〈インフルエンザと風邪はどう違う?〉
風邪はウイルスに感染し発症する病気です。発熱、のどの痛み、鼻水、くしゃみなどの症状がでます。
インフルエンザも風邪の一種ですが、インフエンザウイルスが原因で起こる病気で、突然の高い熱が特徴です。
感染性が大変強く、症状が激しく、小児や高齢者は重症化しやすいので注意が必要です。
肺炎や脳症などの合併症や持病の悪化を引き起こして命に関わる状態になることもあります。
インフルエンザと風邪の違い
|
インフルエンザ |
かぜ |
発症 |
急激に悪化 |
徐々に悪化 |
発熱 |
38度以上 |
ないか、あっても微熱 (37度程度) |
悪寒 |
強い |
軽い |
症状の部位 |
強い倦怠感など全身症状 |
鼻・咳など局所的 |
症状 |
関節痛・筋肉痛・咳・のどの痛み、鼻水など |
喉の痛み、鼻水、鼻づまり、くしゃみ、咳など |
合併症 |
肺炎などが起こり得る |
少ない |
〈インフルエンザの健康被害〉
インフルエンザは突然の高い熱と、強い全身症状が特徴です。
特に乳幼児や高齢者は重症化しやすいので注意が必要です。
乳幼児では肺炎やインフルエンザによる入院のリスクが高くなる傾向にあります。
さらに主に幼児では脳症などの合併症をおこすこともあります。
一方インフルエンザの死亡者のうち、圧倒的多数を占めるのは65歳以上の高齢者です。
高齢者がインフルエンザにかかると肺炎などの合併症を起こしやすいためです。
同様に喘息や心臓病などの慢性の病気を持っている人もインフルエンザでそれらが悪化したり、
インフルエンザそのものが重篤な状態に陥る危険があります。
こんな人は要注意!!
高齢者
一般的に抵抗力が弱い高齢者は長引きやすく治る前に肺炎などの「合併症」が起き、
重症化してしまうことが少なくありません。死に至る原因となることもありますので、十分な注意が必要です。
こども
子供では初感染として抗体の全くない状態での発病があり、症状は強くなり中耳炎などを併発することもあります。
特に幼児年齢ではまれに「急性脳症」をおこして死亡したり、回復しても後遺症が残ることがあります。
慢性の病気がある人
喘息、心臓病、糖尿病など慢性の病気がある人がインフルエンザにかかると、もともとの病気が悪化しやすくなります。
〈感染経路〉
インフルエンザは強い感染力を持ち、人から人へのくしゃみによる飛沫の飛散などで感染し、
広い範囲で「流行」を引き起こします。
〈どうやってうつるの?〉
インフルエンザを発病する前日から発病後3~7日程度は感染力があると言われています。
ゾクゾクし始めた時からウイルス↑
熱が出ている時 ウイルス↑↑↑(一番多い)
少しずつ減っていく
インフルエンザに感染した人のせきやくしゃみとともにインフルエンザウイルスが小さな飛沫(しぶき)となって空気中に飛び散り、
これをまわりのひとが吸い込むことや、インフルエンザウイルスがついた手で、目や口を触ることで感染します。
飛沫・・・およそ2mは飛ぶと言われています。
〈インフルエンザの流行シーズン〉
通常日本では毎年11月下旬から12月上旬にインフルエンザのシーズンが始まり、
1~3月にピークを迎えて4~9月にかけて患者数は減少します。
インフルエンザの予防接種
インフルエンザの流行や健康被害を抑える第一の方法はインフルエンザワクチンの接種による予防です。
予防接種を受けておくことで、発病や入院、死亡のリスクを下げることが期待できます。
ワクチンとは?
