41.龍光寺 〜 43.明石寺

2004年7月17日(土) 26日目

<写真1 岩松バス停交差点>
・・・四十一番龍光寺へ 24.8km・・・

 ★自家用車にて四国入り★

 7月16日(金)夕刻、宇治の自宅出発。宇治西ICから高速道路に入り、瀬戸中央道から松山道を経て西予宇和ICに至った。そこからは国道56号線を南下し宇和島市へ。明日一日歩いたあと車を取りにJR宇和島駅から津島町岩松までバスに乗るのでその出発時刻を確認するためJR宇和島駅に向かった。真夜中12時をまわったのに駅はまだ明るい。バス停のベンチには酔っぱらいだろうか?2人若い方が座っておられた。
 僕は車のエンジンをかけたまま津島町岩松方面へ向かうバスの時刻をメモしていた。すると急に駅は暗くなった。松山からの最終列車が到着し、ようやく駅の一日が終わったようだった。
 メモを取り終えた僕も駅をあとにし、津島町岩松に向かって車を走らせた。津島町には午前1時過ぎに到着。津島町役場の駐車場で車中泊することとし、就寝した。



 ★岩松バス停から宇和島市内へ★

 翌7月17日(土)午前4時過ぎ起床。3時間も寝ていないが夏は何より早立ちがよいだろうと思い、眠い目をこすりながらパンをかじり身支度をした。そして津島町役場から、前回打ち終えた岩松バス停<写真1>まで数100m戻り、4:35出発した。
 誰もいない夜明け前の国道を一人歩いた。車もほとんど通らない。前方の国道に白い発泡スチロールの箱が落ちていた。前から車が来ている。振り返ると後ろからも車が来た。僕の立っているところは小さな橋の上なので僕も逃げることができない。「あっ」という間に後ろから来た車は箱を避けきれず、凄い音がしたあと、道には残骸が散乱した<写真2>。交通量が少ないのにたまたま2台の車と僕、そして白い箱が重なってしまったのだ。


 だんだん明るくなってきた。宇和島市へは旧国道を経由しようと思っていたが、その旧道入口を見逃してしまい、5:13松尾トンネル入り口<写真3>に到着してしまった。路肩には電柱を搭載したトラックが停まっていた。いまさら引き返すこともないのでそのまま新トンネルを通過した。

<写真2 残骸散乱>

<写真3 松尾トンネル入り口>

<写真4 保田分岐>

<写真5 神田川>
 ★宇和島市龍光院にて★

 トンネルを抜けると、もうすでに夏の日射しが眩しくなっていた。国道を緩やかに宇和島市内へと下った。6:15ローソンがあったのでトイレを借り、ドリンクも購入した。レジでお金を払っていると、隣りにいた人が商品をレジ台に置き突然走り出された。道路の方を見ると車が道をふさぎ通行がストップしていた。どうやら店の駐車場に停めたはずの車のブレーキが緩んでバックし、そのまま無人の自動車が道路を横切ったようだ。幸い事故にはならなかったが、危ないところだった。

 宇和島市保田<写真4>6:46到着。国道バイパスと宇和島市街に向かう国道との分岐である。車の流れは半々といったところか?
 宇和島警察署前を通過したあと住宅街を入り、7:18神田川<写真5>との突き当たりを右折し、川に沿って歩いた。気持ちのいい道である。そして別冊地図どおり勧進橋を渡った。
 7:29市立病院前交差点を通過。路線バスは横を通過した。僕は宇和島城の城山公園を反時計回りに歩いた。お城は間近すぎて見えない。辰野川を渡って右折、アーケードの商店街を横切り7:45龍光院前到着した。

 龍光院本堂への長い石段を登った。石段を上りきると緑の芝生が眩しい境内<写真6>が広がり、本堂や大師堂のほか、朱色の鳥居神社などもあった。また向う側の小山(城山公園)には宇和島城<写真7>が見えた。
 納経所へ向かった。呼び鈴を鳴らすと出てお坊さんが来られ納経して頂いた。500円を渡し200円のお釣りをもらうと「歩きですか」と聞かれたので「はい」と答えると、「途中ジュースでも買って下さい。お接待です。」とおっしゃられ、300円は白い袋に入れられて戻ってきた。

