60.横峰寺

2004年12月25日(土) 34日目
小町温泉しこくや
<写真1 小町温泉しこくや>
・・・六十番横峰寺へ 9.1km・・・

 ★四国のみち休憩所へ★

 12月25日(土)朝寝坊した。宿の方には6時半頃出発と言っていたのに7時になっても出ないので部屋に電話された。僕はその電話で目覚めた。部屋で昨日スーパーで購入したお寿司を食べ、小町温泉しこくや<写真1>を7:40に出発。

 大頭交差点まで戻り、右に曲がって遍路道と合流。妙雲寺を過ぎて8:05松山自動車道<写真2>をくぐった。交通のほとんどない車道を妙之谷川に沿って遡った。川に沿う斜面では崖崩れの痕が見られた。
 民家が途絶え、カーブした山間の車道を歩いていると、8:54煙突の煙が見えた。近づいてみると「てんとうむし」という喫茶店だった。遍路道も不通なので人が来るのかなぁ?と思って通り過ぎようとした時、お店の方が出て来られ、「お遍路さん、これ持って行って下さい。」とお茶の紙パックをお接待して頂いた。

 さらに上流へと向かうと、集落(湯浪)があらわれ、9:09八幡宮の三叉路で右折した。この先の車道は「通行止」<写真3>との看板があった。
 通行止の車道をさらに上流へと歩き、水場<写真4>のある四国のみち休憩所<写真5>に9:30到着した。


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 今回僕が歩いた遍路道は、”大頭(おおと)・湯浪経由遍路道 通行不能、強行は危険大。” ←「へんろみち保存協力会のへんろ道情報より引用」や、”2004年9月末の台風21号の被害により、60番横峰寺に通じる道路が不通となっています。” ←「掬水へんろ館の遍路トピックスより引用」など通行止となっています。
 よって(当然ですが)自己責任に於いての登山で、お勧めできるルートではありません。仮納経所がありますのでそちらをお勧め致します。
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     四国のみち休憩所
松山自動車道
<写真2 松山自動車道>
通行止
<写真3 通行止>
水場
<写真4 水場>
四国のみち休憩所
<写真5 四国のみち休憩所>
 ★山中彷徨★

 休憩所の隣りのトイレを借り、名水を飲んだ。この水は、おいしいと評判なようで、地元の方が車で来られ、ポリタンクやペットボトルで持ち帰られていた。
 休憩所にはノートが置かれて、石鎚を愛する山男さんらが書き込んでおられた。読ませて頂き、記帳した後、9:41出発した。

******ここからは間違ったルートの記述です。******
 ヘアピンになっている車道を上りきり、車道終点<写真6>から左(南)側の谷に取り付いた<写真7>。赤いペンキマークがあったので、それを追って登った。それにしても崩壊が激しい。激しすぎる。倒木も多数ある。ペンキマークはすでに見られなくなったが、遍路札があらわれない。おかしいと思いながらも、そのまま登った。
 杉は植林のようだ<写真8>。踏み跡ははっきりしないが、まぁある。やがて尾根に出て、それ以上登ることができなくなった。向こう側の谷に下りる気はしない。つまり道がついになくなったのだ。10:35ここまで来てやっと自分の間違いを認めた。手元の高度計は標高580mとなっていたので休憩所から標高差280mを登っていた。
 戻りはひとつ西側の谷へ降りた。が、やはりここにも遍路道らしきものはなかった。車道へ出たのでそれを上がって休憩所に戻った。休憩所で昼食のパンを食べた後、車道終点へと再出発したが、またもルートを見つけられなかった。
 雨も降ってきたので、仕方ない大頭まで引き返そうと、車道を休憩所に戻る時、山へ向かう階段<写真9>を発見した。

******間違ったルートの記述はここまでです。******
車道終点
<写真6 車道終点>
間違った取り付き地点
<写真7 間違った取り付き点>
横峰寺への階段
<写真9 横峰寺への階段>
杉の植林
<写真8 杉の植林>
通行止めのロープ
<写真10 通行止めのロープ>
 ★崩壊した遍路道★

