スウェーデン発 
高齢社会と地方分権
       (ミネルヴァ書房)
斉藤弥生・山井和則 著

 スウェーデンの地方議会、地方自治体、福祉現場での女性の活躍、地方分権が高齢福祉の鍵であることを100枚の写真を使ってビジュアルに解説。
  
高福祉のカギは
     地方分権にあり。

 
政治家、官僚、組織のトップやリーダーそして、研究者などへの数多くのインタビューや議事録資料にあたり、スウェーデン地方分権の現況を伝える。
 日本が直面する問題をすでに経験してきたスウェーデン―――日本のこれからの地方分権を考えるうえでの必読書!!


しがき―――リンゴの木の根っこを探る

スウェーデン地方分権の父 アグネ・グスタフソン教授からのメッセージ

執筆にあたって 

序章 高齢化にとまどう日本

高齢化社会・高齢社会・超高齢化社会 /出生率低下と高齢化率上昇の加速/マラソンランナーにたとえると/福祉と経済は車の両輪/寝たきり老人229万人、痴呆性老人322万人/市町村の役割は大きい

第2章 スウェーデンの高齢者政策の変遷

世界一高い税金を払う理由/1960年代のスウェーデンと1990年代の日本/老人ホームの雑居が社会問題に―――高齢化率10%の頃/市町村が「高齢者福祉計画」を策定―――高齢化率12〜13%の頃/「社会サービス法」で市の責任を規定―――高齢化率16%の頃/エーデル改革で老人医療も市の権限に―――高齢化率18%の現在

第3章 高齢化とともに進んだ地方分権

「社会福祉は市の責任」―――徹底した地方分権とその理念/高齢化率12〜13%が福祉サービス充実の始まり/高齢化率の上昇が地方分権に拍車をかけた/ルンド市の高齢者福祉の変遷/約20年がかりで行われた市町村合併/旧市町村(=教区)現在の役割は冠婚葬祭/市町村合併で「地域に1つの老人ホーム」が可能になった/憲法で保障されている地方自治体の課税権/地方自治体の経営手腕を助ける起債権/分権しても地域間格差が開かないために/自治体の行政能力を支える「市連合会」と「県連合会」/強力な圧力団体としての「市連合会」「県連合会」/情報公開と情報提供における「市連合会」「県連合会」の役割/新しい政策は住民に一番近い自治体から―――フリーコミューン制度/グノーショー市の「フリーコミューン」の実験/ルンド市の「モダン老人ホーム」の実験/スウェーデンと日本の高齢者政策の類似性

第4章 地方政治家の多くは兼業議員

中学校の社会科教師が市会議員/市会議員エルサ・ヨンソンさんの一日/地方政治には現場感覚が大切/地方政治家はアマチュアリズムを優先/一八歳の女子高校生市会議員/中学一年で社民党青年部に所属/10〜20歳代の議員が65人中10人/将来は市の福祉部で働きたい/老人ホーム施設長が市会議員に/保育行政に対する怒りから市会議員に/地方分権が進めば、女性政治家が増える/執行委員会による議院内閣制/女性が名簿のトップにいないと選挙に勝てない/批判するだけでなく、自分で政治をしてみなさい/働く女性の「選択の自由」を守りたい/女性誌会議員の増加が保育行政を向上させた/男性と女性では政策の優先順位が違う/高齢社会の女性の新しい生き方を提唱したアルバ・ミュルダール

第5章 開かれた身近な市議会

ベクショー市議会は市民公園の集会所で/多くの市民が参加できるための移動市議会/市議会は毎月1回、月末に行われる/市議会は仕事が終わる夕方5時半に始まる/買い物の帰りに立ち寄ったルンド市議会/市議会に役人席がない/議会の終了時刻は決まっていない/うちのパパは「社会福祉委員長」/社会福祉委員会は市の40%の予算を扱う/社会福祉委員会に委員の54%が女性政治家/ルンド市社会福祉委員会/高齢者団体の声を市政に生かす高齢者評議会/高齢者団体PROとSPF/ペル・ルングレンさんは元社民党市会議員/ルンド市高齢者評議会

