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寝たきりオムツ体験日記 後編
〜トイレ権〜
2日目の晩になりました。
ベッドの上で横になっていても、絶対にウンチは出ないことがわかりました。そこで、仕方ないからベッドの上にしゃがんで、きばってみたんです。1時間くらい頑張って、やっと少しだけが出ました。言葉で言い表せないくらい、変な感触でした。なんだか、吐き気がしてきました。
車いすに乗って自分でトイレに行き、オムツを交換。汚物処理室にオムツを捨てました。自分でも「なぜこんな体験をしているのか」と情けなくなり、涙が出てきてしまいます。
ある時、老人病院で実習させてもらったとき、寝たきりのおばあさんがやまのいの手を握ってこう言ってきました。
「大きいのが出そうやから、兄ちゃんトイレに連れて行って」
しかしこの病棟には、50人の患者に対して1か所しかトイレがありません。昼間はヘルパーさんは5人。みんなヘルパーさんがオムツ交換で走り回っているのに、やまのい1人だけお年寄りの手をひいて、20mも離れたトイレに誘導しました。ただし、連れて帰ってくることはできませんでした。
ヘルパーさんにも相談しましたが、「人手が足りないから無理。オムツしてるんだから、オムツの中でしてもらって」と言われました。結局、他の人は、トイレに連れて行くことができませんでした。
その時のおばあさんの悲しそうな目、腕をギュッと握りしめて離さなかったその手の感触、を今でも忘れることができません。次の日、そのおばあさんは、朝食に手を全くつけなませんでした。「食欲がないんですか?」と尋ねますと、「上から食べても下から出るだけでしょ」とおばあさんは言いました。はっきりいって、絶句しました。それ以来、おばあさんは食事を拒み続け、2ヶ月後に亡くなりました。この悲しい体験は今でも、やまのいの活動の原点となっています。
やまのいも、自分でその苦しみを味わってみなければならないと思い、オムツ体験をしてみたのです。さらに、特別養護老人ホームや老人病院でヘルパーの実習を何度かさせてもらって、自分がコワくなってきていました。介護の実習をすればするほど、「人手が足りないので、トイレに誘導できないのは仕方ない」、「個室だとお世話はしにくい」、と現実肯定してきてしまうのです。
雑居部屋を個室にしてトイレをつけるとお金がかかります。でも、いちいちトイレ誘導するとなると人手がかかります。しかし、やまのいは「日本国民は最低限の文化的な生活を営む権利を有する」という憲法第25条の精神にのっとってこう言いたいのです。
「いくらお金や人手がかかろうが、本人が望めばトイレで用を足せる権利は経済大国・日本のすべての国民に『無条件』で保障されるべきだ」と。
これを「トイレ権」と呼びたい。
〜人手を増やし、個室を〜
この2泊3日の短い「寝たきりオムツ体験」で何よりも感じられたのは、寝たままオムツの中で排泄することの非人間性と、雑居部屋の居心地の悪さです。
もう1人、他の4人部屋で体験入所した人がいました。その人は「申し訳ないとは思ったがお年寄りの共用トイレの便座には座れなかった。汚い気がした。4人部屋は空気が悪い上、夜中も薄い明かりがついていて寝られなかった」と言ってました。さらに、やまのいと同じく寝不足で目をはらしていました。
オムツについて、次のように施設長さんに言いました。「隣りのおじいさんが3日間便秘の末、浣腸を打ってもらって、やっと今日下痢が出た。しかし、そもそもベッドの上に寝ていたら、便秘になるに決っている。こまめにトイレ誘導し、実際に便器の上に座らせ、ゆっくり時間をかければ、あのおじいさんも便秘にならないのではないか」
これに対して施設長さんは、「個室にしても、トイレ誘導にしても要は人手の問題だ。個室にすれば、人手もより多くかかる。トイレ誘導もこまめにできれば、オムツがはずれることもわかっている。でも、今の基準の人手では、残念ながら、現状が精一杯だ」
実際、この老人ホームでも寮母さんはこまねずみのように走り回り、スタッフの過労が問題になっていました。さらに、これでも、この老人ホームはケアが良い、と有名なのです。
やまのい自身、このようなオムツ体験をするまで、1年以上悩みました。「そこまで体験してみる必要はあるのか」、「果たしてオムツの中でできるか」と。知り合いに相談したら「バカじゃないか」と笑われました。でも、実際そのような生活を老人ホームでお年寄りはしているのです。
この拙いレポートを読まれて、不愉快に感じられた現場職員の方もおられることでしょう。やまのい自身、現場で苦労していないから、こんな体験をしようという気になるのだと思います。しかし、このレポートは現場で働かれる方々を批判するものでは、決してありません。
このことは介護職員の問題ではないのが分かるでしょう。根本的に介護職員を増やして、個室を増やすという解決しかないように思うのです。
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yamanoi@wao.or.jp
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