。☆〃。☆〃。☆〃。☆〃。☆〃。☆〃。☆〃。☆ やまのい和則の 「軽老の国」から「敬老の国」へ - Yamanoi Kazunori Mail Magazine - 第33号(2000/09/02) 。☆〃。☆〃。☆〃。☆〃。☆〃。☆〃。☆〃。☆ メールマガジンの読者の皆さん、こんにちわ。 ご無沙汰してしまい申し訳ありません。 スウェーデンからメールマガジンを発行するつもりが、私のパ ソコンではうまく国際メールが送れず、断念しました。 設定の仕方がわからなかったのです。申し訳ありません。 .:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:. 今は、帰りの飛行機の上。 日本時間で9月1日(金)晩の10時43分。3時間ほど前にウイ ーンを飛び立ち、いまはモスクワの上空。現地時間は午後3時40 分です。機内食を食べながら、このメールを書いています。 このメールマガジンの発行は、おそらく9月2日になると思い ます。今回も政治と福祉とグループホームのメールマガジンの内 容は同じ。3つの内容が混ざっているのです。申し訳ありません。 スウェーデンの政治・経済、スウェーデンの高齢者福祉、スウ ェーデンのグループホームの最新情報をお届けします。 .:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:. 4日間のスウェーデン滞在調査で、書きたいことは山ほどあり ますので、すべてメールマガジンでは書ききれないので、何回か に分けるか、一部はホームページに載せるかになると思いますが、 とにかく、書き始めます。 幸運にも私が座っているエコノミークラスのオーストリア航空 の隣の席は空席なので、気にせずパソコンを打てます。 帰路は、ストックホルムを朝の10時40分に出て、ウイーンで 乗り換え、関西空港へ。合計14時間。往復で14万円です。 妻はあと1週間スウェーデンに残り、高齢者福祉や地方自治、 痴呆、オンブズマンなどを調査。 私は予定が9月2日の朝から入っているのでスウェーデンに 4日間滞在で帰国です。 .:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:. 日本に着くまであと9時間。 バッテリーがある限り、パソコンを打ちつづけます。このパソコ ン本体で1時間。外付けのバッテリーでさらに3時間。合計4時 間ほど打てると思います。 眠るためにワインを飲みながらなので、大雑把な内容になるこ とをお許しください。 .:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:. さて、7年ぶりのスウェーデン訪問は、正味4日間。 非常に有意義でした。 私が、国会議員になって初めての、海外調査であり、妻と二人 で全額自己負担。もとを正せば、歳費という国から私が毎月もら っているお金の一部で、調査に行かせてもらうのですから、 「しっかり勉強せねば申し訳ない」との気持ちが強い調査でした。 .:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:. さらに、あとで詳しく触れますが、痴呆性高齢者向けグループ ホームを初めとした、「スウェーデンの高齢者福祉」視察が大き な目的でした。 最大の目的は、私の一番の恩人であるブラウアー英子さんのお 墓参りでもありました。 私と妻がスウェーデンのべクショー市でのホームステイを初 め、過去10年、本当にお世話になった英子さん(当時65歳)が 4年前に、すい臓ガンで亡くなられました。 その頃は、前回の選挙の前であり、スウェーデンに駆けつける こともできず、今回、当選してやっとお墓参りに行けました。 .:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:. 今回の滞在のスケジュールは、 8月27日(日)の朝11時に関西空港を飛び立って、 27日の晩9時に、デンマークの首都コペンハーゲンに到着。 そこからスウェーデンのマルメに汽車で移動。夜はスウェーデン 南部の都市、ルンド泊。 .:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:. 8月28日(月)は、朝から私の母校、ルンド大学の社会学部 を訪問。指導教官であったペールグンナル教授にはお会いできま せんでしたが、秘書のボーフリアさんと再会。 昼食は「スウェーデンの地方自治」の著者であり、「スウェー デンの地方分権の父」とも言われるルンド大学政治学部のアグネ ・グスタフソン教授の家でご馳走になりました。 そして、スウェーデンの現状の話を聞きました。アグネ先生は 私の妻の指導教官でした。 午後は、7年前に住んでいた家を訪問。隣の家のおばあさんと 7年ぶりの再会。