。☆〃。☆〃。☆〃。☆〃。☆〃。☆〃。☆〃。☆ やまのい和則の 「軽老の国」から「敬老の国」へ - Yamanoi Kazunori Mail Magazine - 第34号(2000/09/03) 。☆〃。☆〃。☆〃。☆〃。☆〃。☆〃。☆〃。☆ メールマガジン読者のみなさん、こんにちわ。 無事日本に帰国し、自宅でこのメールマガジンの原稿を、書い ています。 .:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:. 今回は前回に続き、スウェーデングループホーム「ダルボ」の 報告です。 さて、グループホーム「ダルボ」を見て、7年前よりもかなり 入居者が高齢化、重度化し、車椅子の入居者も7人中2人。 私はこの姿を見て、日本のグループホームの5〜7年後を見 た思いだった。日本ではここ2〜3年でグループホームが500か 所ほどに増え、来年度予算でもさらに500ヶ所増える予定だ。 しかし、数年後には、スウェーデンと同じように車椅子に乗っ た痴呆性高齢者がグループホームにも増えるであろう。 .:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:. グループホームのスタッフによると、 「入居時に、すでに車椅子である痴呆性高齢者を、グループホー ムが拒むわけではないが、実際には、グループホーム入居時はほ とんどの痴呆性高齢者が歩行可能である」という。 しかし、足腰が弱り、車椅子になったからという理由で、痴呆 性高齢者がグループホームを追い出されることはないという。 それは、グループホームが「住居」であり、「自宅」である以 上、本人は意思表明できなくとも、家族が「最後までグループホ ームで面倒見て欲しい」とたいてい言う以上、追い出すわけには いかないのだ。 .:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:. 今回スウェーデンで訪問した4箇所のグループホームすべて で、スタッフは「入院治療が必要になる場合をのぞいて、グルー プホームで最後まで面倒を見る」と言っていた。 ただし、あるスタッフは、「身動きできなくなると、本当は、 グループホームの良さが十分に発揮できないんですけれど」と言 った。 実際、「ダルボ」グループホームでも7人中、食事づくりを手 伝うことができる入居者は、ゼロであった。 .:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:. また、7年前と明らかに違ったのは、地域看護婦の活躍である。 地域看護婦とは、日本の訪問看護婦に似ているが、より医師に 近い大きな権限をもっている。 「ダルボ」グループホームにも、1日に3回、定期的に地域看 護婦が登場している。 「入居者が重度化するので、地域看護婦の役割は、ますますグル ープホームにとって大きくなる」とケアスタッフは言う。 ここでは、併設された介護付き住宅(サービスハウス)に、地 域看護婦が常駐しているのですぐに来られる。 .:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:. この点(併設)について、スタッフのイングリッドさん(介護 職員)は、「最後までグループホームで面倒を見るわけですから、 老人ホームや介護付き住宅、病院などとの併設のほうがグループ ホームは安心です」という。 「単独型グループホームはバックアップが不安」と言う。 スウェーデンでは、グループホームのうち単独型は1割も満た ない。 また、単独型でも多くのものはユニット型であり、グループホ ームが2〜4つくっついたものである。 しかし、私はイングリッドさんに言った。 「スウェーデンでは、併設する相手のケア付き住宅や、老人ホ ームが街中(まちなか)にあるので、グループホームも併設型で 問題はない。 日本では、老人ホームが地価の安い街はずれにある場合が多い ので、併設型ばかりだとグループホームも街はずれになり、 グループホームの理念である“住み慣れた地域で老いる”を実現 できない。だから、日本では単独型グループホームも数多く必要 だ」と言った。 イングリッドさんにしてみたら、「なぜ、日本では老人ホーム が街はずれに建てられているのか」が理解できないようだった。 .:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:. ここで、話はずれるが、以上のようなやりとりを、私は7年ぶ りに話すスウェーデン語で話した。正直言って、多少相手に通じ ていなかった部分もあるが、自分で言うのもなんだが、グループ ホームの取材だけはスウェーデン語が、すらすらでて、議論がは ずむ。 一般の会話はカタコトなのに。 .:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:. イングリッドさんは、グループホームのスタッフにとって最も 大切なことは“チームワーク”だと言った。スタッフ同士が十分 に話し合い、目指すべきケアのイメージを一致させることが大事 だという。 改めて居室を訪問させてもらったが、車椅子対応のバス・トイ レ、居室、キッチンがすべての部屋についている。 だから、グループホームは自宅であり、住居なのだ。 .:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:. ここで、グループホームの原語に触れねばならない。 グループホームはスウェーデン語では gruppboende(グルップボエンデ) あるいはgruppbostader(グルップボーステーデル)と言う。 gruppはグループ。 boende,bostaderは「住居」「居住」「住宅」という意味。 ただ日本で「グループ住居」などというとわかりにくいので グループホームとなっている。 ちなみに、英語ではgruop-living(グループリビング)。 英語ではグループホームではないのだ。 .:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:. またイングリッドさんが言うには、「重度の痴呆性高齢者が増 えると、スタッフが二人がかりで、介護せねばならない場合も出 てくるので、スタッフを増やす必要がある」と言った。 現時点では、入居者7人に対して、日中は3人、晩は1人のス タッフ。ただし、夜勤専門の職員がおり、日勤と夜勤とは別々の 人がしている。 .:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:. 以上、スウェーデン報告の第二回目のメールマガジン、痴呆性 高齢者グループホームについてでした。 また続きをお楽しみに。 実は、写真もデジタルカメラでたくさん撮りました。ただ加工 しないとホームページに載せられないので、7〜10日後くらい を目途にグループホームの写真も、ホームページに掲載します。 やまのい和則 拝 |