22.平等寺 〜 23.薬王寺

2003年8月9日(土) 7日目
JR徳島駅前
<写真1 JR徳島駅前>
・・・二十二番平等寺へ 5.0km ・・・

   ★徳島入り 京都宇治→徳島(阿瀬比バス停)★

 台風10号が接近する中、8月8日(金)昼前、宇治の自宅を出発。JRの電車を3本乗り継ぎ、JR舞子駅で下車。徳島行き高速バス乗り場に向かった。満員のため一台を見送ったが、14:10発車予定の高速バスに乗車。

 高速バスは15:35JR徳島駅に到着。雨は思っていたほど強くないが、風は強く、傘は意味をなしていない。バスが信号待ちで停車していると横揺れを感じるほどだった。バス車内でレインウェアを着てから下車した。<写真1>

 明日、乗車予定の徳島バス丹生谷線のバス乗り場と発車時刻を確認したあと、駅前の高速バス待合室に寄ってみると入口は閉じられ「15:00以降のバスは運転を休止します」と張り紙がしてあった。あと少しJR舞子駅到着が遅れていれば四国入りできなかったのだ。

 この日は駅から徒歩15分ほどの富田橋近くのホテル野上屋に宿泊。高速バス車内から予約の電話を入れた。このホテルのロビー<写真2>にパソコンが一台置かれ、空いていれば自由に使うことができた。

 レインウェアは着ていたものの、ホテルに着くまでに相当濡れた。お風呂(サウナ付き)に入ったあと、風雨がきつくなる前にレインウェアをまた着用し、夕食を食べに行った。夕食は両国橋近くの「福助」。ここには「お遍路さまの休憩処」との看板があった。

 ホテルに帰って、TVをつけると番組を変更して台風関連のニュースを流していた。時間の経過とともに風雨がさらに増している。午後9時30分頃、台風10号は室戸市に上陸したので、徳島市周辺も通過したであろうが、TVを見ながらいつの間にか寝てしまった。

 8月9日(土)午前7:00起床。風は強いが雨は降っていない。徳島駅を8:30に出発するバスに県庁前から乗車するので時間がある。朝からサウナに入りヒゲを剃り、ホテルロビーのパソコンでネットサーフィンをしてから、8:15ホテル野上屋を出発した。県庁へ向かう途中<写真3>、街の人が道路に散乱しているゴミや木の葉を集められておられた。

 バスは定刻通り8:36県庁前を出発した。この時乗客は5名。いくつかの川を渡ったがいずれも濁っていた。バス乗客は、途中で二人乗って来られたりで入れ替わりがあったが、阿瀬比<写真4>で僕が下車するとバスの乗客はなくなった。
ホテル野上屋ロビー
<写真2 ホテル野上屋ロビー>
県庁前交差点より眉山
<写真3 県庁前交差点より眉山>
阿瀬比交差点
<写真4 阿瀬比交差点>
   ★阿瀬比バス停→平等寺★

 9:45阿瀬比バス停到着、二十二番平等寺へ向かって歩き出す。遍路道は落ち葉や落ち枝<写真5>でいっぱいだった。へんろ道のシールや枝からつるされたへんろ札。久しぶりに見た。

 ここからは平等寺に向かって小さな峠を越える。峠に向かうという気がはやってしまい、途中道を間違った。わかれ道で左へ行かなくてはならないところを右へ行ってしまったのだ。

 左手に青い池が見え、だんだん道が細くなり最後には道が無くなっていた。へんろ道のシールも札もしばらく見ていない。このまま道無き道を進もうかとも思ったが、台風直後であることを思い返し、へんろ道シールが見当たるところまで引き返すことにした。結局40分ほどロスしたが、ようやくへんろ道と合流できた。

 峠への階段状の遍路道<写真6>では上から水が流れてきていた。ジャブジャブと登った。10:45大根峠通過。若い杉や竹が倒れていた<写真7>。台風によって被害を受けた木々だ。それらの木々をまたいだりくぐったりして進んだ。

 幼虫から抜け出したばかりのセミ<写真8>が多数いた。僕が近づくと飛び立った。羽が透明だ。セミは台風が過ぎるのを待っていたのかも知れない。

 台風一過によって淘汰されるものと新生するもの。これも自然の営みであろう。

 桑野川で出た。広い谷である。川沿いに歩いて11:35平等寺<写真9>到着。境内は閑散としていた。階段を上り本堂へ、本堂は高いところにあるので、見晴らしがいい<写真10>。階段を下りて大師堂、納経所とまわった。

     22平等寺
落ち葉と落ち枝の遍路道
<写真5 落ち葉と落ち枝の遍路道>
ジャブジャブと遍路道を登る
<写真6 ジャブジャブと遍路道を登る>
セミ
<写真8 セミ>
遍路道をふさいだ杉
<写真7 遍路道をふさいだ杉>
平等寺山門
<写真9 平等寺山門>
・・・二十三番薬王寺へ 20.7km 合計25.7km 累計159.4km・・・

   ★平等寺→星越トンネル★

 11:50平等寺を出発。二十三番薬王寺へ向かった。南へ向かう道路の真ん中で犬が寝ていた。トラックのクラクションの音で眼をさまし、道を譲った。この犬、夕べの台風で眠れなかったのかも知れない。