ご夫妻ともかなり年をとっておられましたが、 健在で安心。 私はルンド大学で1年半、高齢者福祉を研究しました。 その前の半年は、べクショー市のシグフリッド国民高等学校で、 イラクやソマリア、カンボジアからの政治難民とともに全寮生活 をしながら、スウェーデン語の勉強をしていました。 8月28日の晩はべクショーに列車で移動し、べクショー大学 経済学部教授、鈴木満先生のお宅で、夕食をご馳走になりながら、 スウェーデン経済について、話を聞きました。 IT革命の成功により、スウェーデン経済は好調で、失業率も 低下しています。 .:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:. 8月29日の午前は、7年前に私がよく訪問した「ダルボ」ケア 付き住宅と併設されたグループホームを訪問。 7年間でグループホームはやっぱり変わった。 ここには、地元新聞のスモ―ランドポストの記者が来て取材。 私のグループホーム訪問は、翌朝大きくとりあげられました。 そのあと、母校であるシグフリッド国民高等学校に訪問。 午後は、ブラウアー英子さんのお墓参り。 そして、べクショー大学訪問。晩は、国民高等学校の恩師でもあ るオリアン市会議員夫妻と夕食。 .:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:. 8月30日は朝6時15分の飛行機で1時間。 スウェーデンの首都ストックホルムへ。 まず、スウェーデン大使館に、日本の厚生省から出向している 森さんから、スウェーデンの近況についてレクチャーを受ける。 午前中は、日本スウェーデン議員連盟の事務局を訪問。 来年5月に日本に来るスウェーデンの国会議員の視察の受け入れ について相談。 午後は、グループホームを訪問調査。 ここにもスウェーデンラジオの記者が来て、「日本の国会議員が スウェーデンのグループホームを訪問」という取材を受けました。 その後、スウェーデンの国会を訪問し、旧友であるカーリン・ ウゲストロム国会議員と再会。 彼女に改めて国会を案内していただき、意見交換した後、 スウェーデン国会の厚生委員会スタッフと、高齢者福祉政策など についても意見交換。 夕方からは、ストックホルム在住20年、福祉研究家である 奥村芳孝さんと、カールマル在住の藤倉カールソン篤子さんと 7年ぶりの再会。 .:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:. 8月31日は、午前中はグループホームとケア付き住宅を訪問。 午後は、痴呆協会を訪問。 .:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:. 9月1日の朝、ストックホルムを発ち、今この飛行機に乗って います。 .:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:. さて、これから調査などについて報告しますが、非常に長くな ると思いますので、適当に読み流してください。 (注・期待してお読みください。メルマガ担当) 1つ1つのインタビューや、訪問調査をすべて報告すると 1冊の本になります。ここでは、そのエッセンスをお届けします。 .:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:. まず、スウェーデンの経済は好調です。経済成長率3.8%。 失業率5%。これは非常な好景気です。 そもそもスウェーデンでは女性も90%が外で仕事を持ち働い ているので、それで、失業率が5%というのはかなりの低さです。 1992年から1993年までの2年間、私は妻とスウェーデンに 留学していましたが、その時は、日本の景気が良くて、スウェー デンの景気が悪かったのですが、今は逆です。 スウェーデンでは、財政再建が成功し、財政が黒字になり、 さらに、IT革命が成功し、輸出も好調。羨ましい。 ただ、福祉現場は以前よりも苦しい雰囲気。 また、7年前は1クローナ=17円でしたが、今は12円。円はは るかに強くなり、日本人はスウェーデンでは安く滞在できます。 これは数字だけではなく、7年前に比べて、 街を走る車が新しい。 タクシーがつかまらない。 レストランも満員。 などで実感できた。街の車も日本車が減ったEUの影響だろう。 .:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:. まず、IT革命の成功について。 スウェーデンはフィンランドに次いで、世界で二番目にインター ネットが普及している。 国民の60%がパソコンを利用。子供からお年寄りまでもが パソコンに親しみ、幼稚園から大きなパソコンに親しませている。 .:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:. まず、驚いたのは、スウェーデンの主要新聞であるダーゲンズ ・ニューヘテルを初め、すべての新聞では、記事のあとに新聞記 者の署名とその記者のメールアドレスが書いてある。 ですから、読者が、記事に質問や意見があれば、すぐに記者に アクセスできる。 実際、今回、スウェーデンに行くにあたって、恩師であるルン ド大学のペール・グンナル教授への連絡は、日本からルンド大学 のホームページにアクセスし、その中にペール教授のメールアド レスがあり、そこにメールを送って連絡した。 スウェーデンは、国会議員のメールアドレスも、大学教授のメ ールアドレスもすべて公開。 つまり、完全な情報公開だ。 .:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:. さらに、スウェーデン政府や、スウェーデン厚生省の高齢者福 祉の報告書を買おうと思ったら、以前は、街の本屋で買えたのが、 今ではインターネットでしか買えなくなっています。 これも人員削減の一環らしい。 .:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:. 街では日本と同様に、携帯電話があふれる。 メーカーはノキアとエリクソン。 この携帯電話の威力は、はるか日本まで、携帯電話で通話ができ る。スウェーデン人が来日しても、スウェーデンと連絡がとれる こと。 ただ、iモードはない。これには、「日本のほうが進んでいる!」 と誇らしく思った。 .:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:. また、母校のルンド大学のホームページも充実している。 スウェーデン語と英語の両方があり、日本からアクセスしても、 どの教授が最近どのような論文を発表しているかがわかり、その 論文も取寄せられる。 そのホームページを担当しているビルギッタ・ボーフリアさん から、「カズ(筆者)も日本から選挙や政治活動の写真を送りな さい。ホームページに載せてあげるわよ」と言われた。 ルンド大学事務室の掲示板に、私の選挙のパンフレットが貼っ てあり、笑った。 (ここで内臓バッテリーが終了。あとは外付けバッテリー。残り 日本到着まで8時間。バッテリーが続く限り打ちます。なくなれ ばその時点で終わりです) .:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:. 私はルンド大学福祉学部で、7年前に客員研究員として、1年 間研究した。スウェーデンの福祉が参考になるのは、日本よりも 高齢化が10年早く進んでいるので、スウェーデンの現状を知る ことにより、日本の10年後を予見することができるのだ。 しかし、今後10年、スウェーデンは高齢化率は横ばい。 そして、日本は高齢化が、急速に進む。 日本はスウェーデン以上に、高齢者福祉に力を入れねばならない。 .:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:. なお、IT革命については、スウェーデンではもともと教育に 非常に力を入れている。 教育にも2つある。 幼稚園から大学に至るまで、コンピューターに親しむ教育をし ている。 成人教育も無料で世界一充実している。 .:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:. そして、スウェーデンでは失業者に対する教育も充実している。 失業させて、ただお金を出すだけではなく、スウェーデンでは失 業者に対して、コンピューターなどの職業訓練を受けさせ、たと えば、金属工場の仕事を失業した人が1〜2年後には、コンピュ ーターの仕事につけるようにしている。 あるいは、一般の事務で失業した女性が、介護の勉強をし、 1年後には、老人ホームで働けるように再教育する。 .:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:. つまり、高齢化や情報化という時代に合った人材育成に力を入 れている。 .:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:. このIT革命とともに、失業率を下げる政策について言えば、 スウェーデンには、労働市場担当大臣がいて、労働市場政策 つまり、失業率を下げることに非常に力を入れている。 .:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:. 日本では、今までは企業が終身雇用という形で、雇用を保証し ていたので、政治の世界では、雇用は、それほど重要なテーマで はなかった。 