第十八回 初めてのバケーション5(スイス編)

  皆さん、すみません。
  こうやって、バケーションのことを書きつづっていると、
  北欧留学記っていうよりも、
  むしろ「旅行記」って感じになってきました。
  でも、今しばらくこのスタイルで続けます。
  だって、止められないんですもん!

  今回の旅行もデンマークを縦断、ドイツを縦断、
  そしてついにあこがれのスイスに入ります。
  ヨーロッパは何度もいうように陸続き…。
  いつの間にか知らない間に国境を越えるって事も実際にはあります。
  国境っていうと兵士が警備していて、両方からにらみを効かせてるって、そんな気がしませんか?
  兵士はおろか、人さえいない国境もありました。
  大抵はまるで高速道路の料金所のようなブースがあって、
  何かあれば停止させる位のところが多いようです。
  我々のインセビンセ号もほとんど停止することなく国境を通過しました。
  高速道路の料金所といえば、そうそう「スイスの高速道路は年間料金」って知っていました?
  スイスに入って多くの車に、何か車検を受けたときのような年号の入った
  不思議なステッカーが窓ガラスに貼ってあるなーっていうのは気が付いていました。
  でもそれが高速料金の領収シールだっていうのは知りませんでした。
  スイスで高速道路に入ったとき、それを請求され初めて知りました。
  でも、とっても安かったような覚えがあります。
  日本の高速料金は年々無料から遠ざかってゆくような気がするんですが…。
  スイスでは近づいているような気がしました。

  それはさておき、何はともかく、スイスっていうと「アルプス」!!
  スイスに入ったら、すぐにアルプスの山々が見えてくると期待していたのですが、
  当然そうではありませんでした。スイスの山といえば、マッターホルンやユングフラウ、
  アイガー、メンヒとかって何となく聞いたことがありますよね!
  我々も別に山登りに興味があったわけでもないのですが、
  そのくらいの名前は耳にしたことがありました。
  そこで、どの山に行こうか観ようか、地図を開いて検討をしました。
  残念ながらマッターホルンはあきらめました。
  マッターホルンを見るにはツェルマットに行かねばなりません。
  そうすると、計算した結果スウェーデンに帰るのがとってもいそがしくなってしまいます。
  もう、そろそろ折り返しの計算をしなければならなくなってきました。
  バタバタ最後が忙しいのもいやだし、スイスの目的地をグリンデルワルトに決定しました。
  グリンデルワルトなら、登山電車でクライネシャイデック経由でユングフラウヨッホに行けるし、
  アイガーだって目の前です。ただ、グリンデルワルトまでどれくらいかかるのか、
  道は険しいのか、不明です。
 
   ●ルツェルンの瀕死のライオン
ドイツ側からはいるとルツェルン行くか、
ベルンに行くかしてワンクッションをおいて
インターラーケン経由で
グリンデルワルトっていうのが道筋のようです。
我々は、もちろん大都会を避け
ルツェルンを目指しました。
ルツェルンは「瀕死のライオン」の像で
有名な街です。どうですか、
とっても苦しそうではありませんか?
ルツェルンからは、天気がよければ
アルプスの山々がチラッと見えるようです。
明日はいよいよグリンデルワルトです。

  ここからは、インターラーケンまでは地図の上ではそんなに苦労なく行けそうでした。
  でも思ったより山坂はきつく、時々不安になりながら進みました。
  インターラーケンは山のリゾート地です。国際的な観光客で一杯といった印象でした。
  そこで、私たちはそれを避けて、グリンデルワルトという場所を選びました。
  グリンデルワルトではここを足がかりにスイスを満喫するつもりだったので宿探しも慎重になりました。
 
         ●どうです!この眺め!!
トコトコとインセビンセ号でたどり着き、
ツーリストインインフォーメーションに
たどり着いたときはすでに3時を回っていたでしょうか?
小さなペンション風のホテルを紹介してもらいました。
ロケーションは最高で、
目の前にはアイガーが迫っています。
アイガーが見える部屋は少し高かったのですが、
この絶好のロケーションですから、
ちょっと奮発してその部屋を押さえました。
どうです、この眺め!
毎日毎日こんな景色を見て過ごしたら
身も心も洗われるだろうに…。


  ここが気に入ったのでちょっと長居、3泊するつもりです。
  お天気との相談もあるし、少し余裕を持ちました。
  まず近くの氷河を見に行きました。氷河ってブルーなんです。
  これは氷河をくりぬいた洞窟の中です。