<写真6 龍光院境内>

<写真7 城山公園、宇和島城>

<写真9 梅林口バス停>

<写真8 JR予讃線踏切>

<写真10 薄ピンクのハイビスカス>
 ★宇和島市から龍光寺へ★

 龍光院を8:10出発。宇和島駅を回り込み駅北側のJR予讃線踏切を通過した。住宅街を歩きもう一度線路を渡ったところで、地元のおばさんが話しかけて来られた。その方は、車などで4巡された方で、「龍光寺さんには、信号を真っ直ぐ進み、橋を渡ってそのまままっすぐで、迷ったら三間町のお稲荷さんって聞くと教えてくれるから。」とアドバイスして頂いた。
 教えて頂いた須賀川の八幡橋を通過。上流にダムがあるようで川に水流はほとんどなかった。車道をさらにそのまま進み、8:37北宇和島駅前を通過しJR予土線の踏切を通過し、国道57号線と合流した。
 国道と合流すると暑さが増大した。幾分、坂になっているのでトラックなどの排気ガスも目で見えてしまう。川沿いの道は先まで見通せるがほとんど日陰がない。朝9時にして大変な日差しだ。
 国道上にバス停ベンチがあるのを見つけた。道路の反対側に自販機もあったのでアクエリアス500mlを購入した。道路を渡ろうとしていると軽自動車に乗った若い人が、「広見町はどっちですか?」と聞いて来られた。手許に別冊地図第六版があったのでそれを広げて「この道を真っ直ぐ行くと三間町ですね。」と答えた。軽自動車は宇和島方面に引き返されたが、あとで地図を見ると広見町は三間町の先だった。国道を渡り9:16梅林口バス停<写真9>に到着。アクエリアスと手持ちのパンを食べながら日陰のバス停ベンチで休憩した。

 9:26梅林口バス停を出発。沿道には薄ピンクのハイビスカス<写真10>が咲いていた。夏の強い日差しを受けているが僕とは違って元気そうだ。10:13三間町に入り、しばらくで国道と別れて渡瀬橋を渡り、田んぼの中の道<写真11>となった。あたり一面の田んぼの稲はどれもよく伸びていた。
 住宅街に入り石碑のある角の家で右に曲がった。何という曲だろう。角の家から美しいピアノの音が聞こえた。心安まるいい音色だった。そして民宿稲荷の前を通過し、10:52龍光寺門前のお食事処長命水<写真12>に到着した。
 少しお昼には早いが、この先食堂がないようなので店に入った。エアコンがよく効いている。さっき手持ちのパンを食べたばかりなのであまり食欲はない。ざるうどん600円を注文した。そしてコップの水(この水は長命水!)を3杯飲み食卓塩を手のひらに取ってなめた。
 店のご主人とお話もした。一番の話題は菅直人氏のこと。そして朝お参りした宇和島龍光院でのことを話すと、ここのご主人がミニ88ケ所を造ったと話された。そして歩きの人には・・・ということで、食後コーヒーのお接待を頂いた。

     41.龍光寺

<写真11 田んぼの中の道>

<写真12 お食事処長命水>

<写真13 龍光寺石段>

<写真14 龍光寺本堂>
・・・四十二番佛木寺へ 2.6km・・・

 11:36お食事処長命水を出発。ここでも長い石段<写真13>を上り、11:40龍光寺の本堂<写真14>、大師堂、鳥居前に到着した。ここもお寺なのに神社もある。納経所では83歳のご住職?の方に書いて頂いた。

 12:00龍光寺を出発。納経所のご住職に教えて頂いた通り、石段を12段下りて遍路札に従って右へ曲がった。トイレに立ち寄ったあと、お墓の中を抜けて山越えの遍路道に入った。
 石垣からキキョウ<写真15>が枝を伸ばし花を咲かせていた。さっきのピアノといい、このキキョウといい、心に涼をもたらしてくれる。そして小さな山を越えて12:14車道に出て、それを北上し12:47佛木寺山門前<写真16>に到着した。
 門前ではパラソルを立てアイスクリンを売っておられ、何人かもお遍路さんが店の方と話しをされていた。
 僕は山門をくぐりお寺の中へ入った。正面は納経所のようで、本堂と大師堂のある境内<写真17>は、山門をくぐり左手の方向だった。誰もおられない静かな境内でお参りをしたあと、納経してもらった。
 そして13:08佛木寺山門で一礼し、出発しようとした。

