56.泰山寺 〜 59.国分寺

2004年12月24日(金) 33日目
クリスマスイルミネーション
<写真1 クリスマスイルミネーション>
 ★フェリーにてお四国入り★

 12月23日(木)夕刻自宅出発。京阪電車で宇治駅から淀屋橋駅へ。御堂筋から梅田新道に入り、北新地駅近くの地下街でキムチカツ丼の夕食を食べた。
 地下街ではクリスマスイルミネーション<写真1>が飾られている。家路へ急ぐ人、連れだって歩いている人々、待ち合わせている人・・・。都会の雑踏の中、歩いた。
 阪神梅田駅から、直通特急に乗車し、20:26御影駅で下車。神戸港連絡バス<写真2>乗り場に向かう。中年女性が一人、バスを待たれていた。僕の荷物に見て「お四国参りですか?」と聞かれた。「ええ・・・。」と答えると「歩いて?」「寒いときに・・・」と心配して頂いた。バスはJR住吉駅でたくさんの客を乗せ、21:02六甲アイランドの神戸港に到着した。

 フェリービル一階で乗船名簿を記入し、発券窓口で乗船券を購入。そして二階待合室<写真3>でテレビを見たり本を読んだりしながら乗船の案内放送を待った。時が経つにつれ人は増え、待合室の椅子はほぼ埋まった。
 フェリー入港は1時間ほど遅れていて、乗船したのは22:25だった。今回はインターネットで予約し、2等グリーン寝台<写真4>を取った。ベッドは204Aの9。ベッドに荷物を置き、早速浴室に向かった。広い浴室には既に三人入られていた。船はいつの間にか出航したようだった。
 甲板に出た。星が出ているが風は強く海は黒い。神戸から明石にかけても灯りが群れていた。明石海峡大橋もライトアップされている。近づいてから撮影しようとしたが、大橋をくぐる時にはライトは消えていた。
神戸港連絡バス
<写真2 神戸港連絡バス>
待合室
<写真3 待合室>
2等グリーン寝台
<写真4 2等グリーン寝台>
・・・五十六番泰山寺へ 2.4km・・・

 12月24日(金)5:00携帯のアラームで起床。朝食のパンを食べている時、「おはようございます。入港35分です。」と、乗務の方が来られ、客室の電灯も点けられた。昨夜の出航は1時間近く遅れていたはずだが、かなり遅れを取り戻したようだ。
 船は今治港<写真5>に入港し、5:35下船。警備の方にJR今治駅への道を尋ね、前回打ち終えたJR今治駅に向かった。空は真っ暗であるが街灯を頼りに5:52JR今治駅に到着。明るい駅構内を通り抜け、5:53今回の打ち始めとした。

 今治駅の南側は、住宅街で街灯は少なかった。ところどころ灯っている民家の灯りなどを頼りに住宅街を歩き、6:28泰山寺<写真6>に到着した。
 空は白いで来たので足元の不安はないが、まだなお暗いので、鐘は撞けなかった。
 本堂<写真8>の前に立ち般若心経をあげようとしたが、暗くて読めない(まだ完全ではないので)。ヘッドランプを点し読経した。大師堂にもお参りしていると、次第に夜が明けて来た。
 ついさっきまでは暗くてよく見えなかったが、弘法大師御像<写真7>など四体の御像が浮かび上がってきた。
 少し早いが6:50納経所の呼び鈴を押すと、お寺の方が出て来られ、納経して頂けた。

     56泰山寺
今治港
<写真5 今治港>
黎明の泰山寺
<写真6 黎明の泰山寺>
泰山寺本堂
<写真8 泰山寺本堂>
弘法大師御像
<写真7 弘法大師御像>
鉄塔
<写真9 鉄塔>
・・・五十七番栄福寺へ 3.1km 合計5.5km・・・

 6:55泰山寺を出発し、田んぼの中の道を歩いた。田んぼの中は霜柱が立っている。ピンと張った冬の朝だ。今年も記録的な暖冬でずっと暖かい日が続いていたが、やっと平年並みの気温になったようで寒かった。

 蒼社川に行き当たった。石仏に囲まれた石碑の指先は、川の方向を指していた。旧遍路道なのだろう。渇水していれば渡れるかも知れないが今日は渡れそうにない。
 川向こうがオレンジ色に輝き、鉄塔<写真9>がシルエットになっていた。夜はまだ明けていない。さすがにこの時期、日の出は遅い。

 7:21蒼社川の山手橋を渡り、小川に沿って歩いた。犬を連れた朝の散歩の方と挨拶を交わす。気が付くと蒼社川の土手やその向こうの山が輝いている。<写真10>
 ようやく太陽が昇ったようだ。朝の一連のドラマには感動する。

