最近、私の知人からグループホームについて2つの声を聞きました。まず、第一の声は次のようなものです。
■「山井さんは、『グループホームができれば、ぼけても住み慣れた地域で暮らし続けることができる』と言ってますが、私のグループホームには、車で1時間くらいの遠くA市から入居しているお年寄りがいます。これは、そのお年寄りの近所にグループホームがないからですか?」
◆この質問に私は、「そのお年寄りの住むA市にもグループホームはあるのですが、数少ないために2-3年待ち。ですから、遠いグループホームに住まざるを得ないのです。グループホームがもっと増えれば近所のグループホームに住めると思います」と。
●この質問は、本質的な質問です。
というのは、グループホームは、一歩間違えば、小規模な「姥捨て山」になりかねないからです。
*「特別養護老人ホームが満員だから、グループホームに預ける。遠くのグループホームでも構わない」ケースも増えています。
*また、グループホームの職員さんが、入居者のご家族に、
「ときどきグループホームを訪問して下さいね」と言っても、
お年寄りを入居させたら最後、ほとんど顔を見せないご家族も、多いというのです。
*あるグループホームの職員さんも、
「痴呆性高齢者にとって家庭的で良いケアを提供したい、という思いで、グループホームをスタートしたのに、預けっぱなしで、ケアの質に関心を持たない家族が多い」と嘆いておられます。
*また、「どこでもいいから、痴呆症の親を預かって欲しい。たまたまグループホームが空いていたので、預かってもらってホッとした、という意識では、さびしい」と言っています。
●この話に象徴されるように、痴呆性高齢者の家族は疲れきり、また、痴呆性高齢者本人も介護に注文をつけられません。
だからこそ、注文をつけられない痴呆性高齢者の気持ちをくみとって家庭的なグループホームが必要だと私は思うのです。
■もう1つの声は、次のような問い合わせです。
「私の親が2年前によいグループホームに入居しました。家庭的な場所で、一時は介護度も軽くなりましたが、今は重度化して、他の入居者の動きとはズレが生じるようになって、人と一緒に何かするのは困難。徘徊もひどくなってきました。
『自費でヘルパーを付けたい。せっかく馴染んだ場所なのでとどまりたい』と提案したが断られ、退去を迫られています。
山井さん、首都圏で重度でも入居できるグループホームはありませんか?」というものです。
●これからこのようなケースが増えると思います。
私の意見は、重度化してもグループホームで介護すべきだと思います。そうできるように、介護報酬をアップして、できる限り、グループホームを「通過施設」でなく、「終(つい)の住みか」
にすべきだと思います。
入院が必要な医療行為が必要な場合は、別として、できる限り、グループホームで暮らし続けるようにできないものでしょうか。
少なくとも、夜間に介護が必要になる(トイレ、徘徊など)痴呆
性高齢者すら、グループホームでは重度過ぎて面倒が看れないとなれば、グループホームの存在意義はなくなります。
夜間の介護が必要でない痴呆性高齢者なら、家で看られるからです。
今の制度では、
「グループホームは夜勤を想定していないので、グループホームには夜間の介護が必要でない軽度の痴呆性高齢者のみが入居し、夜間の介護が必要になれば、他に移ってもらう」となっているようです。
しかし、どこに移るのでしょうか?
特別養護老人ホームは1-2年待たねば入居できません。
老人保健施設に移っても、老人保健施設は「終の住みか」ではありませんので、多くの場合、また他の施設に移らねばなりません。
事実上、「夜間の介護が必要になったから」と言っても、移る適当な居場所はないのです。
さらに、グループホームよりも、特別養護老人ホームや老人保健施設のほうが、夜間の介護を必要とする痴呆性高齢者に対して、より良いケアができるとは必ずしも言えません。
このようなことを、このお盆の最中、私は考えていました。
また、読者のみなさんのご意見をお聞かせ下さい。
やまのい和則 拝
■<お詫びと訂正>
前回お知らせしたグループホーム運営研修の会場の漢字が間違っていました。以下が正しいお知らせです。
全国GH協 グループホーム運営研修のお知らせ
研修日程
* 日時:平成13年9月22日(土曜日)
23日(日曜日) 24日(月曜日・祝日)
* 場所:天満研修センター
(大阪市北区錦町2-21 TEL06-6354-1927)
* 募集人数:各コース50名
(定員になり次第締め切りますのご了承ください)
* 研修費用:有料
その他、詳しくは、下記のページをご覧下さい。
http://www.yamanoi.net/grouphome/information/01/gh_0922_24.htm
■追伸
夕刊フジの8月18日付けコラムに、このメールマガジンをまとめ
た「福祉メールマガジン」本が紹介されました。
「有権者と政治家結ぶ“福祉メールマガジン”」
小泉首相のメールマガジンが話題になっているが、「国会に福祉
の風をふきこみたい」との熱い思いで、メールマガジンを最初に立ち上げたのは山井和則衆議院議員だった。インターネット時代ならではの有権者と政治家をつなぐ新しいパイプ役「福祉メールマガジン」が、一冊の本にまとめられた。
その名も「福祉メールマガジンhttp://www.yamanoi.net
福祉現場VS国会」(講談社・山井和則著・1700円+税)。国民主義といわれながらも聞き届けられることのなかった国民の声がいかに政治の場に反映されていくのか。新メディアがどれだけ国民と政治を近づけてくれるのか。興味深いこころみである。
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(2001/08/20現在 読者数 1718)
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