  第2日目、この日はメインイベントである
  アルプス見物をする事にしていました。
  昨日はとってもいい天気でアイガーが部屋からクッキリ!
  とってもいい気分でしたが…。
  今朝は曇っており、アイガーさえどこにあるのか…。
  今日は天気が悪いからあきらめようかなー、
  明日にしようかなーって思っていたら。
  ホテルのレストランで地元の人たちみんなに聞くと、
  「今日ユングフラウに行きなさい」って意外な意外なアドバイス!
  半信半疑でユングフラウ行きの鉄道に乗ると、
  同じような半信半疑集団が他にもいました。

  不安で不安で、なんでこんな日に行けっていうのか??
  乗り換えのクライネシャイデック駅では小雨まで降り出す始末。
  半ばあきらめて、再度登山電車に乗り込みました。
  この終着駅がヨーロッパの鉄道でも一番高い位置にある駅「ユングフラウヨッホ」です。
  しかし、終盤はほとんどトンネル、岩盤の中で景色も全く見えません。
  駅について降りても、展望台まではトンネルの中…。
  空気が薄いからか、ちょっと息苦しい感じさえします。10分ほど歩いたでしょうか?
  最後のエレベーターに乗りました。エレベーターを降りると…。
  そこは、別世界!!
  月並みですが、その光、空の青さ、雪の白さ、本当に別世界。
   
      ●エレベーターを降りると・・・本当に別世界!!
ユングフラウ、メンヒ、アイガー等々ぜーんぶ
案内の図通りにクッキリはっきり見えます。
解ります。
グルンデルワルトで雲がかかって
低いって事はこういうことだったんです。
つまり、ユングフラウまで登れば
雲を突き抜け上に出るって事です。
みんなが今日はユングフラウにって
言ったわけがようやく解りました。
真夏でもこの服装で寒いぐらい。
確かマイナス10度以下の世界でした。
もちろん私たちはこの日の為に
冬装束もインセビンセ号につんで行きました。
同じ展望台で夏物の背広姿で
ふるえながら感動をともにした
「ジャパニーズビジネスマン」の方々の
グループもいらっしゃいました。


  登山電車の中で「日本人」とわかる方が数グループいらしたのですが、
  皆不安でジーとだまって乗車していたのが、展望台に出て景色を見たとたん
  「ワーッ、みな仲間」と一輝に開放的になったなあと、その時の光景もなつかしく思い出します。
  私たちは、喜びを通り過ぎて舞い上がって、
  日本の両親にユングフラウヨッホの展望台から思わず電話
  (ちゃんと国際公衆電話、郵便局があるのです)しましたが、
  いったいこのテンションの高さは何だろうって思ったそうです。
  ユングフラウからの感動をわけてあげようって思っただけなんですが…。

  翌日は、インターラーケンに戻り、
  湖で船に乗りました。すると、
  船から不思議な汽車を見つけました。
  たしか、ブリエンツロートホルン鉄道
  って名前でした。ごらんのように
  小さな汽車が1両の客車を押していきます。
  なんとかわいらしい景色だったことか。
  思わず4人で一目ぼれ。
  これといった予定もなかったので、
  「船をおりてあれに乗ろう!!」
  ということになりました。
  駅を目指してGO!!さて、
  どこに行くのか解らないけれど、
  「まあ良いか」と昨日から続いていた
  ハイテンションで乗り込みました。








●ブリエンツロートホルン鉄道

 すると…不思議不思議、カウベルをつけてゆっくりお食事中の牛たちを横に
  ジグザグ走行しながらぐんぐん高度が上がっていきます。
  昨日はユングフラウ行きですから当然冬装備をバッチリでしたが、
  今日は一般の観光装束です。着いた駅は…。雪があります。
  風もビュンビュン吹いています。眼下には湖、牛、山、緑、空、雪…。
 

 美しい、「これぞスイス!!」という眺めでしたが、
 寒いのなんのって…。
  スイスを甘く見てはいけませんぞ!!

  最初は3泊もって思ったけれど、
  あっという間のグリンデルワルトでした。
  同宿にすてきな日本人のカップルがおられました。
  某銀行を退職され、ご夫婦でスイス旅行だそうです。
  考え方も生き方もとってもすてきでした。
 

  私たちも2人の娘が結婚したらそんなすてきな老後が送れればいいねって
  いつも家内といっています。とーってもすてきな風景、すてきな人に出会ったスイスでした。