 歩き出そうとするとアイスクリンを売っておられたおじさんが「歩きか?」と聞かれたので「はい。」と答えると、ベンチ奥の方に向かって「来たよ。」と声をかけられた。
 ベンチ奥から出て来られた人は、僕に「荷物にならなかったら持って行って、」とおっしゃられ小袋に入れられたお接待を頂いた。僕は「ありがとうございます。」と答えただけで、その場から歩き去ってしまった。納札をお返しするなりできなかったことが悔やまれる。


     42.佛木寺                

<写真15 キキョウ>

<写真16 佛木寺山門前>

<写真17 佛木寺境内>

<写真19 歯長峠休憩所>

<写真18 歯長峠への遍路道>

<写真20 鎖場>
・・・四十三番明石寺へ 10.6km・・・

 ★佛木寺から歯長峠へ★

 車道を歩くにつれ次第に山が近づいてきた。民宿とうべやを田んぼの向うに見ながら歩き、13:18車道から歯長峠への遍路道に分岐した。 車道から分岐した道は、さらに分岐し13:27歩きの遍路道<写真18>に入った。
 13:45一旦車道に出て車道を歩いた。車の方がスピードを落とされ「乗っていくか?」と気軽に声をかけてこられた。「すいません。歩きたいので・・・」と断ったが、車に乗る方もおられるのだろうか?と思った。

 しばらく歩くと、車道カーブに「四国の道」の案内板があり、ここが歯長峠休憩地とあった。よく見ると車道から歩きの道に入る入り口があったので歩きの遍路道と合流した。そして少し戻ってところの五角形東屋の歯長峠休憩所<写真19>に13:56到着した。
 東屋のベンチに座り、さっき頂いたばかりのお接待の袋を開けてみた。みかん3個とおまんじゅう1個が入っていて、とても美味しそうに見えた。みかん一つだけ頂こうとしたが、結局おまんじゅうもみかんも全部食べてしまった。今日は朝から日陰のベンチなどを見つけては食べてばかりだ。
 ここでも充分休憩したあと、峠に向かって14:05出発した。

 少し歩くと鎖場<写真20>があった。「これより200メートル急登坂」とある。鎖は錆びているところが多い。が、足場の悪い急なところはピカピカだった。鎖の使用頻度がよくわかった。
 鎖場を過ぎ、鉄塔の方に向かって登りつめ、14:28石碑と小屋のあるところに到着した。ここが標高480mの峠<写真21>のようだった。
 小屋の中は日陰だったので腰を下ろして休みたかったが大きな足長バチがいたのでやめた。鉄塔の方に下ると眺望が開けるかと思い少し下ったが、どこまでも夏草がよく茂っているようだったので、途中で引き返した。

 下りはだらだらと長かった。遍路道立て札<写真22>も夏草に覆われつつあった。下山途中、卯之町方面の眺望<写真23>が得られた。民家やビニールハウスの屋根が小さく遠くに見えた。
 さらに杉木立の間を下った。車道に出る少し手前あたり<写真24>ではトゲのある木が遍路道をふさぐように生えていた。チクッと痛かったのですぐ気が付いたが、全く気付かずに歩くと衣服が破れたりケガをするような気がした。
 苦ありの峠道もいよいよ終わり、15:18歯長地蔵休憩所<写真25>に到着した。久しぶりの屋根付ベンチだったので向いの自販機でコーラを購入し休憩した。
 

<写真21 歯長峠>

<写真22 遍路道立て札>

<写真23 卯之町方面の眺望>

<写真24 車道少し手前>
 ★歯長峠から明石寺へ★

 ここ(歯長地蔵休憩所)から明石寺まで「四国のみち」立て札によると6.3km、別冊地図によると6.0km。普通に歩ければ午後5時までの納経に間に合いそうだが、夏の昼下がり・今の足の状況・ここまでのペース等々を考えると、明石寺午後5時というのは難しそうだった。

 1時間半では厳しいかもと、思いながらも15:30出発した。車道アスファルトの照り返しが厳しい。 15:43道引大師前通過。朝からの歩きの疲れもあり、ほんの20分程度でも疲れてしまった。道沿い農協前の自販機でまたもアクエリアスを購入し座り込んで休憩してしまった。もう明石寺の納経はあきらめた。
 16:12皆田小学校前<写真26>通過。「お遍路さんへ トイレ・休けいできるので、声をかけてください。ぜひぞうぞ!!」とお接待の看板が立ててあった。休日なので気持ちだけ頂き、また歩いた。