 7:43栄福寺門前<写真11>に到着。境内<写真12>には誰もおられない。一人静かに本堂と大師堂にお参りし、納経して頂いた。

     57栄福寺
朝の輝き
<写真10 朝の輝き>
栄福寺門前
<写真11 栄福寺門前>
栄福寺境内
<写真12 栄福寺境内>
・・・五十八番仙遊寺へ 2.4km 合計7.9km・・・

 栄福寺を8:05に出発。真っ直ぐ伸びる遍路道を上ると、8:20大きな池が見えてきた。別冊地図を見ると犬塚池<写真13>とある。まだ紅葉が残る池畔を歩き、木立の中の”野中の細道”<写真14>を抜け上った。
 車道と合流しさらに上った高台からは、今治の町や瀬戸内海に架かる来島大橋もよく見えた。

 車道をさらに上り休憩所を過ぎ、8:47仙遊寺仁王門前に到着。「補陀落山」の文字が掲げられている仁王門をくぐると、ここからまだ石段<写真15>が続いていた。銀色の手すりにつかまりながら石段を上がり、8:54ようやく仙遊寺境内に到着。
 境内には掃除をされているお寺の方がおられるだけだった。一人でお参りをしていると二人連れの方が来られた。今日、はじめて出会ったお参りの方だ。
 本堂<写真16>内の納経所で呼び鈴を押されたが、お寺の方は出て来られなかった。結局5分程、待って出て来られ、僕も納経して頂いた。

     58仙遊寺
犬塚池
<写真13 犬塚池>
野中の細道
<写真14 野中の細道>
仙遊寺本堂
<写真16 仙遊寺本堂>
仙遊寺石段
<写真15 仙遊寺石段>
五郎兵衛坂
<写真17 五郎兵衛坂>
・・・五十九番国分寺へ 6.1km 合計14.0km・・・

 仙遊寺境内を9:12に出発。上がってきた石段を下り休憩所の所まで戻り、山坂道を国分寺へ向かった。ここの坂道は五郎兵衛坂<写真17>というらしい。
 吉祥禅寺を過ぎ、竹藪の脇を通り、山を下った。田んぼでは、耕耘機が一台動いていた。田んぼの色が黄緑色から焦茶色に変わっていく。振り返ると、さっきまでいた作例山と仙遊寺<写真18>どんどん遠ざかっていた。

 10:09国道196号を信号で渡った。交通量は多い。さらに歩いて、突き当たりを右折。遍路道はJR予讃線の踏切を渡り、さらに頓田川の國分橋を渡った。
 国分寺の駐車場前では、まだ若そうな(30才ぐらい?)方が托鉢されていた。修行だろうか?不動で般若心経を唱えられていた。

 10:45国分寺門前<写真19>に到着。よく晴れた冬の青空に赤い幟が映えていた。石段を上ると握手修行大師様<写真20>に出迎えて頂いた。
 本堂と大師堂でお参りした。大師堂は工事中だったので中に工事の方々がおられ、何か妙な感じがした。僕は駐車場前の彼のようにはなれなかった。

     59国分寺
作例山と仙遊寺
<写真18 作例山と仙遊寺>
国分寺門前
<写真19 国分寺門前>
握手修行大師様
<写真20 握手修行大師様>
・・・小町温泉しこくやへ 20.5km 合計34.5km 累計900.7km・・・

 ★今治市から西条市へ★

 国分寺を11:00出発。歩いてきた道をその先の方へまた歩いた。道路に面した桜井小学校<写真21>前を11:20通過。校門は閉ざされ児童は校庭で一列に並んでいた。集団下校するのだろうか?いやな事件がもう起こらないことを願いたい。

 遍路道は国道196号線と合流し、ここから始まる今治小松自動車道路への進入路を過ぎた。朝フェリー内でパンを食べたきりだったので、お腹が空いていた。敷居が高そうな店だったが、12:00「喫茶花ぬり」で昼食を摂ることにした。
 日替わりランチを注文するとハヤシライス、サラダと漬け物セット<写真22>が出てきた。食後にホットコーヒーも注文し、支払いの時、炭焼珈琲飴をお接待して頂いた。ありがとうございました。

 「喫茶花ぬり」を12:30出発。今日の宿をまだ決めていなかったので、道の駅今治湯ノ浦のベンチで電話しようとしたが携帯電話が見つからない。さっきの店に忘れてか?と思い、引き返したが300m程でポケットに入っているのを確認してホッとした。道の駅に戻り、今日の予定宿である「湯の里小町温泉しこくや」に電話をした。
桜井小学校
<写真21 桜井小学校>
ハヤシライス
<写真22 ハヤシライス>
ススキ
<写真24 ススキ>
西条市入り
<写真23 西条市入り>
臼井御来迎
<写真25 臼井御来迎>
 ★遠い山々を見ながら★