人間の身体にはウイルスに感染するとそのウイルスを排除する働きを持った抗体を作り、
次に同じウイルスがはいってきても感染症になりにくくする「免疫」というはたらきがあります。
この働きを利用するのがワクチン接種です。現在日本国内で使われている
インフルエンザのワクチンは「不活化ワクチン」で安全性が高いワクチンです。
ワクチンの基となるウイルス(ウイルス株)が毎年WHO(世界保健機関)が発表する推奨株を基に、
日本国内の専門家による会議にてその年の流行を予測検討し、決定されています。
予防接種の対象となる人
インフルエンザの予防接種の主な目的は、高齢者や小児、基礎疾患を持っている人等の
「ハイリスク者(インフルエンザに感染することによって重い健康被害に至る危険性の高い人)」が
入院や死亡等の重篤な状態になるのを防ぐことですが、多くの人に接種を実施して
周囲の人に感染が広がるのを抑えることも重要です。
「医療従事者」「ハイリスク者の家族や介護者」など「ハイリスク者を感染から守る」という観点から
積極的に接種することをお勧めします。
一つの集団でおよそ8割の人がインフルエンザワクチンの接種を受けると同じ集団の中にいる
ワクチン未接種の人もインフルエンザを発症する率が減ることが観察されています。
乳児などインフルエンザワクチンの接種対象外の人、並びにアレルギーなどのために接種が受けられない人以外は、
すべてインフルエンザの予防接種の対象となります。自分自身をインフルエンザの危険から守るため、
周囲の人への感染を防ぐためにできるだけ予防接種を受けることをお勧めします。
インフルエンザワクチンの有効性
インフルエンザワクチンは流行を予想しワクチンを作っているために、
その予想が外れた年は効果が低いことも知られていますが、
健康な成人ではおよそ60%ていどの発症を防ぐ効果があると考えられています。
インフルエンザワクチンの有効期間
インフルエンザワクチンの効果の発現と持続時間には個人差があります。
一般にはインフルエンザワクチン接種後2週間ごろから5カ月程度効果が持続するとされています。
予防接種を受ける時期
インフルエンザワクチンを接種してから抗体ができて予防効果が発現するためにはおよそ、2週間かかると言われています。
年によって異なりますが、一般的に日本では12月頃からインフルエンザの流行が始まることを考えると
12月頃までに接種を完了することが望まれます。
予防接種を受ける回数
インフルエンザワクチンは接種を受ける時の年齢によって回数が異なります。
① 生後6カ月以上13歳未満・・・2回接種
接種間隔はおよそ2~4週間とされていますができるだけ4週間程度の間隔をあけて接種したほうが
免疫の獲得はよいと言われています。
また、1回目の接種時に12歳で2回目の接種時に13歳になっていた場合は
2回目の接種も12歳とみなして実施します。
② 13歳以上・・・1回または2回接種
2回接種する場合の接種期間は1~4週間とされていますができるだけ4週間程度の間隔をあけて接種したほうが
免疫の獲得は良いとされています。
ワクチン接種後の副反応
接種から数日中に注射した部分が赤くなったり、硬くなったり痛みが出ることがあります。
また発熱や、関節痛、下痢、倦怠感などの全身症状がみられることもあります。
通常2~3日でこれらの症状は消えますので、特別に処置をする必要はありませんが、
心配な時は医師に相談しましょう。
また、ワクチン接種後の重大な副反応として、ショック、アナフィラキシー様症状(じんましん、呼吸困難、血管浮腫等)
があらわれることがあります。そのほとんどは接種30分以内に生じます。
注意してそのような症状が現れればすぐに医師と連絡が取れるようにしておきましょう。
ワクチン接種を受けた日の過ごし方
予防接種を受けた後は、激しい運動は避ける。
その他は普通どうりの生活でよい。入浴も大丈夫です。
アメリカ予防接種諮問委員会のインフルエンザワクチンの勧告
1.特別の予防接種計画の必要な対象グループ
1)インフルエンザ関連の合併症にハイリスクなグループ
・65歳以上の者
・年齢を問わず、慢性疾患を持つ収容者がいる養護ホーム及び長期療養施設の入居者。
・肺および心血管系の慢性疾患を有する成人ならびに小児、気管支喘息の小児も含む。
・糖尿病を含む慢性代謝疾患、腎不全、血色素異常あるいは免疫抑制状態にある者でこの1年定期的に通院しているか入院したことのある者。
・長期のアスピリン治療を受けている生後6カ月から18歳の者。
2)ハイリスク患者にインフルエンザをうつす可能性のあるグループ
・病院や外来診療に従事する医師、看護師、その他の関係者。
・患者や入所者と接触する養護ホームや長期療養施設で働く者。
・訪問看護やボランティアでハイリスクの人々にホームケアサービスを提供するもの。
・小児を含むハイリスク群のいる家族。
2.その他
1)一般の人々
インフルエンザで具合が悪くなるのを減らしたいと願うものは誰でも
地域にとってなくてはならない仕事に従事している人々
寮生活のような共同生活をしている学生や住人はインフルエンザの流行で
日常生活が中断されるのを最小限に食い止めるためにワクチンを勧めるべきである。
2)妊婦
インフルエンザワクチンは妊娠期間のどの時期に接種しても安全である。
それゆえハイリスク条件をもつか、妊娠3カ月未満でインフルエンザの流行がはじまるときには
躊躇することなく接種すべきである。
3)HIV感染者
4)海外旅行者