第二十一回 秋の訪れは・・・

  

 スウェーデンの秋は、何度も言いますが足早にやってきます。
  夏、真っ青だったはずの空はどんよりと「なまり色」になります。
  スコーネ地方では、風も強くなります。
  そして、雨の日も多くなります。
  なにより、気分が晴れやかでなくなってしまうのです。

  秋をそして、またやってくるはず?の冬をどうやって
  スウェーデンの人は過ごすんだろうってずっと謎でした。

  ルンド大学の留学生って全世界からやってきています。
  肌の色も、色々です。
  もちろん習慣も色々です。

 ルンド大学では、そういった留学生のためにスウェーデンの習慣や行事等を紹介してくれ、
  援助してくれる組織がありました。
  LUFF(Lund University Foreign Friends)というのがその組織でした。
  ボランティアさん達が支えておられたのだと思いますが、登録すると色々と案内をいただきました。
  「スウェーデン料理教室」「ルシア祭」「お菓子作り」「リース作り」「英会話教室」「ドイツ語会話教室」
  そして今回紹介する「マッシュルームピッキング」等々色々とお世話になりました。

  今回のマッシュルームピッキングも
  LUFFの年中行事の一つのようでした。
  秋になると、さっきも書いたように雨が多くなり
  日本と同じようにキノコが出てくるわけです。

  キノコ狩りに行かれたことありますか?
  毒キノコがあったり、食べられるものがあったり、
  見分けるのだって大変ですよね!
  日本でだって大変なのに、スウェーデンのキノコなんて解るわけがないって思いますよね。
  しかし、そこはそれ、
  ルンド大学のLUFF主催ですから、大学には植物学の先生もおられるわけで安心です。
  キノコ博士が案内してくれるキノコ狩りです。
  私たち日本人仲間は総出で「キノコ狩り参加」を企てました。
  もちろん、下心はいっぱいで、前日に電熱器らしきものを購入し
  みんなで集まって「キノコを入れた鍋パーティー」をしようとしたのです。

  お弁当を作って、必須アイテムのかごを持って集合場所へ。
  バス1台ほぼ満員でした。
  キノコ博士を紹介され、郊外の森へ…。
  バスを止めてみんなが歩き始めます。
  まず、キノコ博士から心構えをご教示頂きました。
  キノコを痛めないように採ること。
  どういう場所にキノコが生えやすいか等々を教えていただき、一行は森の中へ…。

      

   
       
●どんどん森の中へ・・・
そうそう、スウェーデンでは
他人の所有地であってもそこにできている
キノコやベリーといった自然の恵みは自由に?
採っても良い。という非常におもしろい
習慣があるようです。一行はどんどん森の中に
進んでいきます。すると、あるはあるは、
色んなキノコがいっぱいあります。
一目見て「毒キノコ」とわかる
白雪姫のキノコのようなものももちろんありますが、
日本でも見たことのあるような
見慣れたキノコもいっぱいです。
大きいものも小さいものもあります。


  最後に食べて良いものと悪いものを分類してくれると言われていましたが、
  無駄なものを採ってもしょうがないので「先に学習しよう」
  と皆で思い立ちキノコ博士に聞きに行きました。
  しかし…。
  教えていただいても全く区別が付きません…。
  同じように見えるのに、こっちはOK、こっちはダメって??
  そこで、究極の選別法を教わりました。
  どうするのだと思います?
  なんと、小さく裂いてなめるんだそうです。
  「ピリッと刺激があればダメ、なければ食べてもOK」だそうです。
  何と原始的な方法だろうと思いながらも妙に納得、でも一方で非常に不安になってしまいました。
  思い思いの場所を歩いて、思い思いのキノコを採って、森を抜けた原っぱでお弁当の時間となりました。

   

    
    
●食べられるのは半分以下でした
      (かごの中の物だけ)
大人も子供もかご一杯採ったのに
選別してもらうと、何と食べられるのは
半分以下。みんなの分をかき集めて、
持ち帰り、我が家でキノコ鍋を楽しみました。

そうそう、スウェーデンに松茸はないのかなー
と思っていましたが、
残念ながら見つからず…。
スウェーデンでポピュラーなキノコは
「カールヨハン」ってのがあるそうです。
我が日本人チームで見事大きな
カールヨハンをゲットした方がおられました。

  この日の鍋で皆でごちそうになったのは言うまでもありませんが、
  いったいキノコはどこに行ったのかって感じでした。
  郷にいれば郷に従えって事で、冬もスウェーデン流で楽しいことを見つけながら、
  色々な事にチャレンジして過ごすぞと誓う我々でした。