第三十九回  Play Back Part U"私達の子供をみてくれ"


ヨハンのパーティーのことを久しぶりに思い出すと、
それに刺激されて色々な事が浮かんできます。

そして6月の更新でご紹介した高校の卒業式の事も、
もう少し詳しくご紹介したくなりました。
日本のそれとはあまりにも違っていて、
驚いたことをあらためて思い出したからです。

ホームページの写真は
スウェーデンの方とご結婚なさって、
ずっとあちらで暮らしていらっしゃる
"ゆみ子"さんの息子さん「ジム君」の
卒業式におよばれした時に撮ったものです。
「日本の卒業式とは全く違って
にぎやかなお祭りですよ。
とてもビックリされると思いますよ〜。」
とのお誘いにそれでは!!と家族で
ワクワクしながら出かけました。

    
  
     ●アクセントカラーは、国旗の色の青と黄色です。
まず、お約束の時間にお宅に行くと、
ジム君は先に卒業式に出かけられているとのこと。
ステキなホームパーティーの準備が整っていて、
真っ白なよそいきを着た弟さん達とご主人は、
プラカードを持ったり、ふうせんを持ったりと
出かける準備の最中でした。

ニコニコ明るく動き回り、大きな声で出かけの準備を
確認している家族の皆さんのご様子が、
とっても楽しそうで、私たちの期待も
どんどんふくらんでいきました。

式は街の教会で行われ、
学生達が市庁舎の広場まで行進してきて、
そこでお披露目のセレモニーがあるとのこと。
とりあえず、みんなで市庁舎へ
ということになりました。

市庁舎に近づくにつれて集まってくる自動車、
人の多さにビックリ!自動車の多くは
オープンカーだったり、サイドカーを引いていたり、
トラックだったり、クラシックカーだったり。
それらがふうせんやモール、花や木で、
おおげさにデコレーションされています。
いったいなにがおこるのでしょう…。
とにかくすごい盛り上がりようでした。
そして定刻通り、沿道にたくさんの人たちが
集まった頃、ブラスバンドに先導されて、
卒業生達のパレードが大きな声で
歌を歌いながら広場にやってきます。
卒業生のシンボルは"真っ白な学生帽"
服装もそれにあわせて白の人がほとんどです。
そして、アクセントカラーは、はっきりと2色。
ナショナルカラー、国旗の色の青と黄色。
  ●広場は握手とハグの海になります。
国旗へのこだわり…日本でも卒業式のシーズンになると
色々と話題にのぼりますが、全く違ったかたちで、
スウェーデンの人達の国旗へのこだわりには、
大きいもの、熱いものを、折に触れいつも感じていました。

沿道の人たちは、そのパレードとともに市庁舎に移動し、
舞台は市庁舎の広場に移ります。
学生達の家族は手作りの特大プラカードを掲げ、
我が子に自分たちの居場所をアピールしながら
式に参加します。(みんな小さい頃のポートレートで
プラカードを作っていたのはなぜなんだろう…?

クラスごとのあいさつの後、卒業生達は
そのプラカードのもとに散っていきます。
それからは、広場は握手とハグの海になります。
    
    
  
●首から花束をかけるのがスウェーデン式
そこではじめて見た
ほほえましい光景もご紹介しますね。
花束です。こんなとき、
お祝いの花束をプレゼントする習慣は、
日本でもスウェーデンでもいっしょのようでしたが、
スウェーデン式は花束に長いリボンがついていて、
ペンダントのように首からかけるのです。

人気者ほどたくさんの花束を首からかけています。
なぜ首からかけるのか…。
両手は空けておかなければならないからです。
だって、ハグするのに困るでしょ!

そして、あのデコレーションカーたちは
一体なんだったのか。あれらの車は、
卒業生をのせて家族が家まで連れて
帰るための凱旋車?でした。
それぞれ趣向がこらされていて、
いかに注目されるか、いかにユニークかを
競っているようで見ていて
本当に楽しいものばかりでした。
これを見にやって来ている人たちもたくさんいました。

   

      
   ●人気者ほどたくさんの花束を首からかけています
スウェーデンのほとんどの親子は、
この高校卒業を機に親離れ、子離れをするそうです。
仕事をするにしても大学や専門学校に進むにしても、
子供達は親の家を出て独立するようです。
学生でも奨学金を受けて学生寮に住む人が
ほとんどのようでした。

だから、この卒業式は家族にとっても
子供達の巣立ちの儀式でもあるわけです。
子供の門出を手放しで喜び、
できるだけ華やかに演出する親心(?)が
すごいパワーになって、この卒業イベントに
現れている感じを受けました。

それを素直に受け入れ、とっても誇らしげに
はれやかな顔で自動車から沿道の人に
手を振っていく卒業生たち。
その場にいて、ステキな映画のなかに
入り込んでしまったような感動を覚えたのを思い出します。

  そうそう、あの時私は日本に帰っても、子供達が大きくなって、
  いろいろな節目にはこのスウェーデン流で手放しで
  パーッとにぎやかにドーンと派手に祝ってあげようと思っていたんだっけ。

  思い出したら即実行。
  チャンスはいつやってくるでしょう。
  娘達はどんな顔をするでしょう。
  楽しみです。