第四十三回  12月といえばヤッパリ"クリスマス"


   ●セベリン家のクリスマスツリー
  毎年このスタイルで飾ります。 
   
12月。
おがわ医院でも、さっそくクリスマスの飾り付けをしました。
スウェーデンでのクリスマスの話は、今までの留学記のなかで
主人がいろいろご紹介して、私たち家族がいかに魅せられ、
どんなに楽しんで来たかもお伝えしてきました。

日本では、早いところでは10月頃から
店頭にクリスマス用品が売り出されたり、

ディスプレイが始まり、徐々にクリスマスに近づく感じがしますが、
当時のルンドの街では、12月のファーストアドベントを境に、
家の様子も街の様子も、ガラリと一気に
クリスマス色に変わるという印象を
うけた覚えがあります。

  2年目のクリスマスにはセベリン家のクリスマスの準備に参加させてもらいました。
  セベリン家は、クリスマスになるとますますステキです。
  Fjelievagen(家の前の通りです)に面した出窓には、
  三角のキャンドルライトとジャコバサボテンを飾り、
  カーテンもテーブルクロスもキャンドルスタンドの飾りも
  キャンドルも、赤と緑基調のクリスマスバージョンに変わります。

●バンティメで子供たちがつくった
オーナメント
そして、何といっても圧巻はリビングのツリー。
毎年ラトコが枝振りを慎重に吟味して、
教会のもみの木市で選んでくるそうです。
ツリーの飾り付けは、とってもデリケートな
アンティークのガラス玉とろうそくの形のランプだけでした。
ガラス玉は年代も形もまちまちでしたが、
それぞれに、ご先祖様や家族の思い出があるようで、
彼らはとても静かに、しみじみと心を込めて
飾り付けをしていました。

部屋に広がるもみの木の香りもすてきでした。
特に夜のセベリン家のこのツリーからは、
なにかがググッと胸に迫ってくるような
"不思議"がありました。

だいたい、スウェーデンの古い家には、直接照明がなくて、
薄暗い感じのする間接照明プラスろうそくの灯りというのが、
日常でも多いのですが、クリスマスになると
その効果を上手に生かして窓辺等をとても魅力的、
幻想的に、外から見られることも意識しながら
部屋を飾っていました。


●はるなのクラスのパフォーマンス
なんだかみんなと違うことをしている
はるなとエリッキャ・・・
実は、私には1年目のクリスマスの時から
ずっと気になっているものがありました。
それは朝市で売っていた大きな大きなリースです。
自動車のタイヤくらいの大きさをしていて、
どれも作る人が楽しんでいるのが伝わってくるような
オリジナルの1点もので、生のもみの木やヒイラギ、
モスなどの緑だけの濃淡でできた生のリースです。

通るたびに見入ってしまい、はるなやみちると
「今日のなかではどれが一番好き?」と
ウィンドウショッピングして楽しんでいました。
私たちは、それを玄関のドアの飾りだと信じていました。
次の年には、どうしてもこれを玄関に飾ろうと思っていて、
2年目のクリスマスが近づき、
あのリース市がたつのを楽しみにしていました。

そして、いよいよセベリン家との恒例の茶話会で、
クリスマスの装飾の事が話題にのぼった時、
私はあのリースを玄関に飾りたいと、彼らにお願いしました。
ところが、それを聞いた彼らは、
またまた大笑いしてユーゴスラビア語で
なにやら話し合い(4人で話をする時、都合の悪い事、
秘密のことはお互いの目の前でも彼らは
ユーゴスラビア語で私たちは日本語で、
オープンに?作戦会議をしていました)
上機嫌でしたが返事はキッパリ"No"でした。
また二人を楽しませてしまった…
けれども、なぜなんだろう…?
そして、ファーストアドベントの朝。
ラトコとアナさんが、これから出かけるから
一緒に来ないかとはるなを誘いに来てくれました。
たいていの"おでかけ"のお誘いには、
はるなはごきげんでついていきます。
"今日はどこ?""お墓"…エッ?
  なんと、セベリン家のお墓参りに小川家を代表して
  はるなが出かけることになりました。
  玄関まで見送りに行くと、アナさんとラトコがとってもうれしそうに
  "YOKO!"と見せてくれたのは、例のリースでした。
  玄関には飾れないわけです。あれはクリスマスにお墓にお供え?
  するリースだったのでした。

●みんなでつくった
クリスマスのデザートでパーティです
12月になると、はるなやみちるが通っていたバーンティメや
オープンハウスでもクリスマスに向けての工作が始まります。
キャンドルスタンド、ツリーのオーナメント、ペッパコッカ作り…。

ペッパコッカは、クリスマスにはなくてはならない、
とっても薄く焼いたジンジャークッキーです。
(私は今でも毎年焼いています)
バーンティメやオープンハウスでは
先生のお手製のカラフルな小麦粉粘土での粘土遊びが
人気がありました。その粘土がクリスマス前になると、
クッキーのドウになります。粘土に使っていたお道具を
そのまま使ってドウをのばし、型抜きをさせて併設された
キッチンで先生が次々と焼いてはおやつの時間に
食べさせてくれるのです。はじめとっても驚きました。
正直、きたない…なんて思ったりして。
でも、それはまたもや"Why not?!"の目からうろこの世界。
教室中甘い、いい香りがいっぱいで、
子供達はどんなに一生懸命作業するか、
楽しくうれしそうにそれをいただくか…すてきでした。




●ツリーをかこんでのダンスタイム
目からうろこといえば、もう一つ驚いたことを。
終業式にもあたる、家族ぐるみの
クリスマスパーティーの時に、チョッとした
学芸会のようなものがありました。
それぞれのクラスごとに歌やお遊戯を披露してくれます。
日本の幼稚園や学校の運動会や学芸会などの行事といえば練習が
大変でしょ。いっぱい練習をして本番さながらの予行演習をして、
当日は完璧な姿で発表ですよね。

親は子供達から練習の段階からその様子を聞いていて、
当日はうまくできるかドキドキしながらそれを見ていて…
という感じですが、当時はるなやみちるの行っていた幼稚園では、
いつでもぶっつけ本番。誰もが"ハイテンション"の時に
突然舞台に上がって、歌を歌おうとか言われるものだから大変です。
とっても張り切って喜ぶ子、どうしていいかうろたえる子…。
はるなのように大はしゃぎする子。
そんな、こんな色んな様子もみんなパフォーマンスの一部?
そんな出し物を見たら、日本のお父さんやお母さんなら怒っちゃう??

●ダンスタイムはみんなでもりあがります
スウェーデンで出会ったお友達のご両親達はみんなおおらかに、
あったかい目をして、時にはおなかを抱えて大笑いしながら
楽しんでいました。

今のスウェーデンでは、どうだか解りませんが、
当時はこんな催しの時も私たち家族のように写真機を持って
パチクリする人は見かけませんでした。みんな記録を残すことより、
その場でその一瞬をとことんともに楽しむ!!
という感じでしょうか。
私たち家族は、楽しい一コマを持って日本へ帰るぞ
と頑張っていたのだけれど、みんなは思っていたのかな…
「あっ、やっぱり日本人、カメラが好きね」って。

それでは皆さん
God Jul och Gott Nytt Ar
すてきなクリスマスと新年を。