〔食中毒の種類と予防法〕

食中毒菌には、菌自体が人の体内に入って増殖する
感染型と、食品内の菌が出した毒素で食中毒を起こす
毒素型があります。菌によって増殖する食品も
感染ルートも異なります。

細菌名 感染源 食中毒の症状 予防法
サルモネラ菌
(感染型)
鶏肉・牛・豚
鶏卵・牛乳
高熱・吐き気・嘔吐・頭痛
けいれん様の腹痛
水様弁
食品の加熱・卵や乳製品は
調理後すぐ食べる。
ペットの糞に注意
腸炎ビブリオ
(感染型)
生の魚介類 急激な腹痛・下痢・
軽い発熱・吐き気・嘔吐
冷蔵・冷凍の徹底
流水で充分に洗う
調理器具の二次汚染に注意
黄色ブドウ球菌
(毒素型)
ケーキ・米飯食品・
食肉加工品・魚肉
練り製品
吐き気・嘔吐・腹痛・
水様便
調理時に手の傷に注意
調理後すぐ食べる
腸管出血性大腸菌
O-157
(感染症)
糞便で汚染された
水・牛肉・豚肉・
人から人への二次感染
発熱・嘔吐・血便
激しい腹痛
頻回の水様便
溶血性尿素症症候群
肉は内部まで十分加熱
調理場の衛生
手洗い
二次感染に注意
ウエルシュ菌
(感染型)
野菜・肉・魚介類などの
加工品
シチュー・カレースープ
発熱・吐き気・嘔吐・
腹痛・下痢
調理後熱いうちに食べる
保存はよく混ぜながら冷まし、
小分けにして冷蔵・冷凍
ボツリヌス菌
(毒素型)
食肉加工品
真空パック
缶詰食品
はちみつ
頭痛・めまい
吐き気・呼吸麻痺
まぶたが下がるなどの
神経症状
80℃で10分以上の加熱
カンピロバクター
(感染型)
鶏・豚・牛肉
ペット
微熱・倦怠感・頭痛・
腹痛・嘔吐・水様便
鶏肉料理は十分加熱
公園の砂遊びに注意


〔家庭で食中毒を防ぐ原則〕

  1清潔 細菌を寄せ付けない
  鮮魚や精肉についてきた細菌が手や調理器具を介して食品につき、
  増殖して食中毒を起こすことがあります。


保管:週一回は冷蔵庫の拭き掃除を
冷蔵庫の中は雑菌の宝庫です。週1回は汚れをふき取った後、
除菌スプレーで消毒しましょう。
手洗い:石鹸で手を洗う
調理前に石鹸で手をよく洗い、清潔なタオルで拭きましょう。
魚や野菜、生肉の触った後は必ず手を洗いましょう。
洗浄;まな板→そのつど殺菌
洗剤でよく洗い熱湯をかけるか除菌スプレーで殺菌する。
週に1回は台所用漂白剤で消毒しましょう。
ふきん→必ず殺菌消毒を
洗剤でよく洗い、煮沸消毒するか、台所用漂白剤で殺菌する。
殺菌後はよく乾燥させましょう。
包丁→アルコールで消毒を
刃と柄を洗剤でよく洗い、熱湯をかけるか除菌スプレーで殺菌しましょう。
     

  2迅速 細菌を増やさない
  調理後は早く食べ保存する場合は必ず冷蔵庫に入れましょう。
  (ただし冷蔵庫の過信は厳禁です)

 調理:調理は食べる直前に
食べる直前に調理しましょう。
生肉や生魚を調理した包丁やまな板は一旦洗ってから次の調理に使用しましょう。

保存:室温での放置は避ける
調理後すぐに食べない場合は冷ましてからラップに包み、
必ず冷蔵庫へ入れましょう。

  3加熱 殺菌を殺す
   食品についてしまった殺菌は殺す以外にはありません。
   食品の中心にまで十分に火をとおすことが絶対条件です。

 加熱:75℃以上で1分以上
特に冷凍食品の場合、十分に火が通るまで加熱しましょう。

再加熱:冷蔵庫で保存した食品は必ず再加熱
いったん冷蔵庫で保存したお料理は、
温めなおしてから食べるようにしましょう。

  〔食中毒 家庭で出来る応急処置〕
   食中毒で特に注意しなければいけないのが、下痢や嘔吐に寄って起こる
   脱水症状と、吐いたものが喉に詰まるのを防ぐことです。

   まず、脱水症状の予防として、冷やさない水・お茶・スポーツ飲料で水分の補給をしましょう。
   少しずつでもかまいません。一口ずつでもいいので頻回とるようにしましょう。

   次に誤嚥の予防です。
   吐いたものが気管に詰まると呼吸困難や肺炎を起こすことがあります。
   嘔吐があるときははきやすいように横向きに寝かせましょう。

   熱が無い時はお腹に毛布などをかけて冷やさないようにします。
   症状がひどい時は固形物の摂取は避けます。
   温かいスープ、おもゆなどを様子をみながら少しずつ摂取します。

   症状がおさまってきたら徐々に濃いものにしていきますが、
   1回の食事量は少なめにして回数を多くとるようにしましょう。
   食事の際はゆっくり、よくかむこと。
   油を使った調理法は避けて、脂肪の少ない白身魚や
   ほうれん草・にんじん・かぼちゃ・じゃがいもといった、
   消化の良い野菜を中心に薄味で蒸らしたり柔らかく煮込んだものをとるようにします。
   肉類をはじめとする脂肪の多い食品、生の野菜や果物、
   酸味や香辛料の強いもの、アルコール飲料などは、下痢を誘発するので控えましょう。
   熱すぎたり冷たすぎる物も腸を刺激するので
   体温に近い温かさのものをとると良いでしょう。

   薬は医師の指示通りに飲みましょう。
   ほかの薬を飲んでいるときは、そのことを医師に申し出てください。

   感染性のあるときもありますので、排便後はよく手を洗いましょう。
   お世話する人も手洗いを怠らないようにしましょう。