鳥坂峠

2004年7月18日(日) 27日目

<写真1 緑豊かな遍路道>
・・・JR伊予大洲駅へ 20.6km 累計716.7km・・・

 ★JR卯之町駅から鳥坂峠分岐へ★

 翌7月18日(日)昨夜は祭りのあと、車を取りに来られる人がおられたり、道路を走る車の音などで夜中遅くまで騒々しかった。熟睡できたのは真夜中2時をまわってからで、午前4時にセットしたはずの携帯電話のアラームは自分で止めてしまったようで、翌朝起きたのは既に明るくなった5:45であった。
 車中でパンを食べ、身支度をして卯之町文化会館駐車場を6:05出発。駅への途中、卯之町文化会館のトイレも借りた。文化会館は綺麗な建物で朝の散歩をされている方と挨拶を交わした。

 JR卯之町駅は6:12に出発。昨夜はタクシーが何台も客待ちをされていたが今朝は一台もない。閑散としていた。駅を出発し、国道56号線で左折した。消防署や宇和中学校の前を通過し、しばらく歩くと遍路道は国道56号線と分岐し車のほとんど来ない旧道となった。旧道は国道とほぼ併走していて緑豊かな歩きやすい道<写真1>だ。沿道沿いにはナヤギハナガサやオシロイバナを確認した。田んぼの稲もよく生長している。すずめ避けだろうか?田んぼには赤と銀色のキラキラ光るテープが張られていた。

 7:05国道と合流したところに陸橋があった。休日の早朝なので車はほとんど走っていない。しかし陸橋があるということは平日の朝夕などはそこそこの交通量があるのだろう。
 町の方々が道路のゴミや空き缶などを拾われていた<写真2>。小学校低学年の児童から80才近くのお年寄りまで総出という感じだった。交通量が少なく、みんなでできるのは休日の早朝なのだろう。お疲れ様です。遍路道は国道と合流したり分岐し併走したりしたがいずれにしても北上した。夏の花、木々も綺麗だ。緑色の大きな蕾<写真3>を空に向かって持ち上げている。なんという木だろう?

 朝早いうちになるべく距離を稼いでおきたいが、8:55国道沿いのペチカハウスという喫茶店に入り、モーニング<写真4>を注文した。トイレから戻りしばらくして氷の入ったグラスとサイフォンコーヒーを持って来られグラスにあけられた。少し間を置いてトーストとサラダ、ハムエッグを載せたお皿を持って来られた。もう早朝という時刻でもないのでゆっくり休憩して8:30店を出発した。

<写真2 美化活動>

<写真3 蕾を空へ>

<写真4 モーニング>

<写真5 鳥坂峠へ>
 ★鳥坂峠越え★

 また歩き出した。今日も暑い。国道沿いの自販機でペット茶を購入し峠に備えた。鳥坂峠への分岐手前のバス停ベンチで靴の紐を確認。急ぐこともないのでベンチに座った。昨日は丸一日歩きのお遍路さんに出会わなかった。今日もまだ出会っていない。鳥坂峠を前にしたこのバス停、多分、休んでいくお遍路さんは多いことだろう。
 8:55国道から左に別れ鳥坂峠への旧道に入った。この分岐あたりでも町の方々が美化活動をされていた。田んぼや民家の中ののんびりとしたいい道<写真5>だ。

 9:08鳥坂番所跡前から登山道に入った。 杉林の間を抜ける道<写真6>は登りだが、木陰なので心地よい。この道は所々湿っていた。山の中腹なのに水が湧き流れているようだ。どこからの水だろ?不思議だ。この水があるからこそ、この森も動物も豊かなのだろう。
 9:29見晴らしのいいところに出た。ここまで歩いてきた宇和の町<写真7>が見渡せる。ほんの20分程の登りだが結構高度を稼いでいる。
 9:39峠らしきところに到着。峠周辺は夏草が繁茂<写真8>している。ここも水が豊かな証拠だ。森も豊かだが虫も多い。
 峠を越えるとさらに虫は増えた。峠の反対側に入ったからだろうか?それとも久しぶりに山に入った動物(僕)を求めて次第に集まってきたのだろうか?虫がとにかく多かった。
 日天月天様前9:52通過。ここには社があり御神体の石もあるようだが、虫が顔中まとわりついてきてそれどころではなかった。落ち着いて写真も撮れない。とにかく林を抜けることを急いだ。遍路道は林道と合流した。顔中まとわりついてきた虫は少しましになった。林道の脇にはシイタケ栽培用だろうか、切り出された原木が積まれ黒いネットが被せてあった。
 しばらく林道を歩くと遍路道は、林道から急な坂を下る<写真9>ようになっていた。遍路道札に従って下る道は林道を横切るが、その時くるぶしからひざ下ぐらいの深さの夏草が生い茂っていた。まむしが出そうだったので、金剛杖で行く先を確認して前に進んだ。

