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福祉サービス、どこで教えてもらえる?

〜困ったときは「家族の会」へ〜
 福祉サービスを利用することは大切ですが、どんなサービスが利用できるかは、どこに行けば教えてもらえるのでしょうか?。

 厚生省の調査によれば、介護サービスを利用したいと望んでいるお年寄りの約9割がサービスが受けられないでいるといいます(「健康・福祉関連サービス需要実態調査」1991年)。
利用者数(あ)利用要望者(い)利用率(あ/い)
デイサービス17.6万人60.5万人29.1%
ショートステイ5.1万人54.4万人9.3%
ホームヘルプ21.8万人263.8万人8.3%
在宅(訪問)看護22.2万人209.9万人10.9%
入浴サービス9.1万人109.8万人8.3%
給食サービス10.3万人140.9万人7.3%
 上の表を見ても、一番利用率が高いデイサービスですら、要望者の3人に1人も利用できていないのです。この調査によれば、「利用していない理由」のトップは、「サービスを提供する公的機関・会社や利用方法などを知らない」ということでした。

 さまざまな福祉サービスについては、福祉事務所や自治体の福祉課・住民課に行けば、教えてもらえます。しかし、なかなか役所に行くのも大変だという方にお薦めなのが、在宅介護支援センターです。ここは24時間体制、年中無休で介護に関する相談に乗ってくれたり、福祉サービスを紹介・斡旋してくれます。もちろん、相談は無料です。全国に2400ヶ所あり(1994年)、2000年までには1万ヶ所整備される予定です。在宅介護支援センターは、老人ホームや老人保健施設などに併設されている場合が多く、電話相談もOKです。役所に電話して、身近な在宅介護支援センターの電話番号を教えてもらえばよいでしょう。

 もう1つ私がお薦めしたいのが、社団法人「呆(ぼ)け老人をかかえる家族の会」(通称、「家族の会」)です。この会は全国組織の社団法人で、全国の34都道府県に支部があり、会員は約4000名。「家族の会」では、「痴呆性老人」でなく「ぼけ老人」という呼び名を用いています。
 この会は、痴呆性老人を介護している家族や、以前に介護を経験した方々の民間団体です。実際に介護で苦しんだ方々が相談に乗ってくれたり、アドバイスしてくれるので非常に助かります。

 京都市に住む川島菊子さん(50歳)は、痴呆症の姑の介護で家庭が崩壊の危機に直面していました。「親が急にぼけて、どうしたらいいか、それはもうパニックでした」といいます。そのとき、知り合いに紹介されて「家族の会」の京都支部の会合に出席しました。会合には、現在介護している人、介護を終えた経験者、それに福祉施設の職員など約20名が来ています。そこで、日々の介護の苦しみを川島さんは話しました。介護のことを人前で話すのは初めてのことでした。みんなうなずきながら聞いてくれました。みんなに聞いてもらえただけで、川島さんは心の重荷がとれたのです。さらに、ほかの介護者の話を聞くなかで、「苦しんでいるのは自分だけではない」とわかってきました。
 介護の仕方や利用できるサービスについても、教えてもらいました。それまで川島さんは、1日中姑につきっきりで、介護をしていました。しかし、みんなから「それでは自分が身体をこわすよ。手を抜けるところは抜いたらいいわよ」とアドバイスしてもらえました。さらに、デイサービスの利用を薦められました。川島さんは、デイサービスなど聞いたこともなかったし、今まで姑の介護をずっと1人でやってきて、姑を手離したことがありませんでした。ですから、なかなか利用を決意できませんでした。
 でも、デイサービスを利用している介護者から、いかにデイサービスで家族も助かり、お年寄りも喜んでいるか、を聞かされました。それでも、「どうして申請したらいいか、わからないので・・・」と川島さんは迷っていました。すると、「私が福祉事務所まで一緒についていったげるわ」と、1人の会員さんが言って、手続きまで手伝ってくれたのです。