 遍路道は国道から分岐し高速道をくぐり、13:20西条市(旧東予市)<写真23>に入った。小高い丘の上にある世田薬師を過ぎると、遠くの山々が見え出した。しかし雲がかかっており山座同定はできなかった。沿道のススキ<写真24>は、冬の陽を浴びて輝いていた。
 北川の自安橋を渡り、道安寺の先には14:13臼井御来迎<写真25>があった。ここには東屋があり、歩きのお遍路さんが一人休んでおられた。今回最初に出会った歩き遍路のAさんである。

 Aさんは、今日午前11時頃からここで休んでいるそうだが、その間、歩きのお遍路さんは誰も通っていないということだった。Aさんは野宿の通しで、今回が3回目、計5巡目(今回は2巡目)だと話された。
 僕は「明日、横峰寺に歩いて登ります。」と言ったが、Aさんは「今回は行かない。気を付けてな。」と言われた。
 チョコレートや飴など手持ちの食べ物をお接待すると、「燃料、ありがとうございます。」と礼をおっしゃられた。

 Aさんとお別れして臼井御来迎を14:25に出発。遍路道を少し歩くと日切大師<写真26>があった。大きなクスノキが印象的だ。
 遍路道に戻り、大明神川を渡った先で道路工事をされていた。「工事中につき通行止」との看板があった。車は通れないが、歩きはそのまま通過できた。15:09西中グランド<写真27>前を通過。中学生たちは大きな掛け声で練習に励んでいた。

 行く手の正面には石鎚山や瓶ヶ森、伊予富士など遠い山々<写真28>が見えた。夕陽を浴びて陰影もついている。雪は未だ付いてないようだ。
 石鎚山の頂部はギザギザでいかにも荒々しい。瓶ヶ森は稜線が美しく、その左背後の伊予富士も劣らない。<写真29>
日切大師
<写真26 日切大師>
西中グランド
<写真27 西中グランド>
遠い山々
<写真28 遠い山々>
瓶ヶ森と伊予富士
<写真29 瓶ヶ森と伊予富士>
 ★小町温泉しこくやへ★

 道沿いの寒椿<写真30>が綺麗だ。夕暮れ近く寒風吹く遍路道、先を急いだ。歳末大売出し<写真31>の幟が立っているが、人通りは少ない。
 16:20スーパーヤマサンで明日の朝食(ちらし寿司)や明日の昼食(パン)、ペット茶、リッツなどを買い出し16:30出発した。

 今夜の宿「小町温泉しこくや」は素泊りでお願いした。宿に食事メニューもあるそうだが、17:09遍路道沿いの「福美食堂」<写真32>に入ることにした。
 店はカウンタースタイルで色々なメニューがあった。店内では男性が一人、ビールを飲まれていた。日替わり定食を注文したあと、お話もした。
 冬は歩いている人は少ないが、今年はより少ないこと。若い人が増えたことなどを教えて頂いた。
 海の幸フライがたっぷりの定食を食べ終え代金を支払うと、大きなおにぎり二つと漬け物のパックをお接待ということで持たせて頂いた。僕が食べている間に用意されていたのだ。ありがとうございます。

 17:45「福美食堂」を出発。陽は既に落ちている。中山川の石鎚橋を渡り、大頭交差点で右に曲がると街灯が減り、暗い夜道<写真33>を歩いた。
 18:15「小町温泉しこくや」に到着。チェックインのあと、シングルルーム<写真34>に荷物を置き、様々なお風呂のある温泉に向かった。温泉にゆっくりつかったあと、部屋でお接待で頂いたおにぎりを食べ、ベッドでゆっくり休んだ。

     小町温泉しこくや
寒椿
<写真30 寒椿>
歳末大売出し
<写真31 歳末大売出し>
福美食堂
<写真32 福美食堂>
シングルルーム
<写真34 シングルルーム>
暗い夜道
<写真33 暗い夜道>
2004.12.23(木)の会計 金額 2004.12.24(金)の会計 金額
京阪電車
宇治→淀屋橋
400円 昼食、喫茶花ぬり
ランチ、Hコーヒー
850円
阪神電車
梅田→御影
290円 スーパーヤマサン
ちらし寿司、ペット茶等
619円
連絡バス 220円 納経料4寺 1200円
ダイヤモンドフェリー
2等グリーン寝台
神戸港→今治港
4960円 夕食、福美食堂
日替わり定食
700円
アイスクリーム 150円 小町温泉しこくや
素泊り
5400円
6020円 8769円
合計 14789円
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2005年1月3日 記


           
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