7.十楽寺 〜 11.藤井寺

2003年2月16日(日) 2日目
安楽寺宿坊
<写真1 安楽寺宿坊>
・・・七番十楽寺へ 1.0km ・・・

 翌2月16日(日)朝6:00携帯のアラームで起床。外はまだ暗く雨が降っていた。6:30朝食。ごはんのおかわりもした。

 7:00出発のため玄関に行ってみると、団体客のバスが出発するところだった。宿坊の方々に見送られ、朝の宿坊<写真1>など境内を少し撮影してから、7:05レインウェアを着用で出発した。

 通りには誰もいない。七番十楽寺<写真2>に7:22に到着。ここにも誰もいない。水屋で口をすすいだあと、本堂、大師堂とまわり、納経所と向かった。納経所は朝7時からなので、ここにはお寺の方がおられた。朝、宿坊を出てから初めて見かけた人であった。
 納経帳に朱印をもらったあと、山門に上がってみた。不動明王様がおられた。納札を一枚奉納した。

  7十楽寺
十楽寺山門
<写真2 十楽寺山門>
  
・・・八番熊谷寺へ 4.2km 計5.2km・・・

 十楽寺を7:52に出発、八番熊谷寺へ向かった。雨は相変わらず小降りながら降り続いていた。途中、大きな交差点<写真3>を越えた。迷いそうなところには、ほとんど必ず次の寺への矢印があった。立ち止まることがあっても距離のロスはない。
 西へ向かっていた道が北へ向かって右に折れたところで、向こうから来られた歩きのお遍路さんと出会った。道に間違いはない。

 熊谷寺は、まず納経所があり、その先に多宝塔<写真4>が見える駐車場があった。本堂はその奥のようなので、多宝塔の横を通り、さらに進んだ。

 石段の途中にある山門をくぐりようやく水屋の前に着いた。本堂とさらにその上にある大師堂<写真5>にお参りしたあと、ずっと手前の納経所に引き返した。納経所の手前には、水のない池の中に弁財天があった。朱印をもらったあと9:28出発した。

  
8熊谷寺
交差点
<写真3 交差点>
熊谷寺多宝塔
<写真4 熊谷寺多宝塔>
熊谷寺大師堂
<写真5 熊谷寺大師堂>
 
田んぼの中
<写真6 田んぼの中>
・・・九番法輪寺へ 2.4km 計7.6km・・・

 法輪寺へは、田んぼの中<写真6>を南へ進んだ。10:04法輪寺山門前到着。うどん屋が2軒ある。本堂、大師堂、納経所とまわった。
 バスから降りてこられた団体参拝者ら<写真7>は、声を揃えて般若心経を唱えられていた。

 雨はどうやら上がったようだが、用心のためレインウェア着用のまま10:35出発した。山門を出てすぐのところに猫がいた。昨日からここまで犬が多くよく吠えられたが、猫を見てホッとした。

  9法輪寺
法輪寺本堂
<写真7 法輪寺本堂>
 
・・・十番切幡寺へ 3.8km 計11.4km・・・

 西の空が明るくなってきたので、のんびりしたへんろ道の途中、圓光寺前の軒下でレインウェアをしまい、白衣を着た。なんか元気が出た。
 11:30十番切幡寺バス駐車場に到着。標識通り右(北)に折れた。うどんの看板があるが、本日休業だった。民宿・土産物店街<写真8>を抜け高速道路の下をくぐりさらに登った。

 333段の石段はまだ見えない。山門をくぐり、駐車場も過ぎ、ようやく石段前<写真9>に着いた。
 石段前ではお土産に飴を売っておられた。お店の人に「(ザックを)置いて行ったらいい」と言ってもらったが、中に納経帳が入っている。ザックを担いだまま石段を上り始めた。 333の石段は4つの部分に分かれていて、最後の「男やくよけ坂」「女やくよけ坂」を上り終え、11:50水屋前に着いた。

