やまのい和則の
     「軽老の国」から「敬老の国」へ

            第156号(2001/06/14)

メールマガジンの読者の皆さん、こんにちは。
この通常国会も6月29日の会期末まであと2週間となりました。
大詰めです。

今日(13日)の一日を振り返り、夕方以降の前原誠司さんのパー
ティーの司会の報告や、昨日のホームレス問題の補足説明などを書
きます。

■6月13日(水)
◆朝8時から民主党の厚生労働部門会議。厚生労働省から最新の雇
用情勢について報告を受ける。一向に失業率は下がらない。今後の
衆議院の厚生労働委員会での審議の予定を議論。

そろそろ会期末まで2週間なので、どの法案を通す、どの法案は先
送りという議論が行われる。武正公一議員から、池田小学校事件に
ついての民主党の意見は?という問題提起もあり。

◆9時半からは、池田小学校事件についての民主党の今後の取り組
みについて、民主党政策調査会スタッフの田鹿さん、政策秘書の海
野君と議論。

いわゆる触法(犯罪を犯した)の精神障害者の処遇については、民
主党の厚生労働部会と公務部会の合同の議論となる。その厚生労働
部会での議論を水島広子議員(精神科医)を含めて行っている。

今回の事件は、精神障害との因果関係が依然、未解明である。単純
に触法の精神障害者の問題と関連付けるのは行き過ぎかもしれな
い。

しかし、一方では、今回の事件と切り離してでも、触法の精神障害
者に必要な医療が継続的に受けられる、あるいは、受けるように義
務付けることも検討課題だろう。

また、退院の時の判断が一人の精神科医だけでいいのか、複数であ
るべきか、法律家も関与したほうがよいのか、などということが検
討課題と考えられる。

さらに、今回の事件の背景には、一般医療より医師や看護婦や設備
で、はるかに劣っている精神医療。精神病院の実態がある。

お金をかけず欧米に比べてはるかに安上がりにしている貧しい精神
医療制度を改善せずして、現場の精神医療関係者を責めるのは酷で
ある。

今回の事件を機に、飛躍的に精神医療の質をアップさせねばならな
いと思う。

◆その後、日本版ADA法案(障害者の権利法)についても同じメ
ンバーで議論。

◆12時半から衆議院経済産業委員会に出席。山田敏雄議員が他の
委員会で予定が詰まっているための代理出席。肥田美代子衆議院議
員の質問と、平沼大臣の答弁を30分聞く。

◆その後、法務委員会所属の山内おさむ衆議院議員と池田小学校問
題を議論。

◆13時から衆議院の厚生労働委員会。農林共済年金の問題。

◆14時半から衆議院金融・財政委員会に出席。河村たかし議員の
代理。ちょうど隣の席は岡田克也政調会長。ここぞとばかりに、日
本版ADA法案(障害者の権利法)について説明し、理解を得た。

◆15時からは、党首討論。
鳩山代表は地球温暖化問題などについて小泉首相に迫る。

今日の小泉さんは、役所の原稿の棒読みの答弁も多かった。盛り上
がりに欠く党首討論だった。

◆15時45分から再び厚生労働委員会。

◆16時からは、色覚問題のワーキングチーム。中野寛成座長で私
が事務局長。堀議員、石毛議員、福山哲郎参議院議員が参加し、文
部科学省の担当者5人から、色覚異常の児童への対応や進路指導、
教員免許についての差別の禁止などについて現状報告を聞く。

日本に500万人の色覚異常の方がいる。この方々が差別を受けない
ように議論を重ねている。

◆5時に終わり、タクシーでホテルニューオータニへ。

5時半から「前原誠司衆議院議員と友人の会」の第一部基調講演。

私は司会役だ。前原議員と私は、松下政経塾以来、16年来の同志
だ。もともとは基調講演の講師は、竹中平蔵さんの予定だったが、
大臣就任のため、ピンチヒッターが自民党の元幹事長である加藤紘
一議員。

なぜ、民主党の若手のエースである前原議員のパーティーの基調講
演を加藤さんがするのか、ということでマスコミが大挙して押し寄
せた。

 科学技術、外交などについて40分の講演。後半には、鳩山さん、
菅さんも登場。

 6時半から第2部のパーティー。私は引き続き司会。

加藤さんは、スピーチで「小泉改革以降、与党も野党も関係ない。
国にとってよいことを力を合わせて改革していこう。党派を越えて、
前原さんのような素晴らしい若手議員とはこれからも議論をしてい
きたい。前原さんに頑張って欲しい」とエールを送った。

