介護保険制度の実地状況について
介護給付費の支払い状況(暫定集計値)

第5回定点市町村会議の概要(第一号保険料の収納状況など)

特定の行為への特化と指定訪問介護事業について
〜いわゆる介護タクシーの取扱い〜

特別養護老人ホーム等の施設整備費補助金の不正受給疑義について

「身体拘束ゼロ作戦」について

介護保険サービス選択のための評価の在り方に関する検討会について

介護相談員派遣事業

介護支援専門員の支援に関する最近の取組状況について

要介護認定のあり方の検討

高齢者痴呆介護研究センター

痴呆性高齢者グループホームの整備の推進


介護給費の支払い状況(暫定集計)


サービス提供月 4月分 5月分 6月分 7月分 8月分 9月分 10月分
在宅サービス 600 820 960 1000 1020 1020 1060
施設サービス 1540 1900 1980 1970 2030 1990 2010
合計 2140 2720 2940 2970 3050 3010 3100

(注1)各国保連の支払い実績として1割の利用者負担を除く介護給付費(9割分)を集計したもの。

(2)福祉用具購入費、住宅改修費など市町村が直接支払う費用は除く。

  請求・支払い状況が安定してきた6月から10月分の給付実績を平成12年度予算上の1月当りの単純平均と比較すると,9割弱の水準。

  (在宅サービス8割強、施設サービス9割強)


第5回定点市町村会議の概要

開催日時 平成13年1月22日(月)14:OO〜17:0O

参加自治体数 13都道府県 35市町村 (別添1参照)

1.第一号被保険者の保険料の収納状況

(1)収納率等の状況

別添2参照

(2)本年10月の保険料本来額徴収に向けた取り組み

各自治体ごとに取り組みの内容については違いがあるが、概ね以下のよ
うな取り組みを実施。

・広報誌等への特集記事の掲載やポスターの作成による広報の実施。

・住民説明会の継続的な実施。

・納入通知書送付等の機会にパンフレットやリーフレットを全戸配布。

・民生委員等への啓発。

・村営CATVに制作委託し、介護保険関連番組を作成し、放映。

(3)その他の収納対策など.,

各自治体ごとに取り組みの内容については違いがあるが、概ね以下のよ
うな取り組みを実施。

(収納対策)

・納入通知書送付時、督促状送付時等に口座振替申込書を同封。

→町独自の口座振替用紙を指定金融機関と調整して作成した結果、口
座振替率が高くなった。(熊本県阿蘇町)

・未納者宅への個別訪問を実施。

・65歳到達者に対し、被保険者証とともに口座振替申込書を同封。

・地区別に納付相談会を開催。

・納入通知書送付の際に、ビニール袋形式の封筒にパンフレットを同封
して送り、関心を引くようにした。(福岡県北九州市)

(その他)

・特別徴収の対象者の死亡による資格喪失の場合に、保険料還付手続が円滑に行えるように未支給年金請求の状況について情報提供して欲しいとの参加自治体からの意見があった。

・障害年金受給者や遺族年金受給者から、r手続が面倒なので保険料を
年金から天引きして欲しい。」との声も聞かれるとのことであった。

2.サービスの利用状況の変化について

高齢者の保険料納付が開始された昨年10月を挟んだ、昨年7月と11月
のサビスの利用量の変化について、抽出調査を実施したところ、結果は以下のとおりであった。

平成12年7月と11月とのサビス量の変化の状況
(各自治体ごとに要介護度別に各2例ずつ抽出)

  増加 ほぼ同じ 減少 合計
要支援 61(31%) 100(51%) 35(18%) 196
要介護1 68(35%) 97(49%) 31(16%) 196
要介護2 67(34%) 103(53%) 26(13%) 196
要介護3 64(33%) 94(48%). 38(19%) 196
要介護4 64(33%) 94(48%) 38(19%) 196
要介護5 61(31%) 98(50% 36(18%) 195
合計 385(33%) 586(50%) 204(17%) 1,175

なお、定点市町村会議における各自治体の意見としては、サビスの利用
動向については、高齢者の保険料納付開始によって特に変化はないということであった。

3.要介護認定の更新時における期間延長の状況について

要介護認定の更新時における有効期間の延長の状況(108市町村)
(更新認定件数における有効期間の延長の割合:市町村数)