 水屋で口をすすいだあと、本堂、大師堂とまわった。最後に納経所に行くと団体参拝者の添乗員らしき人がたくさんの納経帳や白衣などを係の方に書いてもらっているところだった。順番なので待っていた。なんせたくさんだから時間がかかる。10分ほど経った頃には僕のうしろにも三人ほど並ばれていた。

 たくさんの納経帳などが書き終わろうとした時、同じ団体の別の添乗員らしき人が現れ、「追加分です。」と言い、さらに20冊ほど机の上に積まれた。
 怒ってはいけないとわかっていたが、これには参った。僕のうしろにも待っている人がいるし、どうなるんだろうと思っていたら、係の方は、追加分は後回しにされ、順番通りに書かれた。

 あとから追加分を積み上げた添乗員も含め、以後、何事もなかったように施された。この寺<写真10>での滞在時間が長くなったが、12:35石段を下り始めた。遠く南の方にはこれまで雨で霞んでいた山並み<写真11>が見えた。次回訪れる焼山寺はあの山のどのあたりになるのだろうと思った。

  
10切幡寺
民宿・土産物店街
<写真8 民宿・土産物店街>
石段下
<写真9 石段下>
切幡寺境内
<写真10 切幡寺境内>
遠い山並み
<写真11 遠い山並み>
 
切幡寺を振り返る
<写真12 切幡寺を振り返る>
・・・十一番藤井寺へ 9.8km 合計21.2km 累計37.4km・・・

 バス駐車場まで戻った後、真っ直ぐ南へ十一番藤井寺に向かった。振り返ると切幡寺が山の中腹<写真12>にあるのが見えた。県道を交差する西側にうどん屋の看板があった。お昼もまわり、おなかも空いてきたので寄ってみたが、ここも本日休業であった。

 職場同僚ですでに歩きで六十五番までまわってられるT氏が「昼は時間がもったいないから食べながら歩く」と言ってられたのは、食べるところがないこともあるなと思った。

 僕も手持ちのものが少しはあるので、何とかなるだろうと思い、さらに南へ向かった。途中、派出所や郵便局があったあたりにスーパーらしき店があったが、立ち寄らなかった。結局、キャンディなどを舐めながら13:30善入川島へ渡る川の堤防に立った。正面にはこれから渡る橋。後ろにはここまで歩いてきた道や町並み<写真13>が見えた。

 善入川島へ渡る橋も欄干のない橋だ。今日も足が痛くなってきたので、靴のひもを少し緩めた。橋は、金剛杖を脇に抱えて渡った。流れの下手には釣り人<写真14>が二人。白衣姿の僕を気にする風もない。

 善入川島内へと進んだ。藤井寺まで5.9kmのへんろ石<写真15>。まだ十番から十一番までの半分も来てなかった。畑の中を歩き、ようやく善入川島から対岸へ渡る川島橋に着いた。

 この橋は、よく写真に登場する橋で欄干がない。川島橋を渡り切ろうとした時、堤防の上をこちらに向かって白衣のお遍路さんが歩いて来るのが見えた。”逆打ち”されているのか。と思った。
 このお遍路さん、堤防の上でタバコをふかし足を止められた。景色を眺めているのか、それとも僕が堤防に上がってくるのを待っているのか?とりあえず堤防に上がった。

 この方は、一人で札幌から自家用車で来られていて、昨日までで八十八ケ所をまわり終え、昨夜は十番近くの民宿に泊まったということだった。今日は歩き遍路の大変さも実感しようと、十番から十一番の往復をされての帰りだった。明日は、もう一度、一番霊山寺に戻ったあと、フェリーで和歌山に渡り、高野山を参拝したあと、名古屋港からのフェリーで苫小牧港へ戻るとのことだった。
 この方とは写真の撮り合いをした。今回のお遍路で僕が白衣を着て写ったのは、ここだけである<写真16>。

 男性と別れて、藤井寺へ向かう。吉野川にかかる川島橋<写真17>は真っ直ぐ伸びていた。いよいよおなかが空いてきた。大通りに出れば何かありそうだが、旧道のへんろ道にこだわった。へんろ道はJR徳島線を越えて東へ。列車の音が聞こえた。
 帰りはこの線路を走る列車<写真18>で帰る予定である。かなり疲れてきたので近くのJRの駅に向かおうかとも思ったが、そのままのへんろ道を歩いた。