 自分の観察不足から階段を見つけられず、2時間余りロスしたが、12:15再々出発した。車道から「レの字」に折れ曲がる横峰寺への階段<写真9>を上がり、通行止めのロープ<写真10>をくぐった。
 谷に沿う崖斜面の遍路道は、崖崩れなどにより崩落しているところがあった。<写真11>
 谷を渡る橋は、いくつか(ほとんど)崩壊していたので、赤い布を目印に沢の中の大きな石から石へと、飛び石で渡った。<写真12,13>
 谷から左方向の尾根に向かう地点では、ルート崩壊が最も激しかった。僕は上流へ2m程行き越し、12:50腰の高さほどの土の段差を這い上がった。<写真14>

***************************** なお、ルート崩壊が最も激しかった地点は、石鎚を愛する山男さんにより、”崩壊地点より20M下から巻くように赤木綿布テープで導き、緩やかな登りに変えられた。”ということですので、もし自己責任に於いて行かれる場合は、そちらのルートをお勧めします。(2005.1.11追記)
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 その他、全般に、転石や不安定な岩が多かった。雨の日やその直後は、増水して沢を渡りづらく、スリップする危険性も増大する。
 単独行で事故が起こった場合、次にいつ人が通るかわからないので、なお危険である。

    写真11〜14は、クリックすると拡大します。
  
 また拡大写真は、「遍路道写真集」にもあります。
崩落した遍路道
<写真11 崩落した遍路道>
赤い布に導かれる
<写真12 赤い布に導かれる>
崩壊したコンクリート橋
<写真13 崩壊したコンクリート橋>
 ★横峰寺山門へ★

 谷から尾根に入ると遍路道の崩壊はほぼなくなった。木立の中、どこまでも続きそうな登りとなった。遍路道の脇には石地蔵<写真15>が数体、また数体、立っておられた。

 ここから先、赤い布はもはやなく、遍路札を合図に登った。白衣が汚れていた。最後の崩壊地点を這い上がる時に土が付いたようだ。
 金剛杖もストックのように扱ってしまった。(卒塔婆の部分を持ってしまった。)粗末にしたつもりはないが、自分の我儘で扱いを余儀なくされたのだから申し訳ないと思った。本末転倒かも知れない。

 他に誰もいない静かな遍路道。二人分の道幅の遍路道を同行二人で登っていく。<写真16>
 昼前少し降った雨は、今は止んだようだ。木製ベンチと林の中のお堂を過ぎ、何段もの階段状の遍路道を登り、13:33横峰寺山門前<写真17>に到着した。
激しい崩壊地点を振り返る
<写真14 激しい崩壊地点を振り返る>
遍路道と石地蔵
<写真15 遍路道と石地蔵>
横峰寺山門前
<写真17 横峰寺山門前>
同行二人で登る
<写真16 同行二人で登る>
星ノ森
<写真18 星ノ森>
・・・星ノ森往復 1.2km 合計10.3km・・・

 ★横峰寺にて★

 山門をくぐるとそのまま横峰寺境内へ至るようであるが、是非立ち寄りたいと思っていたところがあった。星ノ森である。この度は、時期的な問題から、石鎚山登頂はできそうにないが、見るだけでも見たかった。
 林道をさらに上り、13:47星ノ森<写真18>に到着。鉄製の鳥居の向こうに石鎚山が見えた。残念ながら山頂部はガスがかかっていたが、その山容は確認できた。石造りのお堂<写真19>で手を合わせた後、星ノ森をあとにした。

 山門まで戻り横峰寺境内に入ると納経所があった。納経所前の階段を上がり、鐘を撞いた。鐘の音が山中響き渡った(ような気がした)。
 そして本堂と大師堂<写真20>でお参りし、階段下の納経所へ向かった。納経して頂いた方に「香園寺までどれくらいかかりますか?」と尋ねると「3時間ぐらい」と言われた。歩きであることを心得ておられるようだ。
 今からでは午後5時の納経に間に合いそうもない。それに今日の宿をはまだ決めていない。どう下りどこに泊まるか?思案した。

