第五回 懐かしのルンド到着!!

    
     
      ●風力発電の風車●

さあ、今日でストックホルムとはお別れです。
飛行機は午後の便なので、

昼前まではストックホルムで過ごせます。
お世話になったスカンディックマルメンホテルを
後にする前に、
なんとか時間を有効に
過ごせないだろうかというのが

昨夜のミーティングのテーマでした。

ガイドブックを見て気になっていた
テンデザイナーズブランドのショップが

ホテルの近くだとわかったので、
そこに行ってみることにしました。

地図を見て思っていたよりずっと近くて、
お店にすぐ着いてしまい開店前でした。

お店の前でじっと待っているのもあやしげなので、
チョッと街を散策し、
朝市などをのぞき、
スウェーデン時代のなつかしい野菜や
果物たちと再会。
そこからまた
色んなことを想い出し、
4人で話が盛り上がりました。

お目当てのお店では、
カラフルな製品がいっぱい並んでいて、

目移りしながら、
カジュアルなポーチをゲットしました。


その後は、スーパーでお買い物です。
時間に少し余裕があったので、寄りました。
日本でお留守番の友人に頼まれた食料品や
雑貨の買いだしです。
家内はお土産にしようと
ひそかに決めていた皮むき器(ピーラー)
も手に入れました。

日本ではいまだ見られない
じゃがいも専用のピーラーです。

小回りがききどんな野菜の球面の凹凸にも
強さを発揮して、出会って以来の愛好者です。

今回はお土産にして友達たちに広げようと思っているようです。

ホテルに戻ると良い時間となり、
あわてて荷物を詰めこんで、
さあチェックアウトです。

3日お世話になったホテルとお別れです。
フロントでタクシーを呼んでもらおうとお願いしたら、

前に停まっているのでそれに乗ればとすすめられました。
流しのタクシーは、遠回りしたり、

料金をふっかけられることも多いと聞いていたので、
フロントで呼んでもらおうと思ったのですが…。

とりあえず相場の値段を教えてもらいました。
目指す空港は我々が入国した国際空港ではなく、

よりセントラムに近いドメスティック専用のブロンマです。



●スコーネの農場●
       
そうそう、前にも書きましたが
今日のフライトはマルメアビエーション

というドメスティック専門の航空会社です。
日本でストックホルムからマルメへのフライトを
予約しよう
と思ったのですが、
お世話になった旅行会社ではできないと言われ
途方にくれていたら、
持つべきものは友、
スウェーデンの友人がこの「マルメアビエーション」

のホームページアドレスを教えてくれました。

ついでに、
「住所と電話番号は家の番号を使ってもいいよ」
と言ってくれました。

早速入力すると、
不思議なことにすいすいと予約ができました。
しかも、格安です。

同じフライトに3種類の料金がありましたが、
もちろん一番安い料金を選びました。

だって、どうせ1時間弱のフライトだし
食事も期待していないし、

キャンセルなんて考えもしないですからね。
そのチケットをいよいよ今日使うのです。

予約番号やら、何やらが書かれたメールが届いたのですが、
スウェーデン語なので理解できず、
また出発の3日前という直前に申し込んだので、

確認も充分できないままプリントアウトして
大切に持ってきたのです。

低料金、空港も近いと、良いことずくめのはずなんです。

意を決して前に停まっているタクシーに声をかけました。
「ブロンマへ行きたいんだけど、いくらくらいかかる?」って。
すると、当然ですが「それは、メーター次第さ」という答えです。
これで引き下がるわけには行かず。
「だいたいいくらくらい」
「うーん、200から250クローネくらいかな」ってことで、
聞いていた値段とだいたい同じだったので、
交渉成立となりました。

スーツケースを詰め込んで、
ストックホルムの街とはお別れです。


ブロンマが近づいてきました。
空港の入り口付近で、
メーターは250を指そうとしていました。

ドライバーさんもそれに気づいたのか、
メーターを倒してくれました。

ああ、悪い人じゃなかったんだと安心し、
ちゃっかりと「得したぞ!」という感じで
「さあルンドへ!」と気がはやります。


     

けれどもブロンマは、
やはり小さな空港で閑散としたカフェテリアと

品数の少ない売店(プレスビューロー)がある以外
何もないのです。予想通り?

