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   やまのい和則の
     「軽老の国」から「敬老の国」へ

     - Yamanoi Kazunori Mail Magazine -

            第30号(2000/08/14)

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                      (8月14日)
 読者の皆さん。暑いですね。京都は毎日、酷暑です。
16日、京都では恒例の大文字の送り火(5山のひとつ)。
私もお墓参りに行ってきます。

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 今日のメールマガジンでは、身体拘束についてお送りします。

 痴呆症のお年寄りをベッドに縛ったりする身体拘束は、私がも
っとも早急に解決せねばならないと、この十年以上思いつづけて
いる問題です。

 国会・厚生委員会の初質問でも厚生大臣に対して、
「身体拘束ゼロ作戦」の実施を迫りました(その簡単な内容は、
このメールマガジンの巻末・民主党メールニュースより に載っ
ています)。

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 そのような私の取り組みに対して、老人施設職員さんから、
次のようなメールを頂きました。

 非常に重要な指摘だと思いますので、そのメールと私の返事を
読んでください。
是非、多くの方からのご意見を頂ければ幸いです。
お年寄りも、そして、職員さんもハッピーになれるように、いや、
現場の職員さんが、ハッピーに働ける環境でないと、身体拘束も
なくならないでしょう。

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(頂いたメール)
 私の働いている老人福祉施設では、身体拘束は廃止していこう
と、さまざまな取り組みをしています。確かに、多くの人員を配
置し、環境を整備すれば、身体拘束ゼロも可能です。
 しかし、わが施設は基準より多くの職員がいる、という理由で
これ以上人員を増やすどころか、減らしてゆこうとしています。
 現場の事情も把握していない上司が、理想ばかりを追い求め、
「身体拘束ゼロ」をスローガンに、一人で張り切っているとしか
思えません。身体拘束の廃止は、きちんと環境を整えた上でやっ
ていきたいです。

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(私の返事)
 メール有難うございました。とても参考になりました。
実は、身体拘束ゼロ作戦で、連日、厚生省のある方と議論してい
ます(その方が必ずしも厚生省全体の意見を、代弁しているかど
うかはわからない、ということをまずお断りして、Aさんと呼ぶ
ことにします)。

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 議論の焦点は、
身体拘束ゼロにするには、「人手を増やす必要があるか」という
ことです。どう思われますか。
Aさんはノーと言います。
「人手が少なくとも、身体拘束をしていない施設もある。人手が
多くとも、身体拘束をしている施設がある。
よって、身体拘束を減らすには、必ずしも人手の増加は必要ない。
施設長や現場職員の意識改革、拘束せずに介護できるノウハウ・
事例の提供、拘束を減らすための福祉機器の普及などで、拘束は
減らせる」というのです。

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 私も老人病院で実習し、お年寄りがベッドで縛られている何度
も目の当たりにしたことがあります。
 また、老人ホームの実習では、人手が少ないがゆえに、お年寄
りと話す時間も十分になく、腰痛で苦しみ、走り回っている職員
さんの姿を見ています。入浴介助で私も腰を痛め倒れました。

 ですから、人手を増やすことの必要性は、痛感しています。

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しかし、Aさんは言います。
「下手に、身体拘束を減らすのは人手を増やさないとダメだ、と
厚生省が認めると、それを現場から逆手にとられてしまう。

“うちは人手が少ないから身体拘束せざるを得ないんだ。厚生省
も身体拘束を減らすには、人手を増やすことが必要だ、と認めて
いるのではないか。人手が増えない限り、今まで通り身体拘束を
していいのだ”、ということになる。

本来、現場の意識や努力で、今の人手で、身体拘束を減らすこと
ができる施設でも、身体拘束を減らす努力を怠ってしまう。

結果的には、身体拘束ゼロ作戦そのものが大失敗していまう危険
性がある」と。

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 もちろん、理想は、施設職員の人手を簡単に増やせれば良いの
です。厚生省もそれを望んでいます。

 しかし、厚生省の立場からすれば、大蔵省が、増員の予算をそ
う簡単にOKしてくれるはずがないので、現実問題として、
「人手を増やさず、身体拘束はゼロにできます、ゼロにして下さ
い」と言わざるを得ないのだ、と思います。

 私も、腰痛で苦しみながらお年寄りのために走り回っておられ
る現場の方々の思いは痛いほどわかります。
ただ、厚生省のAさんの言い分にも一理はあると思います。
どうか率直なご意見をお聞かせください。          
                     山井和則 拝

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(参考:民主党メールニュースより転載)
 先の衆院選で、初当選した山井和則議員が、4日の衆院厚生委
員会で初めての質問に立ち、ライフワークとして取り上げている
介護問題について政府の見解をただした。

 この日の質問は、議員が、説明用にスライド映写機の、持ち込
みを提案したことが、理事懇談会で議論に。
衆院では、35年前に参考人の医師が、スライドを使用したこと
があるだけで、なんと議員が使うのは初めてのケース。

「みんなでスライドを見て、共に考えるところに意味がある。
論より証拠で、目で見てほしい」と山井議員が訴え、
「前例とはしない。テストケースとして使用を許可する」
(遠藤委員長)と、史上初のスライドを使っての、委員会質疑が
実現。
「変なことで歴史に名を残すことになった」と山井議員は苦笑い。

 質疑では、まず山井議員は、老人施設での身体拘束の実態を取
り上げ、
「過去15年間、介護問題に取り組んできて、最もショックだっ
たのが身体拘束。諸外国には少なく、日本に多く見られる人権無
視の悲惨な処遇だ」と、ベッドにヒモで縛られた老人の写真を映
し出した。

 その上で、「なぜ放置されてきたのか。
多くの方が身体拘束で死期を早められた。
私の知人にも縛られて無念のうちに亡くなったお年寄りがいる。
家族も泣いている。
縛る職員も安全のためと泣きながら縛っている」と述べ、
このような現状を1987年当時から把握しながら、
放置してきた厚生省の責任を問いただした。

 厚生省側は「いろいろやったけど実効はあがらず、残念だ」と
答えるのが精一杯だった。

 山井議員は、身体拘束の廃止は、一刻を争う問題だとして、
まず実態調査をきっちりと行い、基準違反には保険指定の取り消
しを行うなどの厳しい姿勢で臨むよう、強く求めた。

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 また、グループホームについては、
「痴呆性高齢者の介護対策に、グループホームが重要だが、数が
あまりにも少ない」と指摘。
グループホームへの介護報酬の引き上げや、施設整備の補助金の
条件を緩やかにすることなどを求めた。

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なお、民主党 「介護保険 公聴会」を行います。
8月26日(土)1:30〜16:00
滋賀県大津市 びわこホール、322人定員
厚生省担当者、大津市担当者、サービス利用者代表、サービス提
供事業者代表が介護保険の現状について発言。
私がコーディネーターをします。是非、お越しください。
詳しくは、福祉のホームページ(おすすめ講演会)に掲載。

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