24.最御崎寺 〜 25.津照寺

2003年10月13日(月) 10日目
118.8kmポスト
<写真1 118.8kmポスト>
・・・二十四番最御崎寺へ 12.5km・・・

★鹿岡→青年大師像前★

 10月13日(月)、昨夜はものすごい風だった。夜中、何度も揺り起こされた。風で車が左右に揺れるのだ。やはり室戸岬の風は並ではなかった。
 今回も週末遍路。今日帰る。だから朝、暗いうちから歩こうと思っていた。が、睡眠不足で朝寝坊。起きたのは6:30だった。

 駐車場のトイレを借り、朝食のパンを食べてから昨日のバス停のところまで車で戻った。
 そして鹿岡第一の次のバス停である「不動浦」近くの路上に車を停めた。
 白衣を着て、金剛杖を手にして、昨日の終了地点118.8kmポスト<写真1>まで200mほど戻って7:12再スタートした。

 今朝<写真2>は昨日のような雨は降ってないが、風がすごい。それも岬からの南風。逆風だ。
 歩き出してすぐ7:30若い方に抜かれた。相当足が速い。
「24番まで10kmほど。急げば1時間ちょいで着きますかねぇ」と冗談とも本気とも言えないようなことを言って歩き去られた。
 ひらすら南下。本当に風がきつい。昨日の雨のほうがまだましなくらいだと、思った。しかし、昨日が風で、今日が雨でも、同じようなことを思ってしまうのだろうか?と思った。

 右手に陸、左手に海の風景が、昨日から、いや前回からずっと続いている。
 昨日との違いは、海が朝日に輝いて<写真3>きれいなことだ。
 椎名漁港や三津漁港を過ぎる。国道を右へ折れる道があった。室戸市内へ短縮ルートだ。ほとんどの車が右へ曲がる。

 9:10青年大師像が見えてきた<写真4>。昨夜は、暗かったのできづかなかったのだが、今朝も気づかなかった。車で通過するだけでは見えないものが多いということだ。それにしてもこの大きさの像に気づかなかったのは、不思議だ。
 しかし、そのおかげで、歩きで得られる感動を残してくれた。
 像は遠くから見えていたが、なかなか近づかない。ようやく9:35青年大師像前<写真5>到着。一礼し、さらに南下した。
朝の海
<写真2 朝の海>
輝く海
<写真3 輝く海>
国道55号にて
<写真4 国道55号にて>
青年大師像
<写真5 青年大師像>
★青年大師像前→最御崎寺★

 9:40御蔵洞<写真6>到着。昨夜、この近くまで来て車中泊したのは、ここからのご来光を見たかったからだが、叶わなかった。
 御蔵洞で一礼。先へ進む。車中泊した駐車場でトイレを借り、10:00最御崎寺登山口<写真7>到着。
 ここからは、山道<写真8>を登る。結構、標高差がありそうだ。捻岩や展望台を過ぎ、10:25ようやく最御崎山門前<写真9>到着。

 団体のお遍路さんが大勢おられた。腹が減っていたがまず、お参りだ。
 本堂<写真10>、少し戻って大師堂、そして納経して頂いてから、本堂横のベンチに座り、おにぎりを二つ頂いた。
 境内の奥に大きな鐘があり、団体のお遍路さんたちが、代わる代わる鐘を撞かれている。大きないい音色で響いている。僕も撞きに行った。いい音がした。
 そのあとおへんろセンターへ。ここは宿泊もできる。以前、自転車で来たとき、ここのYHに泊まった。
 住職さんが布団は一人一枚。食器はきれいに洗うようにと、厳しく言われておられたことや、大広間で何十人も雑魚寝をしたのを懐かしく思い出す。

 ここまで菅笠なしで来た。菅笠はかさばるし、持ち運びに不便そうなので、準備しなかったのだ。
 だが、今回、京都出発の時に、ここで菅笠を買おうと決めていた。

 四国お遍路も通算5回目になり、だんだんとわかってきた。

 お遍路に限らないが、古来からの「しきたり」があり、それは重んじるべきものであること。[これは、むしろお遍路5回目にもなったのだから、しきたりを重んじたいと思うようになったのかも知れないが・・・]
 また、お遍路のことをよく知らない僕の場合、とりあえず、形から入る(これは、てっとり早くいうと先達さんたちの真似をすること)のがいいのではないかと、思うようになったことだ。

 とにかく、これでまた少しは、おへんろさんらしくなったと思う。

 菅笠の紐の締め方やかぶる方向をレジの方に教わり、冷水器に用意してある深層水を飲んでいくよう勧められて、へんろセンターを11:20出発した。

   24最御崎寺
御蔵洞
<写真6 御蔵洞>
最御崎寺登山口
<写真7 最御崎寺登山口>
登山道
<写真8 登山道>
最御崎寺本堂
<写真10 最御崎寺本堂>
最御崎寺山門
<写真9 最御崎寺山門>
最御崎寺門前
<写真11 最御崎寺門前>
・・・二十五番津照寺へ 6.8km 合計19.3km 累計243.0km ・・・

 最御崎寺を出て<写真11>、車道の室戸スカイラインを下る。高校生の時、友人と二人で自転車で来たとき、ここを押して登った。下り、何故かパンクしたので、押して下った。思い出深い坂である。