 国道192号線を斜めに横断した。コンビニが目に入れば立ち寄ろうと思ったがなかった。相変わらず旧道のへんろ道を進んだ。本当に何もなかった。
 ひたすら歩いたのち、ようやくスーパー<写真19>を見つけた。パン2つと野菜ジュースを購入229円した。この店の前のベンチに座って食べた。

 遅い昼食後、15:10出発。川があった。橋にはへんろ道の赤いシールが貼ってあった。かなりへばっていて杖に頼っていたので、杖をあやうく橋上でついてしまうところだった。しかし、赤いシールの忠告に助けられた。
 へんろ道は、右に折れ、田んぼの中を進んだ。この先、道は工事中で迂回せよとの標示があった。車用のものだろうと推定し、そのまま進んだ。

 右手に大きな芝生のある家があり、そこの犬二匹にけたたましく吠えられた。道は上りの地道になった。なんだか怪しい。やはり工事中でダメかと思ったらバスが見えた。最後は民家の庭先のようなところを通してもらって十一番藤井寺の山門前<写真20>に15:43着いた。

 9.8km。昨日今日では寺間の距離、最長だった。久しぶりに水屋で口をすすぎ、本堂、大師堂とまわり、十二番焼山寺への登山道を確認してから納経所へ向かった。
 今回はここで”打ち終え”なので、白衣も脱いだ。

  
11藤井寺
ここまでの道
<写真13 ここまでの道>
釣り人
<写真14 釣り人>
善入川島にて
<写真15 善入川島にて>
お遍路姿
<写真16 お遍路姿>

川島橋
<写真17 川島橋>
JR徳島線
<写真18 JR徳島線>
マイショップ平島店
<写真19 マイショップ平島店>
藤井寺山門
<写真20 藤井寺山門>
 
・・・帰路・・・

 ザックを下ろし、列車の時刻を確認した。35分後に徳島行きがあった。しかし、JR鴨島駅までここから2km余り。疲れた足では35分では無理かも知れない。その時は駅前でうどんでも食べることにし、歩き始めようとした。

 その時、山門の方から一人の男性が上ってこられた。時刻は16時を少しまわっている。この方、焼山寺へはどのくらいかかるのかと聞かれたので、”歩きだ”と早とちりし、「まる一日分かかりますよ。」と答えてしまった。しかし、車ということなので、納経所に貼ってあった案内を見ると距離40km余り、1時間30分とあった。納経所はどこも17時までなので、今日中にまわるのは無理そうであった。

 この方、「今日はどこまで」と聞いてくれた。僕は、「徳島から高速バスで京都まで帰る」というと、「車に乗っていかないか」と誘って下さった。次回はここからと、さっき白衣も脱いだので車に乗せて頂くことへのこだわりは当然ない。疲労困憊した足でJR鴨島駅まで歩くことを考えたら、今の自分にとって何と助かることか。

 お四国には、弘法大師空海様が今もお遍路をされているという伝説がある。僕はひょっとしたら、この方こそお大師様じゃないかって思い、心の中で「南無大師遍照金剛」と唱えてしまったほどうれしかった。

 帰りの車中、いろんな話も聞かせて頂いた。聞けば、僕もかつて泊まったこともある長野県白馬村のリゾートホテルの総支配人をされていたということで、今から十数年前、ホテルのどこかですれ違っていたかも知れなかった。何か縁みたいなものを感じた。
 混雑するなか、徳島駅まで送って頂き、17:05到着。そして、17:15発京都行き高速バスに飛び乗り、19:40京都駅に到着した。
 
2003.2.16(日)の会計 金額
昼食代 229円
納経料5寺 1500円
高速バス 徳島→京都 4100円
夕食代 997円
JR乗車券 京都→宇治 230円
7056円
合計 35176円
 
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2003年2月21日 記


           
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