     60横峰寺
石造りのお堂
<写真19 石造りのお堂>
横峰寺大師堂
<写真20 横峰寺大師堂>
横峰寺境内
<写真21 横峰寺境内>
・・・ 京屋旅館へ 7.4km 合計17.7km 累計918.4km ・・・

 ★車道を下る★

 どう下りどこに泊まるか?迷ったまま横峰寺<写真21>を14:25出発した。車道を下っていると、また雨が降ってきた。長丁場の下りが控えているので、木陰でザックを降ろしポンチョを出した。
 林の中と違い、車道では空があいているからか雨を強く感じる。それにガスも下りたようだ。
 14:46香園寺への分岐<写真22>に到着。雨が降っており日没も近いので、車道をこのまま下り、車道沿いの京屋旅館を目指すことにした。

 白いガードレールに囲まれたアスファルトの車道<写真23>は、退屈ではあるが安全だ。くねくねと大回りして下った。15:40料金所のところにトラックが止まっていた。伐採された木をクレーンでトラックの荷台に積んでおられるようだ。雨の中、林作業<写真24>お疲れ様ですと会釈した。
 15:50ぬかるんだ車道<車道25>は二手に分岐していた。それを左手に取りさらに下った。雨は上がったようで黒瀬湖<写真26>が見えてきた。湖面には霧がかかっていた。
 さっきの林作業のトラックが後からやって来て僕をゆっくり抜いて行った。今日の作業は終了なのだろう。もうすぐ日が暮れる。
香園寺への分岐
<写真22 香園寺への分岐>
アスファルトの車道
<写真23 アスファルトの車道>
ぬかるみの道
<写真25 ぬかるみの道>
林作業
<写真24 林作業>
黒瀬湖
<写真26 黒瀬湖>
 ★京屋旅館にて★

 16:30京屋旅館<写真27>に到着した。今回は電話もかけなかったので、全くの飛び込みだ。断られたらこのまま町まで下ればいい。ポンチョを着たままで玄関を開けた。
 「宿泊をお願いしたいんですけど・・・」、「予約の方?」、「いえ飛び込みです。」、「おーい、一人追加!」ということで泊めて頂けた。

 乾いてはいたがポンチョを着たまま客室に案内された。黒瀬湖に面した広い和室<写真28>だ。金剛杖を洗い立て掛けてから、旅館の着物に着替えた。そのあと洗濯物を持ってランドリーに行き、洗濯機を回してから温泉<写真29>に入った。冷泉のようだが白濁したいいお湯だった。

 入浴のあと、洗濯物を乾燥機にかけて夕食<写真30>を食べに行った。数々の豪華なおかずの載ったお盆や釜飯など。昼に四国のみち休憩所でパンを食べたきりだったので腹ぺこだった。
 夕食を食べていると宿の方が来られ、僕のデジカメ写真を撮影された。写真を撮られるのは苦手なのだが、あとでサイダーを買いに行くと、”一期一会に心を磨き今を生きる”との言葉が入った僕のポスター写真を下さった。

 夕食後、また温泉につかり、広い部屋でゆっくり寛いだ。布団に転がりながら、携帯電話のiモードから自HPの掲示板を見ると、横峰寺登山についてのアドバイスや僕へのメッセージを頂いていた。ありがとうございました。

 取り付き点を間違ってしまい、山中を2時間余り彷徨してしまったり、小雨が降る中、泥まみれになってしまったが、自分では満足できる一日だった。この日のことも忘れないと思う。

     京屋旅館  
京屋旅館
<写真27 京屋旅館>
広い和室
<写真28 広い和室>
温泉
<写真29 温泉>
夕食
<写真30 夕食>
2004.12.25(土)の会計 金額
納経料 300円
洗濯、乾燥 300円
サイダー 120円
720円
合計 15509円
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2005年1月4日 記


           
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