第三十七回 アナさんの"ミチカ"と私の"みちる"の育児日記
![]() 高校の卒業式は特に盛大に 街をあげてのお祝いでした● |
6月のスウェーデンは、実にすばらしい、 美しい季節です。深く豊かな緑と、 色とりどりの木々の花、ぬけるように広く 高い青空。そのスケールの大きさに 身も心も大きくなったような気持ちになります。 陽の長さとともに、テンションが高くなり、 元気とやる気がもりもりと湧いてきます。 実は最初の年、私はこの季節に |
トレーニングパンツは、はるなの時に使ったものを日本から空輸しました。
こんなものまでと思ったのですが、荷物のすみにつめこみました。
送るのと、現地調達するのとどちらが経済的かとだいぶん迷ったので、
ドキドキしながらスーパーをチェックしましたがどこにも見あたりませんでした。
やっぱり送って正解だったとチョッとホッとしました。
このように、準備は整っていたものの、問題は家のいたるところに敷いてある"ラグ"でした。
もしも?の時のために天気の良い日に外に干し、しばらく片づけておくことに決めました。
みちるとの話し合い?も終え(一応彼女に、このトレーニングの必要性と目的を理解、
納得してもらいました)万全の構えができたある日、アナさんが部屋に入ってきました。
昼間、ラグを干していたのを知っていたので、様子を見に来たのでしょう。
すっきりさわやかな床を見渡し「一体どうしたの?」
やる気満々、意気揚々と説明する私に、アナさんの表情はみるみる変化し、
私はこんこんとお説教されることになってしまいました。
アナさんの意見はこうでした。
何てナンセンス、何てバカなこと、何てかわいそう!
ユーゴスラビアでもスウェーデンでもこんな小さな子にトイレを教えるなんて聞いたことがない。
(だからトレーニングパンツなんて売っていなかったのね…)
そんなこと自然にできるようになるまでどうして待ってやれないの。
3歳、4歳になっておしめしてる子なんていないでしょ!
あ〜なんてかわいそうなみちる!! ハグ、ハグ、ハグ…。
結局このトイレットトレーニング騒ぎは、小川、セベリン両家の協議の結果、
(というよりアナさんとラトコの勢いに負けて)行わない事になりました。
そして、みちるの名誉のために…なるほどアナさんの言うとおり、
秋風に木の葉が舞う頃いつの間にかという感じですっきりおしめと縁がきれました。
アナさんとラトコは、はるなを「ハルニッツェ」みちるを「ミチカ」と呼び、
あふれ出す愛情をあふれ出すままにたっぷりと2人をかわいがってくれました。
そして、こんな風に彼女たちの育児にも何気なく、さりげなく、
関わってというより参加するようになっていました。
正直、時には文化慣習の違いで、"なんで!!"と思うようなこともありましたが、
彼らの存在は異国での私たちの子育てにとっては、やはり心強く、ありがたいものでした。
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こんな事もありました。
スウェーデンでは、児童虐待はもちろん法律で罰せられ、重い罪になると聞いていました。
過去にある方が、学校の身体検査で「蒙古斑(おしりが青い例のやつです)」が問題になり、
その誤解を解くのに大変だったと言う話がルンドに住む日本人の間で語り継がれていました。
「へーっ」と興味深く、けれども全くお人ごととして聞いていた我が家に、ある時大事件がおこったのです。
みちるが、突然夜中に七転八倒して泣き叫ぶ日々が続いたのです。
"夜泣き"の域ではないくらい、部屋を走り回り、激しく泣き叫ぶのです。
なだめようと、だっこしようとしても、暴れ回ってだかせません。手のつけようがないのです。
さんざん暴れたあげく、一時間程経つと疲れ果てて眠ってしまいます。
けれども翌朝は、けろっとしてごきげんに目覚め、一日ごきげんに過ごすのです。
私たち3人は寝不足で疲れもたまり始めました。
「ちょっと、これって、私たちが夜中にみちるを虐待してるって思われるんじゃない?」
「通報されたらどうする?」
冗談のような心配が、騒ぎがこう毎日続くとだんだん本気になってきました。
そして、とうとうというか、やっぱりというか…ある夜騒ぎが始まると、
夜中だというのに血相を変えたラトコとアナが2階からかけおりてきて部屋に飛び込んできました。
「いったいどうしたんだ」
「わからない」
「信じられない」
私たちがみちるをいじめているのではないことは解ってもらえたものの、
夜泣きの原因は謎のままでした。
そして、またまた、ほどないある朝早く、アナさんが部屋に元気いっぱいで飛び込んできました。
「え〜っ、今度は何?!」と悪いけど彼女の勢いに身構えてしまったのですが、
みちるの口をアーンと開けさせ、のぞくやいなや
「やっぱりそうだった!!」と大喜び、大はしゃぎ、大興奮。
そうです。
みちるの奥歯が半分くらい顔を出していたのでした。
夜泣きの原因は、歯が生えてくる時の痛みからだったようです。
「歯が生えてくる時は、こういう事があるのよ」と満面笑みの彼女の育児論を
このときもタップリ聞かされたことは、ご想像の通りです。
しばらくして、みちるの口の中には、たくましくって、見るからに頑丈な立派な奥歯が
ニョッキリと姿をあらわし、この事件も落着しました。
話は全く変わりますが、ワールドカップ、盛り上がっていますね!
我が家も毎晩、テレビ、ビデオで観戦に大忙しです。
日本はもちろんですが、やっぱりスウェーデンチームの事が
とっても気になります。熱烈応援してますよ!!なつかしい名前、
なつかしい風貌(知り合いだった人を思い出します)に出会えて興奮します。
あちらでもみんな大騒ぎしてるんだろうなあ。
いろんな場所、いろんな人がうかんできます。
月末には関西スウェーデン協会で催される夏至祭に出かけるつもりです。とっても楽しみです。
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