 それがきっかけになって、デイサービスを週2回利用し始めました。さらに、川島さんは「こんないろんなサービスがあるなら、どんどん使おう」と考え方を転換し、福祉サービスの資料を取り寄せては勉強するようになりました。今では、週1回保健婦さんの訪問、月2回の入浴サービスも受けています。
 「もし家族の会に出会っていなかったら、今頃私は身体を壊して倒れていたと思います。月1回の交流会に参加するたびに、また、明日から頑張るか、という気になります」と川島さんは振り返ります。「家族の会」の事務局長である石田実さんは、「ぼけ老人をかかえる家族の一番の不安は、この先どうなるのだろうか、という先行きの不安なんです。介護の経験者などの話を聞くことによって、先が見えてくるので、川島さんも気が楽になったんだと思います。初めて来られたときにはげっそりやつれておられましたが、今では体調も良くなってきたようです」といいます。

 「家族の会」では、毎月の交流会、電話相談、会報の発行などを行っています。交流会では介護者が苦労を話し合ってストレスを解消したり、講師を招いて痴呆という病気についてや、福祉サービスについて勉強したりします。さらには、デイサービスセンターや老人ホームの見学会なども行っています。
 この「家族の会」には、痴呆性老人を介護している家族以外の方、たとえば、研究者や福祉関係者、行政関係者も入会できます。実は、私も会員として、勉強させていただいています。高見さんは、「ぼけ老人をかかえた家族は孤立しがちです。ぼけ老人の問題は、家族だけでは解決できません」と話します。
 事務局に、電話すれば相談に乗ってくれたり、近所の支部の連絡先を教えてもらえます。痴呆のみならず、介護でお困りの方は相談、あるいは入会されることをお薦めします。

〜「他人だからやさしくできる!」〜
 「家族の会」の全国役員代表である高見国生さんは次のように話してくれました。
 「家族の苦しみは家族にしかわかりません。本を読むと、「やさしくお年寄りを介護しなさい」とか、「お年寄りのペースに合わせ、否定したり叱ったりしない」などと書いてあります。でも、そんなことは家族にとっては無理です。1日8時間仕事でやっているプロの介護者と、24時間、365日つきっきりの家族とは状況が違います。家族にとって大切なのは、無理をしすぎず、いかに上手に手を抜くかです」
 この点については、繰り返し述べていますが、「家族にできること」と「介護のプロだからできること」には、大きな違いがあります。家族に完璧な介護を求めると逆に、家族は倒れてしまいます。そこで、「家族の会」では、家族に対して、次のような「ぼけとつき合うホンネ10か条」を作成しました。

(1)3歩離れてじっくり介護
(2)「愛情」が第一というけれど
(3)周りの言葉にまどわされずに
(4)家族の暮らしあってこその介護
(5)女性中心でなく男性の力も
(6)”その日暮らし”の精神で
(7)できる手抜きは勇気を持って
(8)励ましあい、助けあう仲間の輪
(9)公的サービスの利用は遠慮なく
(10)楽しく知恵くらべ

 さらに、高見さんは自分の痴呆症の実母を8年間介護した経験を通して、次のようにアドバイスしてくれました。
 「同居していない親族が「ああしろ」「こうしろ」というのが、介護者を一番苦しめます。「金や力は出しても口は出さない」というのがもっとも協力的な親戚と言えます」
 確かに、介護を手伝だっていない親族ほど、うるさく注文をつけたりします。これに対して高見さんは、次のように語ってくれました。
 「家族の力の限界を超えた時に、病院や施設にお願いすることは、決して恥ではないし、冷たいことでもないのです。むしろ、そうすることが当然なのです。家族の力の限界が先か、老人の命の限界が先か、これによって、在宅か施設かが分かれるのです。どちらの家族が立派だとか、偉いというものではありません。ましてや、日々介護している家族以外の者が、「施設に入れるな」とか、「入れろ」とかを、押しつけるべきではありません」

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yamanoi@wao.or.jpまでお願いいたします。

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