◆ざっとこんな一日でしたが、明日は、鍵田節哉議員やその政策秘
書の渡辺さんと私がつくったホームレスの自立を支援する法案の記
者発表です。

■そこで、昨日のホームレス問題について少し補足を書きます。

 昨日のメールマガジンの以下の部分
「僕たちも何度も市役所に行って、交渉してきたんだよ。おじさん
も市役所に行って、助けて下さいって言わなきゃダメだよ。生活保
護はもらえないの」
「生活保護は65歳以上でないとダメだんだよ。俺はまだ63歳だ」
「じゃあ、あと2年じゃないですか」(山井)についてご意見を頂
きました。

これは、「生活保護は65歳以上でないと受けられない」という印象
を与えてしまったかもしれません。本当は、年齢制限はありません。

しかし、問題は、実際には「生活保護は65歳以上」という運用を
している自治体が多いということです。

現実には、65歳以下の入院していない男性に対しては、就労可能
とみなして、実際に就労できているかどうかにかかわらず、なかな
か生活保護の適用をしない自治体が多いのが問題なのです。

本来セーフティーネットとなるべき生活保護が十分機能していない
この実態が、ホームレスを作り出しています。

実際、昨日のホームレスの方が仕事がない、泊まる場所もないと訴
えているのに、役所がきっちり対応しないのは人権無視なわけです。

◆また次のような表現も昨日のメールマガジンにありました。

「それまでに死んじゃうよ。それに生活保護は居住地は決まってな
いとダメなんだよ」
 注(厚生労働省は、「居住地がなくとも生活保護は申請できる」
としているが、自治体は居住地が決まっていないと申請を受け付け
ない場合が多い)

 これについても、法律では、「生活保護は、居住地が不定でも申
請・受給することができる」となっているのです。

 しかし、居住地が不明/不定の場合、事実上(つまり役所の窓口
で)申請が受けつけられないのです。

 このように法律と実際とは大きく違うのが問題なのです。

 たとえば、名古屋地裁で1996年10月に、「不況で働けない野宿労
働者に対する生活保護制限は誤りである」との判決が出ています。
このときの原告の林さんは58歳でした。
 (「林訴訟」で検索するとすぐにヒットします)
 <参考>
http://www.jca.apc.org/nojukusha/nojiren/nojiren-old/inoken/text
/act/nojukusha/ref/hayashi.html


 国民に健康で文化的な最低生活を保障することは国の義務です。
この生存権を保障するために、生活保護法はあります。

「住所不定者」の申請は受け付けない、「就労可能者」は対象とし
ないなどという、地方行政窓口によるさじ加減運用を戒めなければ
なりません。

 以上、メールマガジンの読者の方からアドバイスを引用しながら、
不十分な昨日の記述を、より正確に書き直しました。

◆それにしても、建設の日雇い労働からあぶれたホームレスの方々
を前にして、私たちはよく駅前で、「ばらまきの無駄な公共事業は
やめましょう」とマイクで演説しているのです。

その公共事業がなくなったからホームレスの人々は増えたのです。
これは本人の怠慢というよりは、土木建築業に変わる雇用の受け皿
を用意してこなかったという国の責任だと思います。私たち議員も
責任の一端を痛感します。

◆以前、日本に来日したマザーテレサは、次のように言ったそうで
す。

「カルカッタの私の『死を待つ人の家』に多くのボランティアが日
本から手伝いに来てくれてる。しかし、日本人はわざわざカルカッ
タまで来なくてよい。日本にも多くの野宿者がいるじゃないですか。
その方々をまず助けてください」

◆私もカルカッタの「死を待つ人の家」で数日ボランティアをした
ことがある。行き倒れの人の収容施設だ。

しかし、日本とカルカッタとは根本的に違う。カルカッタは世界一
貧しい都市で、住民みんなが貧しくて行き倒れの人も多いのは、あ
る意味、仕方がない。

しかし、日本は世界一モノが豊かな都市だ。にもかかわらず、そこ
に多くのホームレスが存在することは、それは政治の責任ではない
だろうか。
 以上で、今日のメールマガジン終わります。合掌 
           やまのい和則 拝

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