インフォメーションで例のEチケットを見せて、
マルメへ行きたいのだけど

どうすればいいかをたずねました。
手順は大手の航空会社と全く同じようです。

チェックインカウンターに並ぶと、
いとも簡単にチェックインできました。

でも、なぜかチケットに座席番号が無いのです。
これって自由席?って思いましたが、
じゃあ何であんなに値段が違うのか

疑問に浮かんできました。
たしか、1.5倍、いや2倍くらいの
価格差が
あったように記憶しています。
(我々は安かったのだからいいのですが)

でも、こういうときのこういう疑問って
不安にもつながっていくんですよね。

その上、カウンターで
「中に入るとビュッフェもないので
何かここで食べるか買っておいてね」
と言われました。

 ●マルメアビエーション●

ブロンマは空港という明るく華やかな感じではなく、
うす暗く旅行者というより、
常連さんが多い
高速バスの待合室に似た雰囲気でした。
その時の私たち。

とてもテンション高くタクシーから降りましたが、
次第に4人とも口数が少なくなり…。

口には出さないものの(口に出すのが怖かったのかも)
正直このフライトに不安がつのっていました。

カフェテリアで食べるほどお腹も空いていない
(例によって朝食はたっぷり食べました)

のでプレスビューローでシナモンロールとバナナ、
ミネラルウォーターを購入しました。

プレスビューローのペーパーバッグに入れたまま
ゲートを通過し手荷物のチェックインをしていたら…

不安に追い打ちをかけるように家内が止められました。
何でって、さっき買ったばかりのミネラルウォーターが
引っ掛かっちゃいました。

今ここで飲むか、破棄するようにと言われ、
買ったばかりの水を破棄する羽目になりました。
ますます重い気分…。

待合室に入ると、やった!!
飛行機が見えました。
青天の空の下、りっぱな飛行機です。
きっと大丈夫です。

安心しました。安いチケットは、
間違いなく"得だった"とここで確信しました。

そこでは自動販売機のジュース、
水等が売られていました。

シナモンロールとバナナを皆で食し、
悔しいけれど今度はファンタを買って皆で回しのみをしました。

旅人の気持は単純です。
待合室で飛行機を見たとたんミネラルウォーターから、

きれいな色をしてピチピチはじけたファンタの気分に
変わったわけです。

ほどなく搭乗開始となりましたが、
スウェーデン語のアナウンスのため理解が充分できず、

皆が動き始めたら動くという状況でした。
人の波が動き始めてから動いたので、

少し出遅れましたがとにかくチェックを受けて搭乗です。

ファーストもビジネスもやはり何もなく自由席のようです。
とりあえず4人で前後の席を確保し機上の人となりました。
さよならストックホルム。
すると、あまりの安さに何もでないと思っていたのに
飲み物とサンドイッチ
(不思議なロールサンドでした)
が配られました。

約50分のフライトで何事もなく、マルメに到着しました。


●LUNDの看板●

マルメ空港は何度か利用したことがありました。
ここまで来たら、私たちはすっかり常連さんの一員です。
荷物を受け取る係とルンドまでのバスを
探しに行く係に別れました。

外に出ると、雲ひとつない青空に、
鮮やかに映えたLUNDの看板。

もうすぐそこです。
マルメ行きとルンド行きのバスがほどなく来ることがわかり、
早速皆を呼びに行きました。

我々は大きなスーツケースを持っていたので、
スキーバスのように横のトランクルームに
自分でスーツケースを放りこみバスに乗りました。

10名足らずの乗客を乗せてバスは発車しました。
これぞスコーネという農場の風景、小さな村の教会、
懐かしい風景を
ボーッと眺めていると
遠方にドムシェルカンや大学病院の建物が
見えてきました。
ああ、ルンドだという
感慨にふける間もなくルンドの郊外から

セントラムに近づいて行くのが解ります。
だって、2年間暮らした街ですからね。

インセビンセ号(参照第8話)で走り回った街ですからね。
懐かしいフィエリエベーゲンを横目に中央駅に到着しました。

さあ、ルンドです。
やっとルンドです。
いよいよルンドです。

実は初日からもりだくさんのことがありました。
残念ですが、ルンド初日は次回にさせていただきますね。


   

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