 10:40遍路道沿いに大量の不法投棄を目にした。残念だ。が、そう思うだけで何をする訳でもない自分だった。今朝は早朝から宇和の町の方々が美化活動をされているのを見てきて感心したが、自らは何もしていない。批評するだけだったことを帰ってから気付いた。当たり前のことだが、少なくとも自分だけでも山でゴミを捨てないことを心に誓った。
 遍路道はアスファルトの車道になり、10:49札掛大師堂に到着した。

<写真6 杉林の道>

<写真7 宇和の町>

<写真8 夏草繁茂>

<写真10 札掛大師堂>

<写真9 急な坂を下る遍路道>

<写真11 ヒルガオ>
 ★大洲市街へ★

 札掛大師堂を過ぎて畑の中の急な遍路道をそのまま下った。ヒルガオ<写真11>が咲いていた。遍路道は南久米小学校の前を通過し、国道56号と合流した。そして、松山自動車道を跨道橋で越えた。車はほとんど走っていない。国道は左へ大きくカーブしていた。食堂が3軒並んでいた。ペット茶も残り少なくなったので、給水がてら昼食をとることにした。今日も朝からよく汗をかいた。そこで11:03ラーメンショップに入った。
 エアコンがよく効いている。車で来たら何とも思わないが、歩きも僕には天国のようにも感じた。奥のテーブル席に座らせて頂き、みそラーメン<写真12>を注文した。冷水器の冷たい水を3杯飲んだ。靴も靴下も脱ぎ横の椅子に足を上げ伸ばした。みそラーメンが来た。テーブルに置いてあった一味をふりかけ食べた。疲れているが食欲はある。ライスを追加注文する前に全部食べてしまった。いまさらライスは頼めない。

 食後、足の状態を確認した。マメはできていないが右足小指のあたりが少し赤くなっていた。ここ何回かの歩きではマメはできないが、昨年の夏、室戸岬へ向かう国道55号線の途上、マメができて海部でリタイアした。その時は暑さによる汗で靴内が蒸れ大きな赤い水膨れができてしまった。それと似たような初期の症状のようだ。大事をとってバンドエイドを両足小指に巻き付けた。テーピングテープはなにやら大層なのでバンドエイドを用意してきた。こうするとそこは摩擦しないのでいいと思う。
 マメはできていないが、右足首に違和感があった。右足首の曲げ伸ばしすると痛んだ。それに少し腫れているようだ。原因はよくわからないが、内子町までは無理かも知れない。窓から見える外はすごい日射しだ。
 この日はJR内子駅までを予定していたが、目標地点をJR伊予大洲駅までに下方修正することにした。ここから大洲市街までは車道歩きが続くが、下りなのがせめてもの救いだ。ペットボトルに冷たい水を給水し、11:53ラーメンショップを出発した。

 緩やかなカーブを描く国道を北へ向かって歩いた。ちょうどお昼なので太陽はほぼ真後ろにあり、日陰もない。眩しくはないが容赦なく照りつける太陽は厳しかった。普段は恐怖を覚えるトンネルもこの時ばかりは、ないものか?あればいいなぁ?と思った。
 12:28北只<写真13>到着。ここは高速道路のICもあり八幡浜方面への分岐でもある交通の要所のようだ。遍路道を歩く僕は、嵩富川の金山橋を渡った。以前は橋が近づくと金剛杖を突かないようにしなければ・・・と、気を付けたものだが、最近はごく自然に(意識せず)金剛杖の中ほどを持ち杖を突かないようにしている。というより日常、橋を渡るとき杖が手にないのに違和感を覚えることもある。