80%〜100% 60%〜80% 40%〜60% 20%〜40% O%〜20% 延長なし
6 8 19 14 51 10

なお、108市町村の単純平均では、延長した割合が26.9%となっている。

4.在宅サービスや居宅介護支援の全般的な状況について

(1)供給が不足しているサビスの状況など

各自治体ごとに状況に差異があるが、以下のような指摘があった。

  • デイサビスなどの通所系の需要がかなり伸びている。
  • 訪問リハビリテションが不足している。
  • 主として都市部において特別養護老人ホムの入所希望者が増加して
    いる。
  • 離島地域においては、短期入所サビスが不足しており、基準該当サ
    ービスなどの活用を検討。また、訪問系サビスについては、交通費の
    助成措置などを検討している。
  • 山間地域への居宅サビスの参入促進のため、一定の要件の下に山間地域へ参入する事業者に補助制度を導入。(静岡市)

(2)介護支援専門員(ケアマネジャー)の状況・支援のための取り組みなど

介護支援専門員の状況については、全般的に、制度施行前後の混乱期を経て、業務が落ち着いてきているが、まだ、ケアカンファレンスが開かれ
ていないなど、本来業務に十分に取り組めていない状況も見られるとの二
とであった。

 また、各自治体の支援の取り組みについては、各自治体において、窓口や事業者連絡会の設置等による情報提供・意見交換の実施や、研修会等の開催による困難事例の検討の場の設置などの支援策に積極的に取り組んでいる状況が報告された。

なお、具体的内容は、以下のとおり。

(ケアマネジャーの状況)

  • 全般的には、制度施行前後の混乱期を経て、業務が落ち着いてきているが、まだ、本来業務に十分に取り組めていない状況も見られる。
  • このような中で、ケアカンファレンスの適正実施などに意欲的に取り
    組む事業者も見られるようになってきている。

(ケアマネジャー支援の取り組み)

  • 介護支援専門員連絡会を設立し、定期的な外部講師による研修や困難事例のグループごとの検討会を実施。
  • 市に設置したケアプラン指導研修チーム(保健・医療・福祉の専門家
    から構成)が、市内の居宅介護支援事業所から抽出されたケアプランの評価を行い、各ケアマネジャーを個別に指導。(富山県富山市)
  • 定期的(月1回等)にサビス事業者を含めた情報交換の場を設置。
  • 近隣自治体と共同でケアプラン作成ための研修会を実施。
5.介護サービスの質の向上へ向けてのモデル的な取り組み例について

(1)利用者の状態の改善につながるようなケアマネジャ等の取組例

  • 区の地域福祉推進協議会において、本人・家族、事業者等が連絡を取り合い、本人のニーズにあったサビスの提供が行われるようにrすこやかノート(介護連絡)」を作成。主治医やケースワーカー、ホームヘルパーなどが連絡ノートに訪問時の様子などを記入。(福岡県北九州市)
  • 要介護認定の認定調査と併せて、在宅総合支援調査を実施し、自立と判定された場合には、自立支援サービスパッケージを提示して、即座に提供。(東京都稲城市)
  • 市医師会が中心となり、診療所を開催場所として主治医も参画するケアカンファレンスの実施を進めており、この結果、ケアカンファレンスの実施率が9割を超えている。(広島県尾道・御調・向島地区)

(2)サービス事業者の自主的な取組例

  • 各地区に設置した介護サビス事業者連絡会において、ケアマネジャーのニーズを把握した研修会の検討、住民ボランティア団体による痴呆劇を活用した痴呆ケア勉強会、r家族に介護カがない俳祖痴呆老人をどう支えるか」をテーマにした事例検討会などを実施。(福岡県北九州市)
  • 府の社会福祉協議会にr身体拘束ゼロ作戦推進専門委員会」を設置。(大阪府)
  • 居宅介護支援事業者連絡会において、独自に住宅改修講習会を実施。(秋田県能代市)

(3)市町村・その他団体や地域における取組例

  • 事業者がサービスの内容について自己評価を行う際の基準を作成し、県内の事業者に配布。(北海道、広島県)
  • 平成12年度及び13年度に整備予定の特別養護老人ホームについて
    は、すべてグループケアユーツトとするよう指導中。(静岡県)
  • 身体拘束ゼロ推進セミナの実施。(静岡県)
  • '介護サービス事業者ガイドブックの改訂版の発行。(福岡県北九州市)
  • 「甲府市介護保険苦情調整員制度」を導入し、介護保険に関する苦情、相談等に対し専門的な立場から対応。審査請求に至ったケースは皆無。(山梨県甲府市)

(別添1)

介護保険制度の施行状況等に関する意見交換会(第5回)
参加自治体一覧
(参加自治体13都道府県35市町村)

