やまのい和則の
     「軽老の国」から「敬老の国」へ

            第172号(2001/08/06)

 メールマガジンの読者の皆さん、こんにちは。
京都は37度。猛暑です。参議院選挙が終わり、少しずつ落ち着い
てきました。

 議員は、「選挙」と「本来の議員としての仕事」との両立が大変。
選挙の時は必死で選挙をせねばなりませんし、それ以外の時には、
福祉のため、景気回復のために仕事をせねばなりません。

 私の場合、7月31日に参議院選挙が終わり、9月9日投票の城陽
市長選挙と続きます。

国会議員の1つの仕事は、仲間の選挙応援です。
国政(衆参両議院)選挙なら半年前からかかりっきり。地方自治体
の選挙も1ヶ月前から忙しくなります。
また、選挙の終わった後は、お世話になった支持者への報告があり
ます。

 私は国会議員になるまでは、選挙は自分の選挙だけと思っていま
した。しかし、実際には選挙応援が多いのです。

衆議院の場合、4年の任期ですが、解散があれば、1年や2年間隔
でも選挙があります。また、地元の町会議員、市会議員、府会議員、
参議院選挙、町長、市長、知事選挙。

民主党の京都で私がお世話になっている自治体議員さんは30人以
上います。その方々へも、当然応援します。2ヶ月に1回くらいは
選挙をしているという感じです。

 昔から私、山井和則を知って下さっている方は、
「山井は、福祉を良くするために政治をやっている」と理解してく
ださっているでしょうが、議員になった後の私しか知らない人は、
「山井は、ただの選挙屋」と思っておられるかもしれませんね。

 でも、おかげ様で、今回、同志である松井孝治さんが、京都選挙
区から参議院議員に当選されましたので、力を合わせて、福祉の向
上のために頑張ります。


 今は、8月6日(月)午後3時。新幹線で東京に向かう途中です。
今日から金曜日まで臨時国会。そのあと、1ヶ月ほど休みになり、
9月中旬から本格的な臨時国会が12月まで続きます。


 よく「国会議員の夏休みは?」と聞かれますが、ほとんどありま
せん。海外に視察に行く議員もいますが、私は、今年は、先ほども
書いたように、地元城陽市の市長選挙が9月2日公示であるため、
お盆明けから忙しくなります。また、今は参議院選挙のあと片付け
が続いています。

 さて、今週は国会で何をするのかと言えば、新しく当選した参議
院議員を迎えるための臨時国会です。

それと久しぶりの国会議員同士の顔合わせ。実質上の審議はほとん
どありません。議員も選挙でヘトヘトに疲れきっています。


 しかし、実は、政治の世界では8月は一番重要な月でもあります。
来年度予算についての、各省庁の概算要求が、8月末締め切りです
から、来年度の予算で、何を重視をするかという方針を、各省庁が
決めるのが、8月なのです。

 たとえば、私の専門の介護問題についていえば、
厚生労働省は個室の特別養護老人ホームなどについて、重点的に予
算要求をするようです。

私もせっかく国会に1週間行くのですから、この1週間で現場や地
元の声を各省庁に届けます。


 さて、福祉関係で2つ報告します。

(1)まず、8月3日(金)に介護家族の方々10数人と介護保険
などについて意見交換の場を持ちました。

*介護保険で自己負担が増えたことへの不安、

*デイサービスが足りないので、同じデイサービスは週2回利用が
 上限になり、いろんなデイサービスやデイケアを、利用せねばな
 らないのはお年寄りが混乱して良くない、

*特別養護老人ホームが足りない、

*老人保健施設でのたらい回しが多く、特別養護老人ホームになか
 なか入居できない、

*徘徊のある痴呆性高齢者の在宅介護者の負担が大きい、

などの声を聞きました。

 さらに、個室の特別養護老人ホームについては、
「個室になっても、自己負担がアップするのは困る。自己負担が
アップするなら四人部屋のままでよい」という声も聞かれました。