第6章 スペシャリストが支える地方行政

地方自治体職員の8割が女性/LO会長の辞任を迫った、スウェーデン女性公務員の組織力/政治家は政策を判断、役員は業務を遂行/社会福祉部長になって10年目/市民の福祉は市で決める/ルンド市の課題は、ベビーブームに対応する保育の充実/コンピューターを駆使した効率的な行政/高齢社会の主役は社会福祉部、そして看護婦とヘルパーに/なぜ、スウェーデン女性はEU加盟に反対するのか?

第7章 政策で戦う比例代表選挙

シグフリッド国民高等学校に留学/日曜日は選挙戦もお休み/全国28選挙区の比例代表制/選挙に苦戦しても土下座でお願いはしない/くじ引きで場所を決める公設の選挙小屋/争点の1つは高齢者福祉・医療/国政選挙と地方選挙は同日選挙/テレビ討論会は手話・文字放送付き/18歳からの選挙権と被選挙権/在住外国人にも地方選挙権と被選挙権/市会議員のオリアン先生が選挙授業/各党代表の候補者が学校を訪問/学校の模擬選挙では環境党がトップに/「郵便投票制度」と「投票期間の長期設定」は高い投票率の秘密/頼んでないから、お礼の挨拶もない

第8章 地域に根ざした政党政治

市民の生活に根ざした政党/各市民層から代表を選ぶ―――ルンド国民党/得意分野は都市計画―――ルンド中央党/優秀な女性が多い―――ルンド穏健党/その他の小政党/地方政党の財産の40〜70%が市からの補助金/「政党補助金」と「公営選挙」はお金の公私をはっきりさせる

第9章 地方分権と国会議員

私たちのまちの国会議員/元ソーシャルワーカーだったカーリーさん/社会福祉委員会は女性議員の人気の的/両親はパン屋さん、14歳で社民党青年部に入党/政治活動と家庭の両立は大変/国会議員5〜6人に秘書が一人/パソコン通信で効率的に情報収集/目の見えない福祉大臣/部屋の中の何もかもが見えるかのよう/ノーマライゼーションまでの道のり/ノーマライゼーションには「市町村か」が不可欠/「県」と「市」の調停役に/大改革に政治家のリーダーシップが必要/障害者団体と高齢者団体の団結がエーデル改革の実現に/大改革は地域の自主性に任せておけない/議事録のテープを2倍速で聞く/兄貴のようなカール・ビルト首相/首相と一緒にスウェーデンの未来を考える/社民政治は今の時代にはもはや機能しない/スウェーデン社民党に初の女性党首誕生か?/大臣の妻と育児休暇の夫/「政治家」と「選挙家」

第10章 スェーデンの地方分権モデルとは?

スェーデンの地方分権は<砂時計モデル>/<砂時計モデル>の中央集権的側面/<砂時計モデル>の地方分権的側面/<砂時計モデル>は生活大国への近道/スウェーデンの地方分権11のポイント

第11章 日本政治の高齢化への対応
 ーーー中央主導型福祉では高齢社会を乗り切れない!

高齢化率が社会を規定する/高齢化により、国家目標、価値観、家族形態が変わる/地方分権は<ツツ型社会>の要請/問題の現状ーーー行政任せの老人保健福祉計画/議会の承認がいらない福祉計画/老人保健福祉計画は達成できるか?/コロコロ変わる福祉課長/権限委譲にともない、市町村にも福祉のプロが必要に/有権者の姿勢を変える/地方選挙を見直す/福祉は自治体間競争の時代に突入/まず権限ありき

あとがき

索引/参考文献

エーデル改革(老人医療福祉改革)とは?

保守新政権は、減税プランを発表

選挙分析(1991年総選挙)

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