第三回「セベリン家の人々」

  真っ暗な町もなんとなく明るくなってきました。ルンド・グランドホテル前で早速、
   「我がボス」シュラー先生と挨拶を交わし、チェックインをと思いました。
   しかし、「ホテルに泊まるなんて、そんなもったいないことをするな。」
   「セベリン家の人々がおまえたちを待っているので、今日からそこに住めば良い。」と
   ボスからの最初の命令?!を頂戴しました。

   そんな事言っても今日着いたばかりだし、
   荷物の整理もあるし、部屋だってどんな部屋か
   分からないし、日本から送った荷物だって
   まだどうなっているかも判らないし、
   部屋も掃除をしなければならないだろうし、
   家具付きと言ったってどんなだかわかんないし、
   今日寝るのはどうするの、食べ物もないじゃない、
   買いに行かなければならないけれど
   どこに行って良いかも判らないでしょう…。

●セベリン家に到着直後、
日本語の文字での歓迎を受ける。

   色々と言いたいことは山のようにあるけれど、そこはそれ、「6ヶ月間の特訓」でしゃべれると
   信じていた語学力がやはり薄っぺらであったことを確認すると共に、
   「いやと言えない日本人」を実感しました。(なぜか笑ってごまかそうとしてしまうんですよね!)

  いやと言えなかった私たちは、ボスの運転でルンドの我が家へ送っていただきました。
   「フィエリエベーゲン21番地」これが我が家の住所です。
   ルンドの中心部は古い町並みで、石畳が敷き詰めてあります。郊外に出ると石畳は無くなりますが、
   我が家はその石畳のはずれにあります。大きな2階建てのおうちで、レンガ造りです、
   後でわかったのですが屋根裏部屋があり3階建てでした。
   もちろん庭もあり、庭にはりんごやプラムの木が植わっています。ボスの案内でその家につきました。
   ブザーを押しましたが、返答がなく、「コンコン」とノッカーをたたくと、
   2階から大家さん一家が降りてきました。
   ご主人の「ラトコ」、奥さんの「アナ」、息子さんの「ドラガン」、娘の「ナナ」がセベリン家のメンバーです。
   ヨーロッパ流のご挨拶になれていなかった私たちは戸惑ってしまいましたが、
   当然のように「ハグ」(抱きつくことです、念のため)されてしまいました。
   戸惑いながら家に入ると、私たちの部屋に案内してくれました。

       
    
          ●私たちの部屋

入り口には日本語でようこそスウェーデンへと
書かれていてさらにびっくりしましたが、
まるで今も誰かが住んでいるようにベッドも家具も
冷蔵庫の中も物が詰まっていました。

日本流に言うと3LDKになると思いますが、
一部屋が広く充分過ぎる広さでした。ピアノもあり、
お客様用のソファーベッドもあり食器も家具も
そのまま使える状態で用意してくれていました。
ありがたかったー本当に、
でもこれがセベリン一家の親切ラッシュの幕開けに
過ぎなかったことを私たちは
知る由もありませんでしたが…。

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