A 分科会 B 分科会 C 分科会 D 分科会
北海道 岩手県 大阪府 東京都
富山県 茨城県 広島県 奈良県
島根県 静岡県 沖縄県 高知県
福岡県 北九州市(福岡) 静岡市(静岡) 富山市(富山)
神戸市(兵庫) 甲府市(山梨) 流山市(千葉) 山口市(山口)
青森市(青森) 出雲市(島根) 四街道市(千葉) 中津市(大分)
大和郡山市(奈良) 伊万里市(佐賀) 能代市(秋田) 熊取町(大阪)
真岡市(栃木) 東予市(愛媛) 西原町(沖縄) 栗駒町(宮城)
大泉町(群馬) 河芸町(三重) 栗山町(北海道) 三方町(福井)
阿蘇町(熊本) 白川町(岐阜) 信濃町(長野) 御調町(広島)
開成町(神奈川) 野上町(和歌山) 赤碕町(鳥取) 梼原町(高知)
八丈町(東京) 奈義町(岡山) 北御牧村(長野)  
綾上町(香川)      

第1号保険料の収納状況について
(定点市町村における調査結果の概要)


特定の行為への特化と指定訪問介護事業について
〜いわゆる介護タクシーの取扱い〜

1.趣旨

介護保険によって費用を賄うべきサビス範囲に関しては、介護保険制度が40歳以上の国民の保険料負担と公費負担によって運営されるものであるという制度の性格、保険給付の対象となる者とならない者との間の公平などに鑑み、厳に適正を期することが必要である。

今般、指定訪問介護事業者の指定を受けたタクシー会社(いわゆる介護タクシー)について実態把握を行ったところ、通院介助等移送のための介助に極端に偏ったサビス提供を行っている実例が見受けられたところである。

介護タクシーの例に限らず、指定訪問介護事業者でありながら、サビス提供内容が身体介護や家事援助のうち特定の行為に特化するような場合については、指定訪問介護事業の適正な運営の確保を図る観点から、以下のように対応することとする。

2。指定訪問介護事業の指定の取扱い

介護保険における訪問介護については、

  • 介護保険法上、在宅の要介護者等に対し、その者の居宅において入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話を行うサービスと規定され、
  • それに対する介護報酬は、訪問介護に含まれる行為を身体介護と家事援助に大きく二分し、それぞれに含まれる様々な行為を総合的に行うことを前提として設定されており、制度上、総合的なサービス提供が求められる。また、かかる趣旨から、運営基準第4条において、r生活全般にわたる援助を行うものでなければならない」旨が基本方針として規定されている。

○したがって、指定訪問介護事業者にあっては、総合的なサービス提供に対応できる体制、事業運営が必要であり、

  • 指定訪問介護事業者が身体介護や家事援助のうち特定の行為に特化したサビス提供を行うことは想定されておらず、また、
  • 身体介護や家事援助のうち特定の行為に特化することが容易に想定される申請に対して、都道府県知事が指定を行うことも適当ではない。

○こうした観点から、近日中に、指定訪問介護事業の運営基準を改正し、特定の行為に特化するような事業運営を行ってはならない旨を明確にすることとしているので、各都道府県にあっては、指定申請時の審査や、そのような実態にある指定訪問介護事業者に対する指導監督につき、適切に行われるようお願いする。

3 基準該当サービスとしての取扱い

○前記のように身体介護や家事援助のうち特定の行為に特化することは指定訪問介護事業としては認められないが、一方、地域におけるサービス基盤整備の状況、ニーズの特性などによっては、特定の行為に特化した形態でのサービスを活用する必要があることも考えられる。

○そのため、2の運営基準の改正に際しては、併せて、保険者が、地域の実情に応じて、特定の行為に特化した事業者によるサービス提供を基準該当サービスとして保険給付の対象とすることができるよう、所要の省令改正を行うこととする。

4 介護タクシーの対処方針

以上のような指定訪問介護事業の取扱いに基づき、前述の実態把握の結果も踏まえつつ、介護タクシーについて整理を行うと、

  1. タクシー会社が指定訪問介護事業を行う場合において、身体介護や家事援助の行為を幅広く行っているのであれば問題はない。
  2. 通院介助等移送のための介助に特化している場合には、運営基準違反として改善指導等の対象となるが、保険者の判断で、基準該当サービスとして保険給付の対象とすることが可能。

となるが、その概要は以下のようになる。

(1)介護タクシーによるサビスの取扱い

○介護タクシーによる通院介助等を行う際、自宅から病院等までの運転中は、運転に専念することとなり、また、移送(運転)そのものは訪問介護に該当しないため、従来どおり介護報酬の算定対象にはならないが、乗車前・降車後の介助については{他の事業者による指定訪問介護と同様に、要介護者等にとって真に必要な介助が行われているのであれば、介護報酬を算定できる。

