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    やまのい和則の
      「軽老の国」から「敬老の国」へ

      - Yamanoi Kazunori Mail Magazine -

            第21号(2000/05/26)

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 メールマガジンの読者の皆様へ

 580人の方にこのメールマガジンは読んで頂だいています。
本当に有難うございます。

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 さて、グループホームのホームページがまだ、一部工事中のた
め、グループホームのメールマガジンもまだ発行していません。
申し訳ございません。
 グループホームのホームページが本格にスタート次第、グルー
プホームのメールマガジンもスタートします。しばらくお待ちく
ださいますように。

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  ただし、グループホームのホームページでは、一部の原稿と掲
示板はオープンしています。私も初めて掲示板をつくってみまし
た。のぞいてみてください。

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 5月24日に、大阪府池田市のNPO法人の招きで、グループ
ホームの講演をしました。

 講師紹介で「やまのいさんはネコが好きだそうです」という紹
介があり、驚くと、「ホームページのプロフィールに書いてあり
ました。好物は、たこ焼きと漬物でしょう」と言われました。
 ホームページの影響力に、改めて脱帽しました。

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 今回の講演は80人。この法人は、池田市初のグループホーム
を単独型二階建て9人のグループホームを1階、2階に2つつけ
るツイン型として、来年にオープン予定。

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 スライドで、日本やスウェーデンのグループホームを説明。
それに比べて、老人病院の痴ほう病棟は・・・・・と話す。

 スライドでは、
目もうつろに長い病院の廊下を歩く痴呆性高齢者、
睡眠薬で寝かされる痴呆性高齢者、そして、
柵をつけられ病院のベッドの上にひもで縛り付けられる痴呆性高
齢者の姿。

 何人もの方が、ハンカチで目をおさえておられる。

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 ある病院での実習の時。
 あるお年よりは、紐でベッドに縛られていた。私の手を握って、
「先生、このひもほどいてください。家に帰りたいんです」と訴
えた。実習生の私は、「風邪をひいておらるので、もう少し我慢
してください」と、うそをついた。

 その方は、その晩、「大きいのが出そうなので、トイレに連れて
行ってください」と、私の手を握って離さない。

 しかし、その50人の痴呆病棟では、夜勤スタッフは3人で、
トイレ誘導は無理でした。
 その方は、その後、拒食症になり、2か月後に亡くなられた。

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 「この方にとっては、柵をされ、縛られ、トイレにも連れて行
ってももらえず、こんな境遇に対する唯一の抗議の方法が、食事
拒否だったと思います」。

 「“私はこれでも尊厳ある人間なんだ。こんな虐待をされて生
きていけるか”。この方の最後のプライドが、食事拒否につなが
ったと思います」と。

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 多くの方は、ハンカチで目頭をおさえられる。私も不覚にも講
演しながら、涙をふく。

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 なぜだ、なぜなんだ。

 なぜ、日本では痴ほう病棟という形で、痴呆性高齢者を病院に
入れているんだ。

 欧米では、痴呆性高齢者は、病院に入れても医療費がかさむだ
けで、本人にも良くないと、グループホームケアやユニット型老
人ホームが当たり前になっている。

 しかし、日本では、痴呆病棟に多くの痴呆性高齢者が、なお入
院している。

 私は、過去10年以上、痴呆性高齢者向けグループホームを日
本で普及させる運動をしてきた。
 今回、紹介したような、グループホームで、生活していれば、
もっともっと人間らしく暮らせるはずの痴呆性高齢者が、病院の
ベッドで縛られている姿を見るのは、もう耐えがたい苦痛だ。

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 先日、丹羽厚生大臣が「身体拘束ゼロ作戦」を発表し、今、述
べたようなベッドにひもで痴呆性高齢者を縛ることや、椅子に痴
呆性高齢者を縛ることを、ゼロにすると、記者発表した。

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 一歩前進である。が、反面。

 いまさら、何を言ってるんだ。もう10年以上前から、大熊一
夫さん、大熊由紀子さんをはじめ、多くの方々がこの「縛り」の
問題を指摘しつづけてきたではないか。

 なぜ、対応がこんなに遅いのか。そのために、この10年間に
どれだけ多くの痴呆性高齢者が、涙を流し亡くなっていったこと
か。

「人員が増えない以上、縛るなといわれても、危険を防ぐために
は・・・・・」。
 施設や病院側のコメントです。

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もっともである。

 私としては、絶対に拘束は禁止すべきだと思う。

 しかし、人員配置をもっと厚くしなければいけない。

 そのためには、施設や病院でもグループホームケアをできるよ
うにせねばならないと思う。 

 そのNPOは、池田市で日本のモデルとなるようなグループホ
ームをつくってくれると信じている。

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 追伸
 昨日、5月25日付け日経新聞夕刊の、生活情報面に、痴呆性高
齢者向けグループホームの、特集記事が出ました。

 「グループホームが増えない」という主旨でした。
私も取材を受けましたが、素晴らしい記事だと思います。ご関心
のある方は読んでください。

「痴呆ケアの切り札であるグループホームがなぜ増えないのか」
について
「介護報酬の低さ、単独型への建設補助のないこと、在宅扱いで
自己負担が高い」などとの、問題点がきっちり書いてあります。
           やまのい和則 拝

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