 今日は、本当に風が強い。菅笠を深くかぶり込んでいても、時には手で飛んでしまうのを押さえなければならなかった。
 スカイラインから室戸の町<写真12>がよく見えた。昨日の雨で空が澄んでいるのだ。
 平地に戻り、しばらく景色のいい国道沿いの自転車道を歩いた。どこまでも果てしなく続く太平洋。素晴らしかった。
 しかし、強風のため、菅笠が飛ばされそうだったので旧街道の遍路道に戻った。家が両側に建ち並んでいる。人もおられる。バスも走る。花<写真13>も咲いている。
 自然もいいが、人や町もいい。

 昭和9年(1934)の室戸台風の碑が至るところにあった。このとき、室戸岬では瞬間最大風速84.5m/sを記録。[日本気象観測史上最高記録]。強風で船が陸に押し上げられ、家がまるごと吹き飛ばされ、死者、行方不明者3000名を越えた。
 美しい自然の一方で、凄まじい災害の歴史がここにはある。

 後ろから自転車に乗った「ガイジン」が近づいて来られた。昨日、法海上人堂で出会ったフランス人だ。僕はすぐわかったので、手を挙げた。
 向こうは、手を挙げたこちらの存在に気付いたが、昨日の僕とは思われなかったようだ。
 昨日は青のレインウェアに黄色のザックカバーだったのだが、今日は、白衣に菅笠の姿だから仕方ないと思った。

 25番津照寺へ向かってさらに北上。12:23室戸岬港(津呂港)到着<写真14>。内湾に小さな漁船たくさんが泊っていた。紀貫之はこの港で嵐をやりすごしたらしい。

 高知東部交通室戸営業所前を12:32通過。12:38旧道は国道と合流<写真15>。津照寺の看板が見えてきた。もう少しだ。国道と分かれてしばらくで13:10津照寺山門前到着。

   25津照寺
室戸の町
<写真12 室戸の町>
花・コスモス
<写真13 花・コスモス>
室戸岬港(津呂港)
<写真14 室戸岬港(津呂港)>
国道と合流
<写真15 国道と合流>
・・・帰路・・・

 津照寺は、町のど真ん中にあった。山門<写真16>をくぐると右手に大師堂と納経所があった。先に本堂<写真17>へ向かう。
 本堂は高い所にあり、急な階段が厳しい。本堂でお参りをし、急な階段を下り、大師堂、そして納経所へ。

 急げば、甲ノ浦方面へのバスに間に合うかも知れない。国道で見たバス時刻表から推定すると13:40頃のはずだ。
 寺を出てバス停へ急いだ。13:36バス停<写真18>到着。おばあさんが二人、バスを待ってられる。バスはまだ到着していないようだ。バス時刻表を確認すると、13:39発だった。

 信号の合間を見て、道路向かい側にある自販機でペット茶を購入。
定刻にバスは到着。何人かの人が下車され、僕を含めて3人乗った。バス内の乗客は僕を含めて計5人。
 このバス停「室戸」あたりが、室戸市の中心街なのだろう。

 バスは、僕が歩いてきた道をそのままそっくり引き返し、室戸営業所に着いた。乗務員交代で、なんと、昨日の運転手さんが乗務された。僕のことを覚えておられた。

 14:05バスは、「不動浦」<写真19>に到着。昨日と比べるとアッいう間だった。
 運賃は、昨日のおよそ半分の770円。当然、歩行距離もおよそ半分の19.3kmだ。

 停めておいた車は無事だ。汗をたくさんかいているが、早く家に帰らねばならない。
 数日前から具合の悪かった猫(キジちゃん)が亡くなったと、家人から連絡を受けていた。
 車を少し走らせてから、車内で着替えた。

 バス運転手さんによると、このあたりから大阪まで約5時間かかるそうだ。
 今日は三連休の最終日。高速道路の渋滞が予想される。昨日と前回歩いた道を引き返した。
 バス窓からもたくさん見かけたが、自分で運転してみると、歩きのお遍路さんの多いのに驚いた。見かけただけで40人はおられた。

 金剛杖を持ってない人は見かけなかった。(これは、金剛杖を持ってなければ、僕がお遍路さんと認識しなかったためかも知れないが・・・)
 白衣を着ている人は3分の2ほど。菅笠をかぶっている、または、持っている人は半分ほどだった。
 ひとりか二人づれのどちらか、ややひとりが多いか?三人以上は見なかった。

 今回、歩きのお遍路さんとほとんど出会わなかったので、少し淋しい思いがしました。しかし車で逆方向に走ってみると、道沿いにはたくさんの歩きのお遍路がおられることがわかりました。

 徳島市内に入り、腹が減ってきたので、マクドナルドでハンバーガー・フライドポテト・コーラのセットを購入し、運転しながら食べた。
 鳴門ICから高速に入った。道路情報によると中国道は宝塚トンネルで渋滞らしい。帰りは、神明道路・阪神高速を経て、西宮ICから名神・京滋経由で帰ることにした。途中、眠たくなりそうだったので、缶コーヒーを飲んだ。
 疲れていたせいだろう。セットのハンバーガーも胃にもたれる。ソルマック胃腸ドリンクを飲んだり、ガムをかみながら、帰路を急ぎ、20:15帰宅した。
津照寺山門
<写真16 津照寺山門>
津照寺本堂へ
<写真17 津照寺本堂へ>
室戸バス停
<写真18 室戸バス停>
不動浦バス停
<写真19 不動浦バス停>
2003.10.13(月)の会計 金額
納経料2寺 600円
菅笠 1575円
コーラ・お茶・缶コーヒー 370円
高知東部交通バス 室戸→不動浦 770円
マクドナルド 367円
ソルマック・お茶 514円
高速道路 鳴門→宇治西 7650円
ガソリン代 688km 4788円
16634円
合計 32253円
累計 149662円
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2003年10月17日 記


           
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