<写真12 みそラーメン>

<写真13 大洲市北只>

<写真14 肱川橋通>

<写真15 大洲城>
・・・帰路・・・

 13:00嵩富川の梁瀬橋通過し、いよいよ大洲市街に入った。大洲は伊予の小京都とも言われ、古い町並みが数多く残っている。今日は海の日の三連休の中日でもあるので町には多くの人と車が溢れていた。
 国道56号線と合流し右に曲がって肱川橋通<写真14>を歩き、13:23肱川橋に到着した。肱川には鵜飼船がいくつか浮かび、その向うには大洲城<写真15>の天守が見えた。美しい町だ。
 橋を渡り、駅への近道であるとのまち商店街<写真16>に入った。小さな商店が立ち並んでいたが、歩いている人もお店の人もあまり見かけなかった。商店の中で猫<写真17>が寝ころんでいた。猫も暑さで参っているのだろう。
 駅近くの店では焼きたてのメロンパンを売っていた。大きな声でお客を誘われていた。メロンパンは最近のはやりのようで自宅近くでもよく見かける。僕は買わなかったが、活気があるお店だった。

 13:43JR伊予大洲駅<写真18>に到着した。存外、小さな駅舎だった。JR卯之町までの乗車券と自由席特急券を購入したあと、キオスクでポンジュースのペットボトルを購入し飲んだ。
 13:51出発の特急宇和海11号に乗車。エアコンのよく効いた車内でシートを倒しずっと乗っていたかったが14:20JR卯之町駅<写真19>到着した。駅ホームには夏らしくヘチマと七夕の飾りがしてあった。
 卯之町文化会館まで車を取りに戻り、車内で着替えて出発。ガソリンスタンドに寄ったあと鳥坂峠へ向かった。鳥坂トンネルの手前で歩きの若い人を見かけた。トンネルをくぐり、昼食を食べたラーメンショップの前を通過。歩いている人を見かけない。
 大洲市街に入った。内子町への国道56号線は混んでいた。内子を過ぎ44番、45番方面の道を走らせようかとも思ったが、歩きの楽しみに残しておくことにして国道56号線を真っ直ぐ松山に向かった。山を越えて伊予市に入るとまた渋滞した。日程の都合で入れないかもしれないので松山の道後温泉に向かったが、道後温泉周辺は人と車でいっぱい。
 車を停めるところがないわけではないが、そこまですることもなかろうから、入浴はJR松山駅前の「キスケの湯」というビル内の施設で入浴した。ここもいっぱいの人だった。駐車場は3時間利用できたのでゆっくり入浴し、屋根付の露天風呂のチェアーで寝てしまった。

 入浴後、松山ICに向い高速道路に入った。帰りは川之江JCから徳島道を経て大鳴門橋。明石海峡大橋を渡ることにした。途中、吉野川SAでカツカレーを食べた。満腹になったこととキスケの湯で中途半端に居眠ってしまったこと、何よりこの二日間の疲れが出て、強い眠気を感じたので、淡路島の緑PAで仮眠した。ところが起きてみると翌朝5時だった。
 こんなことならもう少し歩いたら良かったと思いながら車を走らせた。日の出から少し時間が経過していたが、淡路SAで朝の明石海峡<写真20>を撮った。そして明石海峡大橋<写真21>を渡った。ついでに朝の六甲山にも上がったので、家にたどり着くと朝8時になっていた。


     JR伊予大洲駅

<写真16 とのまち商店街>

<写真17 夏バテ猫>

<写真18 JR伊予大洲駅>

<写真19 JR卯之町駅にて>

<写真21 明石海峡大橋>

<写真20 朝の明石海峡>
2004.7.18(日)の会計 金額
ペチカハウス
モーニング
550円
ペット茶 150円
ラーメンショップ
みそラーメン
550円
ジュース3 435円
JR伊予大洲→JR卯之町 1050円
ガソリン37g 4218円
キスケの湯 550円
夕食 800円
カツカレー吉野川SA 610円
高速道路 松山→藍住、板野→からと西、宝塚→宇治西 12000円
ガソリン35g 3920円
24833円
合計 43357円
累計 390068円
☆ 26日目のページに戻る ☆ ★ 28日目(次回)のページに進む click ! ★

2004年7月31日 記


           
お遍路記録へ戻る TOPへ戻る