○また、通院介助等のサビス提供の実態に照らし、保険の対象となるサビス(乗車前・降車後の介助)と保険の対象外となるサービス(運転)とは一連性を有するものであり、乗車前・降車後の介'助時間を合算して取り扱うべきものである。

(2)介護タクシーに係る指定の取扱い

○タクシ会社が指定訪問介護事業を行う場合において、移送を伴わないようなサビスも幅広く提供するなど、身体介護や家事援助の行為を幅広<行っているのであれば問題はない。

○一方、通院介助等移送のための介助に特化するような申請については、指定の対象とならない。

○指定後のサービス提供が実態として特化している場合には、サービス提供内容の多様化等所要の改善指導を行い、その後も改善が見られない場合には、指定の辞退の勧奨や指定の取消を行う必要がある。

(3)基準該当サービスとしての取扱い

○特化の理由によって指定を受けられない場合や、一旦指定を受けたものの特化により指定の辞退又は取消があった場合であっても、保険者の判断によって、特定の行為に特化した事業者によるサービスを、基準該当サービスとして特例居宅サービス費の支給対象として取り扱うことができることとする。

○介護タクシーによるサービスを基準該当サービスとして保険給付の対象とする場合であっても、移送(運転)中は保険給付の対象とならないこと等サービスの取扱いは、(1)と同様である。また、基準該当サービスとしての支給額については、各保険者において定めることとなるが、例えば、運転手兼訪問介護員の稼働時間のうち訪問介護員としての稼働時間等を勘案して定めることが考えられる。

(4)その他

○以上は介護保険による訪問介護としての整理であるので、介護保険による訪問介護とは別に、要介護者等に対する移送サービスを、介護予防・生活支援事業や、介護保険の市町村特別給付の対象として実施することは可能である。

特別養護老人ホーム等の施設整備費補助金の
不正受給疑義について

1. 社会福祉法人の特別養護老人ホム等の整備にあたり、建設工事請負業者から法人へ金銭が還流。それがさらに理事長等の個人に還流されており、その金を国税当局が法人からの所得と認定し、追徴課税を実施した事案が発生(北九州市、三重県、香川県について同様の事案が報道)。現在、関係県市において実態調査を継続中。

2. 施設整備費補助金の不正受給に対するこれまでの取り組みとしては、平8年度の彩福祉グループ事件を契機に、社会福祉法人の認可、補助金のあり方などの総点検を実施し、平成9年度以降に、

(1)建設工事契約について、公共工事に準じた競争入札を義務化

(2)入札に市町村職員を立ち会わせるとともに入札結果を公表

(3)一括下請け(いわゆる丸投げ)の禁止

(4)都道府県・市による建設エ事中間点及び工事完了時点における現地調査の徹底

などの改善措置を講じたところ。

3. さらに、発注者と受注者間における資金還流ではないかと疑惑をもたれるおそれがある寄付金等の取扱いについて、今後、以下(参考)の基本的考え方に基づき必要な通知の改正を予定している。


(参考)

寄付金等の取扱いについての基本的な考え方


1・補助事業を行う社会福祉法人は、当該事業に関わる建設工事請負業者又は備品納入業者から寄付金を受領する行為(ただし、共同募金会に対してなされた寄付金を除く。)及び実質的に当該法人が寄付金を受領したものとみなされる行為をしてはならない。(これを補助金の交付の条件とする。

(1)建設工事請負業者又は備品納入者

  • 当該事業に関して、当該法人と請負契約等を締結した業者及びその下請け業者
  • 上記業者の役員(個人)

(2)寄付金

  • 現金及び有価証券全般(使途を当該事業に指定していないものも含
    む。)
  • 現物(社会常識を超えない程度のものを除く。)

(3)実質的に当該法人が寄付金を受領したものとみなされる行為

  • 当該法人へ寄付を行う者が請負業者等から金銭等を受領すること。
  • 上記以外の場合で、法人の理事、監事、評議員及び職員が請負業者等から金銭等を受領すること。

2.仮に、1の条件に違反していた事実が判明した場合は、その金額を総事業費から差し引き、補助金の再算定を行った結果、過大に補助金を受給していた場合は、交付決定の一部を取り消し、過大受給した補助金の返還を求めることとする。

「身体拘束ゼロ作戦」について


資料indexへ戻る タイトルへ戻る トップへ