特別養護老人ホームを訪問

            第180号(2001/09/06)

 メールマガジンの読者の皆さん、こんばんは。

■友好団体の大会のため、米子に一泊で出張。雇用問題の切実さを
改めて痛感。

◆帰路、仙谷由人衆議院議員と2時間、臨時国会でのテーマである
経済や雇用対策、労働市場政策などについて話をお聞きする。

◆また、薬剤師である肥田美代子衆議院議員からは、薬品政策につ
いて話を聞く。臨時国会では、医療制度改革の中で、薬品政策も大
きなテーマとなる。

●この出張の往復の新幹線の中では、竹中平蔵大臣の著書3冊
「日本が生きる経済学」(ぎょうせい)、
「強い日本の創り方」(PHP研究所)、
「竹中教授のみんなの経済学」(幻冬社)と、
「世界はこうして財政を立て直した」(PHP、林宏昭・永久寿夫著)
を読んだ。

小泉内閣の主張も、批判する前に理解する必要があるので。

■夕方、京都に戻り、晩の城陽市長選挙の演説会までの短時間、
特別養護老人ホームを訪問。

まんじゅうのおみやげを持って、10年来の知り合いのフメおばあ
さんを訪ねた。しかし、施設長さんから開口一番、「フメばあさん
は、急に痴呆が悪化し、もう山井さんのことはわからないかもしれ
ない」とショッキングな話を聞く。

半年ぶりの訪問。この半年間に急に痴呆症が進み、先月も1ヶ月
精神病院に入院していたとのこと。

●施設長さんの話を聞いたあと、フメさんの部屋を訪問。
四人部屋の右奥のカーテンを開けると、フメさんは夕食のあとで、
ベッドに横になっておられた。確かに、以前よりもげっそりやせて
おられる。顔つきも変わっておられる。

 「フメさん、山井です。お元気ですか。山井ですよ!」と、しゃ
がみこんで、恐る恐る声をかけた。

「うん?」と、上体を起こすフメさん。

じーと、私の顔を見て、2,3秒して、
「山井さん、よう来てくれたなあ」と声をあげられた。

 ほっとした。フメさんとは10年来の知り合い。私のことがわか
ってもらえなかったら、大ショックなところだった。

「手術したんや」とフメさん。脳梗塞のため、痴呆症状が多少出て
いると施設長さんは言っておられたが、私との会話は何とか通じた。

「よう来てくれた」と涙を流すフメさんに私も胸が熱くなった。


 二人が話している間に、この部屋に痴呆症らしきお年寄りが入っ
て来ようとする。

「あんたの部屋、ここやで!」と、フメさんがその女性に叫ぶ。
同室の入居者らしい。しばらくして、また、その女性は部屋を出て、
また、部屋に戻って、歩き回っている。

再びフメさんが、「あんたの部屋、ここやて言うてるやろ!」と叫
ぶ。フメさんは声が大きく、怒りっぽい性格だ。

こっそり私は小声でフメさんに聞いた。
「個室と四人部屋とどっちがいいですか?」と。

この4人部屋は、カーテンで仕切られており、他の3つのベッドは
見えないが、人の気配はしない。

「そら、個室がええに決まってるやん」。
「なんでですか?」
「四人部屋はゴソゴソ、他の人の音がする・・」とフメさん。

 その後、二人でしばらく、特別養護老人ホームの中を散歩。
足取りは重いが、手を貸せばかろうじて歩ける。

 「また、来ます」と言って、フメさんと握手して別れる。 

事務室に戻って、施設長さんに「私のこと覚えてはって、ほっとし
ました」と。

◆施設長さんは「一概に個室が良いとは言えないと思う。

特に、この隣のケアハウスでは、プライバシーに配慮しすぎるあま
り、かえって居室に閉じこもる『閉じこもり老人』を増やして、
痴呆の進行を早めている気がする。

悪く言えば、ケアハウスは、『痴呆性老人製造施設』だ。

自立しているときは個室がいいが、寝たきりになったり、痴呆症に
なったりしたら、個室はさびしいのでは? 

実際、うちの特別養護老人ホームの和室では四人のお年寄りが雑魚
寝(ざこね)をしているが、時には、他の部屋の痴呆症のお年寄り
もこの和室に入り込んで、8人で仲良く寝ていることもある。

外人は子どもの頃から個室を持っていたかもしれないが、今の日本
のお年寄りの世代は、必ずしも個室に合わない人もいるのではない
か」と言った。

◆この特別養護老人ホームは、新たに個室でユニット型の新型特別
養護老人ホームの建設とグループホームの建設を予定している。

「個室の新型特別養護老人ホームもいいが、月10万円以上の自己
負担になれば、厚生年金をもらっている家庭しか入居できない」と
施設長さんは心配しておられる。

◆「個室のことや、ユニット型特別養護老人ホームについては、関
心を持っている国会議員が少ないので、私が国会で取り上げます」
と私が言うと、

「そらそうですよ。この問題をやってもらわんと、山井さんを国会
に送った意味がないじゃないですか」と施設長さんは、言った。

◆個室問題やユニットケアについて、読者の皆さんのご意見もお聞
かせください。

■その後、晩は、城陽市長選挙の個人演説会で応援演説。

 以上で、今日のメールマガジンは終わります。
           やまのい和則 拝

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