 16:40赤瀧川の稲生橋通過し高速道路をくぐった。山沿いの細い道<写真27>を通り奥之院白王権現前を通過。車道に出て最後の坂を上って17:20明石寺山門前到着。広い駐車場には一台だけ車が停まっていた。石段を上り本堂へ向かった。ふと右手を見ると建物があった。どうやら納経所<写真28>のようだ。午後5時をとっくにまわっているので書いてもらえないだろうが、開いていたので寄ってみることにした。

 なかでは一日のあと片付けをされていた。「納経して頂けますか?」とストレートに訊ねたところ「いいですよ。」と言って頂けた。しかし「ろうそくや線香は立てないで下さい。」と言われた。僕は去年2月の発心以来、お遍路グッズを揃えて来たが、ろうそくと線香は持っていない。だから、そのことは僕には関係なかった。
 納経を済ませたあと本堂<写真29>と大師堂に行ってみると一日のあと片付けをされており、線香やローソク立て、賽銭箱などは片づけられていた。お賽銭を上げることもできなかったが、納経してもらえて行程的にはとても助かった。


     43.明石寺     

<写真25 歯長地蔵休憩所>

<写真26 皆田小学校前>

<写真27 山沿いの細い道>

<写真29 明石寺本堂>

<写真28 明石寺納経所>

<写真30 古い町並みの街道>
・・・JR卯之町駅へ 1.4km 合計39.4 累計696.1km・・・

 明石寺でもゆっくり休み、17:58出発。裏山を抜け卯之町内に入った。この日は祭りか何か催し物があるようで賑やかだった。古い町並みの街道<写真30>を通った。開明学校への坂<写真31>は風情ある坂道だ。観光客や地元の方たちで活気づいている道を抜けて18:25JR卯之町駅<写真32>に到着。切符を自販機で購入して改札を通るとすぐに18:28発の特急宇和海が入って来た。

 特急車内はエアコンがよく効いていた。シートを倒してくつろいだ。18:99特急宇和海はJR宇和島駅に到着。岩松行きのバス出発まで時間があったので駅前のウィリーウィンキーバス停ベンチに座って食べた。コーラは温もっていたのか、落下などしたのかわからないが、ペットボトルのふたをあけると泡が吹き出した。白衣にもカメラにも被害が及んだが、暑さのせいか、腹も立たなかった。

 乗車しようとしていた宿毛行きより先に岩松行きのバスが来たのでそれに飛び乗った。乗客は僕一人だったのでバス運転手さんとお話した。運転手さんは地域の路線バスにも乗務されるが、四国巡礼の団体バスにも乗務され、何人分もの納経帳や掛け軸を運んだりされたことや、最近四国に橋が架かってバス運転手としてはかえってエラくなったことなど、お話して頂いた。

 バスには途中一人乗って来られたが、ずっと前で運転手さんと話をした。そして19:30津島町役場前で下車した。役場の駐車場に停めてある車内で着替えてから「津島やすらぎの里」という入浴施設でくつろいだ。新しくて充実した設備だったそのあと歩きの最終到達地点である西予市の卯之町に移動した。車道では40km以上もあり、この夏の暑い時によくもまあこんなに歩いたなぁと思った。JR卯之町周辺には適当な駐車場がなかった。それにこの日はお祭りなので治安が悪いかも知れない。どこに停めようかと不安になったが国道56号線沿いにラーメン豚太郎を見つけた。夕方、「津島くつろぎの里」でさらに汗をかいたので塩分が欲しかった。豚太郎ではミソラーメンを注文しスープの一滴まで飲み干した。本当にこの日は食べて飲んでばかりいた。

 満腹になったあとはネグラ探しだった。JR卯之町の駅から少し離れるが卯之町文化会館の駐車場に空きスペースを見つけたので、そこで車中泊とした。

     JR卯之町駅    

<写真31 開明学校への坂>

<写真32 JR卯之町駅>
2004.7.17(土)の会計 金額
高速道路 宇治西→瀬戸中央道→西予宇和 12400円
コンビニ パン等 743円
ドリンク 368円
納経料4寺 1200円
アクエリアス2、コーラ1 300円
ざるうどん 長命水 600円
JR卯之町→JR宇和島 750円
ウィリーウィンキー
パン・コーラ
363円
宇和島バス JR宇和島→津島町役場前 580円
津島やすらぎの里 600円
ペット茶 150円
豚太郎 みそラーメン 470円
18524円
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2004年7月28日 記


           
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