しかし、リストラが増え、企業が終身雇用を、維持できなくな った今、日本の政府も、雇用政策に真剣に取り組む必要がある。 そのためには、スウェーデンのような職業訓練や失業者への再 教育が必要だ。 .:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:. では、IT革命で日本はなぜ遅れをとっているのか。 確かに、日本でも森首相がIT革命を提唱している。 たとえば、日本では今回の衆議院選挙でも候補者のホームペー ジは禁止であった。 つまり、インターネットを活用した選挙は、アメリカでは真っ 盛りなのに、日本では禁止。 これでは、「IT革命を全力で推進します!」という掛け声と、 実際が違いすぎる。 .:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:. これについて自民党は、「まだまだ、パソコンやホームページ を使っていない国会議員が多いので、インターネットを活用した 選挙は、インターネットを使っていない政治家に不利になる」と いう理由を述べている。 さらに、「インターネット利用者の7割が民主党支持」という 統計もあるので、下手に解禁すると、自民党に不利になると自民 党は考えているのであろう。 .:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:. 国の未来よりも、自分の政党の保身に走っているように思う。 こんなことではIT革命は進まない。 政治家が率先垂範をせねば。 .:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:. 次に、福祉、特に、グループホームの話にうつる。 さる8月4日、厚生委員会で、私の初質問で、痴呆性高齢者向 けグループホームのことをとりあげた。 グループホームのことが、日本の国会で取り上げられたのは、 これがほぼ初めてである。とりあげた以上は、私も責任を持たね ばならない。 そんな気持ちで今回も、4日間で4ヶ所のグループホームを、 訪問した。非常に考えさせられた。 .:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:. 7年前に比べて、グループホームの入居者が、非常に重度化、 高齢化している。 グループホームについて詳しくは、私のグループホームのホー ムページを見ていただきたいが、グループホームの最大の目的は、 痴呆性高齢者が、グループホームで食事の準備などを、手伝いな がら残存能力を発揮し、それにより、痴呆の進行を遅くしたり、 症状をやわらげることだ。 .:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:. しかし、今回訪問した4ヶ所で痛感したのは、いわゆる一緒に 食事をつくったりする「生活リハビリ」が、もはやできない、高 齢で重度な、痴呆性高齢者が、増えているということだ。 .:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:. 順に紹介する。 べクショーの「ダルボ」グループホームは、120人入居のケア 付き住宅の一角を、痴呆性高齢者向けのグループホーム(7人) に改築したものだ。 7年ぶりの訪問で痛感したのは、7人中、2人が車椅子である こと。さらに、4人が介添えがないと歩けない。歩ける痴呆性高 齢者が、スタッフと一緒に、パンを焼いていた7年前とは、かな り雰囲気が違う。 一言で言えば、ミニ老人ホーム(グループホームではない)。 ここに開設以来、11年間、勤務している、介護職員のイングリ ッドさんは、「ひとりも料理を手伝える入居者は、今は、もうい ない」と言う。 7年前に、私と一緒に、ダンスを踊っていた入居者アンナさん も92歳で昨年亡くなってしまったという。 ただ、入院が必要にならない限り、死ぬまで入居者はグループ ホームに入居していられる。 .:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:. グループホームには、入居待ちで1年くらいの待機者がある。 「生活リハビリができない重度の痴呆性高齢者は、老人ホームに 移ってもらい、生活リハビリがまだできて、グループホームを本 当に必要とする、中度の痴呆性高齢者を、優先的にグループホー ムに入れたほうがよい、という意見はないのか」と質問した。 「そのように考える職員もいるけれど、ここは住居。お年寄りの “自宅”なのだから、誰も無理やりお年寄りを追い出すことはで きない。特に、本人は意思表示はできないけれど、家族がずっと グループホームで預かってほしいと言う」とイングリッドさん。 ここで残念ながらバッテリーがなくなりました。続きは、日本 に帰ってからのちほど送ります。ご期待ください。 やまのい和則 拝 |