第二十回 去りゆく夏をしのんで…。
スウェーデンに帰って驚きました。
まだ7月も中旬だというのに「なんだか秋の気配」がするのです。
日本だと「さあ、夏休み」ってことなんですけれど、
スウェーデンでは秋の気配がします。
日一日と夕暮れが早くなってきます。
一日に数分ではなく何十分も短くなるような気がします。
それでも9時や9時半まではまだ太陽が輝いているのですが、陽の力が弱っていくのを感じます。
でも、着実に日が短く、細くなっていくことを肌で実感できるように既に私たちもなっていたのです。
けれども、その頃はといえば、さっきも書いたように日本では夏休み開始!!
日本から次々とお客様がきてくれました。
第一便は私の両親ご一行様!
両親は日本を出発する時から私達と一緒に「北欧周遊の旅」を計画していました。
ルンドは滞在地の一ヶ所。私達をまずピックアップしてから周遊へという計画でした。
ですから、私たちの街「ルンド」にいたのはたった1泊、
例のルンドグランドホテルに私たちの部屋まで用意してくれていました。
私たちもグランドホテルには興味があった(前回はフロントでキャンセルしてしまいましたから…)
のでいそいそと泊まりに行きました。
ルンドの街はちょっとお散歩。翌日はスコーネの古城巡り、そしてそのままコペンハーゲンへ…。
セベリン家の人々とはラトコお手製の夕食をともにしました。
彼らの感覚からすると、この日程「折角遠いところを来たのだから家でゆっくりすればいい」
「どうして、そんなに急いで出発するのか?」と言うことになるわけです。
しかし、我が両親は
「折角休みを取って北欧まで来たのだから、あそこも見たい、ここにも行きたい」
となるわけです。両方理解できるように成長?した私たち一家は、
双方に(特にセベリン家に人々に)これを説明するのは少々困難でした。
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その非常に日本人的な旅行は コペンハーゲンからベルゲンへ、 ベルゲンではフィヨルド見物をして オスロへオスロからストックホルムへいって 両親は日本へ、私たちはルンドへ という強行軍でした。これは、 日本のごく一般的なツアー日程 だと思うのですが、ついさっきまで 「ヨーロッパ的自動車旅行」をしていた 私たちにとっては、 一種のカルチャーショックでした。 日本人の移動型の旅行は 実に綿密に移動時間はもちろん、 休憩時間や食事時間はてには トイレ休憩まで計画されています。 |
無駄がないといえばそうなのですが、スケジュール通りにこなすのはある意味で苦痛でした。
ゆっくり、ゆったり、ここが気に入ったと思えば車を止めて散策したり、ぼーっと空を眺めたり、
時間にしばられない旅をしていましたから、
「ここに10分止まりますから、見てきてください。」
「ここで写真を撮りましょう。」
「時間がないので、この公園はバスの中から見てください。」って…
今だから言えますがショックでした。
両親達はそのペースに全く不思議も感じず、
「短時間で見どころがいっぱい見られた」ともちろん満足していたはずです。
脱線しましたが、コペンハーゲンではバスで移動し見どころを見物しました。
もちろん、ゲフォンの泉にも人魚像にもいきました。
冬とは違って、もちろん噴水もでていましたし、人魚も寂しそうではありませんでした。
でも、冬に初めての海外旅行したときこんなに歩いたんだって初めてわかってビックリしました。
ベルゲンではあいにくの天気で、フィヨルド見物の高速船は雨の中を走ることになりました。
我々の旅行なら天気を見てフィヨルド見物は翌日に延期なんて事もできるのですが、
もちろん雨天決行。
翌日ちょっと天気が回復したのでフロイエンという山(丘でしょうか)にケーブルカーで登りました。
そこからの眺めです、ようやくフィヨルドってこんなに入り組んでるんだって解りました。
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●ムンクの叫びの前で![]() |
オスロに飛んでムンク博物館、 ホルメンコーレンジャンプ台等々見物しました。 ムンクの有名な絵 「ムンクの叫び」の前で記念撮影!! こんな近くで見られるんです。 はるなの顔が 「ムンクの描いた人物と同じ顔」 になっていませんか…? |
そして、ストックホルムへ…。
みんなでお別れを惜しんで、それぞれ国際線と国内線にわかれて搭乗しました。
最初はおじいちゃん、おばあちゃんを人見知りしていた
「みちる」もお別れの頃にはなついて来たので、お別れはさぞつらかったことでしょうネ!
それから2週間!
第二便、家内のご両親ご一行様です。
初めての海外旅行で
たった2人でよく来られたものだと後で家内と話しました。
2週間前に予行演習?してあったストックホルムに案内しました。
この週は天気に恵まれて、まるで夏のようです…???
メラーレン湖からみた市庁舎です。
きれいでしょう!
ストックホルムの市庁舎は湖からが正面玄関だと聞きましたが
本当でしょうか?
家内の両親には我々のペースでルンドに滞在してもらって、
週末に小旅行にお連れするという作戦をとりました。
その頃になると、8月も半ばを過ぎ本当に日が短くなってきます。
スウェーデンの子供達も学校の新学期が始まる準備をします。
私自身もまたあの「寒くって暗くって長ーい冬」が来ることが
解っていますからだんだん憂鬱になってきます。
それでも、日本から来た人たちは悪気なく「日が長いねー」と感想を述べます。
私たちにとってはこの言葉が胸に「グサッ」と突き刺さるのです。
悪気がないのは解っていても無性に腹が立ったのを覚えています。
8月半ば過ぎから、木の葉が散り始め、9月からはバス、電車に「暖房」が入りました。
小さい頃"日本の気候の特徴は、四季があること"と習いました。スウェーデンにも四季はありました。
でも、日本のように4つの季節が均等なのではなく、
それぞれがとっても長かったり、短かったりなのです。
日本に居たら、その「うつろい」がテレビや新聞等の情報で入ったり、
見当がついていたりで、受け入れるかまえが常に先にありますよね。
今ならスウェーデンに居てもインターネット等で色んな情報は入ってくるし、
電子メール等で簡単にすばやくやり取りできますが、当時はそうもいかず情報不足でした。
そのせいもあってスウェーデンでの最初の1年は、先にとにかく体ごとぶつかって、感じて、
そして受け入れるというスタイルだったので、驚きも喜びも悲しみもとっても新鮮であり、強烈でした。
さあ、9月からは新学期、いよいよお仕事に精を出す秋がやってきます。