 台風の暴風によって倒されている田んぼの稲<写真11>があった。しかし不思議なのもので同じような場所の田んぼでもそのすべての稲が倒されているわけではなく、ある区画だけが、線状や円形、または楕円状に倒されていた。そこだけ突風が吹いたかのように・・・。

 平等寺を出発してしばらくしてキャリアカーに乗った老女に「おへんろさん」と呼び止められた。「その杖で2,3べん頭をたたいてくれんね」と言われた。少し躊躇したが、老女の麦わら帽子の上から杖でたたいて差し上げた。老女は「からだに悪いものができて困っとう」とおっしゃられ、僕(杖)に「ありがとう、ありがとう」とお礼を言われた。

 月夜を過ぎ、山間の道に入ると、「通行止」の看板があった。車両用のようなのでそのまま進むと、確かに路肩のところが崩れていて普通車以上は通れないようだった。道路は崖から水が噴き出し、溢れ、川のように<写真12>なっていた。

 13:00鉦打橋を通過。13:08ついに国道55号線と合流、日和佐まで15kmの道路標識があった。

 14:05星越トンネル<写真13>到着。日和佐までいくつかのトンネルがあるが、徳島市方面から日和佐に向かう場合、このトンネルまで上りが続き、トンネルを超えると日和佐町に入り、道も下りになるので印象深いものがある。今から25年前の夏は、自転車でここを越えた。「星越」という名前は当時からずっと覚えていた。そのトンネルを今回は歩いて通過する。僕にとって感慨深いものがあった。
平等寺境内
<<写真10 平等寺境内>
横倒しになった田んぼの稲
<写真11 横倒しになった田んぼの稲>
川のような遍路道
<写真12 川のような遍路道>
星越トンネル
<写真13 星越トンネル>
   ★星越トンネル→薬王寺★

 日和佐町に入り、14:25北川酒店でアクエリアス購入し、靴と靴下を脱ぎ、休憩。両足の小指が不安だったのでテーピングテープを巻いた。

 14:45出発。午後になって日差しがさらに強くなった。国道からの照り返し<写真14>が眩しい。昨日の台風が本当にうそのようだ。

 15:10久望トンネル通過。この少し前で自転車お遍路さんと歩きの方に抜かれた。このあたりの国道は白線が引かれ、幅1m余りの歩道があったが、トンネル内では白線で区切られた歩道の部分は幅50cmほどだった。対向車が来ると後ろを振り返り、自分の歩いているあたりで車どうしがすれ違うことにならないかヒヤヒヤしながら歩いた。

 16:40日和佐川を渡った<写真15>。線路の向こうに日和佐城が見える。日和佐に入ってからたくさんのカニ<写真16>に目にした。山の中にたくさんいたセミと同じで台風の通過を待っていたのだろうか。カニの大きさは不揃いなので、この町には常時いるのだろうか?25年前のカニの記憶はない。

 16:50薬王寺山門前<写真17>到着。納経所は午後5時までなのでギリギリ間に合った。先に納経して頂いてから、女厄坂、男厄坂を上り、本堂と大師堂へ向かった。

 午後5時を告げる町内放送が流れてきた。「うさぎ追いし、かの山〜」唱歌ふるさとだった。本堂のある境内からは日和佐の町<写真18>がよく見えた。

     23薬王寺
国道55号線
<写真14 国道55号線>
日和佐川を渡る
<写真15 日和佐川を渡る>
日和佐のカニ
<写真16 日和佐のカニ>
日和佐の町
<写真18 日和佐の町>
薬王寺山門
<写真17 薬王寺山門>
日和佐YH
<写真19 日和佐YH>
・・・日和佐にて・・・

 薬王寺から今晩の宿泊予定の日和佐YHに予約の電話した。25年前は、ここに連泊して、ウミガメを見に行ったり海で泳いだりもした。日和佐を再訪したらここに泊まろうと決めていた。

 YHは素泊まりでお願いしたので、荷物を置いてから、千羽温泉の横のうどんや「やすらぎ」でうどんを食べた。その後、千羽温泉で入浴した。YHの部屋は質素でTVもないのでここでゆっくりしようと思い、ゆっくり温泉に浸かり休憩した。

 温泉の休憩室に一緒にいた方は、サイパンをはじめ海外でいろいろなビジネスをされている方で、今回の台風で車が水没してしまったので、しばらく日和佐に滞在することになったということだった。この方からいろいろな話をして頂いた。
千羽温泉
<写真20 千羽温泉>
2003.8.8(金)の会計 金額 2003.8.9(土)の会計 金額
JR 宇治→舞子 1890円 徳島バス 県庁前→阿瀬比 960円
高速バス 舞子→徳島 2900円 お茶、ジュース等 5本 620円
夕食 福助 850円 納経料2寺 600円
コンビニ 明日の朝食・昼食他 1071円 日和佐YH 素泊 3500円
ホテル野上屋 素泊 4200円 夕食 やすらぎ 680円
10911円 千羽温泉 500円
コンビニ 明日の朝食・昼食他 1512円
8372円
合計 19283円
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2003年8月15日 記


           
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