3人が限度。たとえ一人
であっても、馴染みの人でなければ、お年よりが落ち着かなくなり、
いつものグループホームの雰囲気でなくなる。そこを評価されても
困る。

・問題点の一方的な指摘や批判、欠陥を暴くような評価は困る。発
展途上で頑張っていこうとしている事業者や職員が「これから改善
にむけてもっと頑張っていこう」という動機つけになるような支援
的な評価の仕方にしてほしい。

・ただ評価しておしまい、ではなく、改善の手がかりやヒントがえ
られるような評価後の話し合いを十分にもってほしい。

・慢性人手不足の中で、調査に来られる日のために特別なシフトを
組むのは難しい。
グループホーム長も日中3人の職員の一人としてシフトに入りなが
ら、話し合いや案内につくことになる。他の職員もたいへんだし、
その日の入居者の状況によっては、調査員の人に十分に対応できな
いこともありうる。


◆山井からのコメント:
これは「グループホームとは何か」
という本質を理解できる素晴らしいアドバイスです。
           やまのい和則 拝



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☆やまのい和則の「軽老の国」から「敬老の国」へ☆
    (2001/10/13現在 読者数 1810)


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