第二十九回  「ビットシッパとギュールシッパ」


  春です。
  ついに、2度目の春が巡ってきました。
  春が近づいてくると本当にウキウキします。

  ほーら、かわいい花でしょう。
  ビットシッパって言います。
  ビットは白いって意味です。
  黄色いのはギュールシッパ!
  ギュールは黄色いって事です。

  この花たちがルンドの郊外で咲き乱れてるって "ウワサ"を耳にした私たち、早速情報を収集!
  そこは、ルンドの郊外のダルビーという所でナショナルパークにも指定されているそうです。

  地図と標識を頼りにトコトコとインセビンセ号で行くと…。
  ダルビーの森散策用に駐車場がありました。
  そこで、インセビンセ号とお別れして、いざ「散策」と相成りました。

  いつの間にか手に入れた「ピクニックセット」をもってダルビーの森を散策し、
  春の息吹を体一杯に吸い込みました。

   
            ●かわいいお花を満喫した休日でした●
森と小川
(川ってほんとうにあまり見ませんでした。
湖はたくさんあるのですが、
川は本当に珍しい…。
でもダルビーの森には
小川が流れていました。)と切り株と、
そしてかわいいお花を心底満喫しました。

4月初めの休日でした。

 ここで、チョッと不思議な事に気がつきました…。
  去年のポスクの頃と今年のポスクは何故か気候が随分違うのです…?
  スキーラの花が裏の林で満開になったのは…。3月の20日ごろでした。
  それが、今年は4月になっても満開にならないのです。
  結局なんと4月も10日過ぎ、ようやく満開かなという感じになりました。
  これは、春を待って待って待ちつづけている方から言うと「とんでもない」事でした。

  ただでさえ寒いのに何故か今年は春がなかなかやってこないのです。
  スウェーデン語が充分解らないから、テレビや新聞等の情報が乏しい私たちにとっては、
  目で見えるもの、肌で感じるものだけ?がたよりです。

  今なら、インターネット等で情報はいくらでも入ってきますが、
  当時はまだインターネットは普及していませんでしたから…。
  自然に対しては、まったく「五感だけ」がたより!

   
     
●裏の林にもビットシッパが咲き始めました
たった20日程じゃないか
と皆さんは思われるでしょう!
けれど、私達にしてみれば、
それはそれは長〜〜い20日だったわけです。

スキーラから約1ヶ月すると、
裏の林にもほーら
ビットシッパが咲き始めました。

去年も書きましたが、同じ場所で白から紫、
そして黄色と本当に
絨毯を敷き変えるように
一面の色が変わります。

身分をわきまえているように、
色が混ざりません。
不思議なものですよね、本当に。

  去年の事を思い出すともう直ぐのはずです。
  5月頃になると前に紹介したようにスウェーデンの国旗はこれだ!と思うような
  真っ青な空とまっ黄色の菜の花!まさにスウェーデンの国旗です。
  りんご、洋なしと街路樹も真っ白な花化粧で新緑を飾ります。
  これまさに「スウェーデンのベストシーズン」と断言できます。
  日もだんだんと、スピードを上げて長くなり、ウキウキ、ワクワクするのもこの頃です。
  バケーションが、そのシーズンがおぼろげながら見えてくるのもこの時期です。
  だから、皆が活気付き余計に良い季節なのでしょうね!

  北欧に行かれる時には、季節が選べるなら是非、5月から6月をおすすめします。
  少なくとも、去年は5月が最高でした!
  冬に両親から連絡があった時、
  今年はゴールデンウイークにスウェーデンに行きたいって事を言われた時、
  「そりゃあ良い」「最高のシーズン、最高の天気」って答えたのはしょうがないですよね〜。

  ところが…。この年は……。5月の初めは………。
  勇んでやってきた両親やご一行様には申し訳なかったのですが、寒〜〜いどころか、
  コートがしまえないどころか…。
  実は両親が着いた日、コペンハーゲンでは雪が舞っていました。
  春まだ遠いって感じというか、チョッと逆戻りしてしまった感じです。

  年によって、季節の移ろいがこんなに違い、それに気分がこんなに踊らされるなんて、不思議です。
  でも、情報が先に予報として入ってきて、心も身体も身構えてから受け止めるのが当たり前だった自然、
  気候というものを、全く無防備に正面から受け止めて、感じて過ごした様々なスウェーデンでの経験は、
  今思い出すと戸惑いあり、冒険あり、涙あり、感動ありのとっても素敵な体験でした。