貧富の差なく、個室の特別養護老人ホームに入居できる仕組みの必
要性を痛感しました。


 私は、この介護家族の方々と話をして痛感しました。

それは、国会には介護問題の陳情がほとんど来ないということです。
たとえば、ハンセン病問題、障害者福祉、ホームレス問題などの陳
情は多いです。

それは、その本人、つまり、当事者が国会に陳情に来られます。

しかし、高齢者介護問題の場合は、寝たきりや痴呆性高齢者本人は
国会に陳情に来れません。また、介護家族も全く陳情に来ない。
特別養護老人ホーム職員やホームヘルパーさんなど現場の方々もほ
とんど国会には来ません。

 国会議員も忙しいですが、団体になって陳情に来られれば、党も
議員個人もその問題に対して、何なりと動きます。厚生労働省にも
働きかけます。

しかし、この1年を振り返って、私も、民主党も、介護問題につい
て介護関係者や団体から、ある程度まとまった陳情を受けた経験は
ほとんどないのです。

障害者福祉、ハンセン病、ホームレス問題などについては、かなり
政策要望や陳情があるというのに。

 改めて、私は現場をまわり、寝たきりや痴呆性高齢者やそのご家
族、現場の方々の声なき声を国会に届けねばと感じました。


(2)また、もう1つの報告。
 8月4日(土)には、近くの老人保健施設の総会に行きました。
開設して9ヶ月。

自宅復帰した利用者もおられますが、痴呆性高齢者は、老人保健施
設でリハビリをしても、自宅復帰できない利用者は多いようです。

しかし、また、自宅から老人保健施設に移って、家族とのストレス
から開放され、症状が良くなる痴呆性高齢者が多いとのことでした。

 そもそも痴呆症は完治しないわけですから、「通過施設」という
老人保健施設の定義と、その利用者の半数以上が痴呆性高齢者にな
っているという現実には大きなギャップがあります。

私は、特に痴呆性高齢者に対しては、老人保健施設は特別養護老人
ホームのように「終(つい)のすみか」にすべきだと考えます。

痴呆性高齢者にとっては、環境の変化は良くないから、老人保健施
設のたらい回しなどはもってのほかです。

 なお、この老人保健施設は最新式で、全室個室風で8〜15人を
単位とするユニットケアを実践していますが、スタッフの方は、
「12〜15人のユニットは大きすぎる。やはり、8人くらいが良い」
と言っておられました。

また、「職員:利用者=1:3」ではユニットケアはできない。
せめて1:2.5になるように、介護報酬を引き上げてほしいという
声を聞きました。

実際、今回私も施設内を見学させてもらいましたが、
「職員さんはどこですか?」と歩き回っておられるお年寄りもおら
れ、人手が足りないことを痛感しました。


 余談ですが、初対面の介護職員さんが、「山井さんですか?」と
廊下で声をかけて下さり、「メールマガジン読んでますよ」と言っ
て下さったのが嬉しかったです。

 この1ヶ月の選挙漬けでかなり脳細胞が破壊されましたが、少し
ずつ頭を福祉と政治に戻して、メールマガジンも再開していきたい
と思います。

落選した仲間や知り合いもいて、落ち込んでいますが、早く立ち直
りたいと思います。

 では、次回は今週の国会報告をします。久しぶりに落ち着いてメ
ールマガジンを新幹線の中で書き、本来の自分に戻ったように思い
ます。               山井和則 拝

追伸:
  山井和則講演のお知らせ
   日時:8月23日(木)午後7時〜
   場所:ギャラリーGM-1
      (奈良学園前)
   テーマ「小泉内閣にみる福祉政策の実情と本質」
   主催:まぶち澄夫後援会

まぶち澄夫さんは、奈良で政治活動をされている私の尊敬する同志
です。その勉強会で講師をさせて頂くのです。
ざっくばらんな勉強会で、誰でも参加自由。会費無料ですので、
お気軽にお越し下さい。詳しくは、ホームページをご覧ください。
http://member.nifty.ne.jp/yamanoi/news/01/0107/0823.htm

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
☆やまのい和則の「軽老の国」から「敬老の国」へ☆
    (2001/08/06現在 読者数 1672)

前へ 目次へ戻る 次へ