おはよう 21 より転載  第4回


前向きな回答を引き出したい!!

 日本の中で、最も福祉に関心の低い人々が集まっているのが、「永田町(国会)」なのかもしれません。国会には「元気老人」の代表のような議員さんが多いのです。おまけに、国会議員は家にいる時間も短いので、家事をやったこともない男性議員がほとんで。「家事も介護も嫁がやるのが当たり前」と考えがちです。 

介護保険の議論は4時間程度

 国会議員になって半年、国会でほとんど介護保険について議論がなされていないことを悔しく、情けなく思っています。

 介護問題は、衆議院では私の所属する厚生委員会で議論されます。625日に私が仕事を始めてから、2回の臨時国会(728日から89日まで13日間。921日から121日まで72日間)が開かれました。

 合計すると、85日間(ほぼ3ヶ月)です。さぞ、介護保険についても議論されたと思われるでしょう。しかし、衆議院の厚生委員会で介護保険が議論されたのは、わずか2日。正味4時間くらい。涙が出ます。ほとんど議論されていないのです。

 介護保険が導入されて、多くの問題点が指摘されているのに、衆議院での議論がたった4時間。なぜ、こんなことになるのでしょうか。

 まず、7月末からの臨時国会は13日間でしたが、その中で3日間しか厚生委員会は開かれませんでした。1日は雪印乳業の食中毒問題、もう1日は請願の処理だけで終わり、介護保険を含めた一般質疑は84(5時間)だけでした。その日、私は40分間、津島雄二厚生大臣に質問をしましたが、5時間のうち介護保険の議論は、私を含めて2時間くらいでした。

 次に、920日に会期外の厚生委員会が開かれましたが、この日は1日かけてヤコブ問題についての集中審議でした。

 そして、921日から始まった臨時国会では、前半のほぼ1ヶ月は、参議院の選挙制度改革でもめて、国会が空転(審議拒否)1024日に再会されましたが、その後、3日間(合計18時間)の厚生委員会での審議は、医療法と健康保険法の改正が議題でした。おまけに、その医療法と健康保険法の改正法案が強行採決されたため、また2週間、厚生委員会はストップしました。このことは前号でも書いたとおりです。 

導入後はほったらかし 

 私は民主党の先輩議員に、「介護保険の集中審議を厚生委員会でやるべきです!」と強く訴えました。その声が届いたかどうかはわかりませんが、1117日に再び厚生委員会が1(5時間)開かれました。そのうちの30分間を割り当てられ、私は介護保険について質問(内容は後に述べます)。しかし、私を含めて介護保険の議論は2時間くらい。

 その1117日の厚生委員会のあと、私は先輩議員に聞きました。「次の厚生委員会はいつですか?」。すると「もう今年は一般質疑は無いでしょう」との答え。

 そう、2ヶ月あまりの臨時国会で、医療法と健康保険法の改正を3日間しんぎして、介護保険を含めた一般質疑を1日やっただけで、終わったのです。

 625日に私が衆議院議員になってからの半年間、衆議院の厚生委員会で介護保険が議論されたのは、4時間くらい。そのうちの1時間10分が私です。

 介護保険が4月から導入されましたが、スタートしたあとは、放ったらかしです。厚生省は厚生省なりに現場の声を吸い上げて、見直しをしていますが、本来はしっかり国会で議論せねば改善されません。もちろん、衆議院の厚生委員会だけが議論の場ではありません。参議院の国民福祉委員会でも多少は介護保険の議論はあったでしょう。さらに、厚生省の介護保険担当者との個別の議論やヒヤリングという形で、私も介護保険に注文をつけました。しかし、厚生委員会が最も正式な議論の場です。

 このように厚生委員会での議論が少なかった理由をまとめると、次の3つです。

 まず、今年は、参議院選挙制度改革法案の与党の強行採決が原因で、ほぼ1ヶ月国会が空転したこと。次に医療法や健康保険法の改正も強行採決で、そのあと2週間、厚生委員会が空転したこと。さらに、ただでさえ厚生委員会の日数が少なかったのに、担当する分野が非常に幅広いこと。医療法や健康保険法の改正、雪印問題、ヤコブ病、年金などさまざまです。そのため、介護保険のように一旦導入された制度については、「しばらく様子を見よう」と後回しになってしまうのでしょう。 

特養ホームなどについて厚生委員会で質問

さて、1117日の委員会質問のために、特別養護老人ホーム3ヶ所と老人保健施設、療養型病床、デイサービスセンター、グループホームを訪問調査し、16余ではショートスティの部屋に1泊させてもらい、夜勤についても取材したり、介護スタッフの生の声を深夜の詰め所で聞かせてもらったりしました。

 その声を生かして、私が1117日におこなった津島雄二厚生大臣などへの質問の一部を報告します。介護保険に着いて30分間質問しました。

 質問は特別養護老人ホームについては3.ひとつ目は、入居者が入院した場合、6日間しか介護報酬が出ないことについてついてです。これが「特別養護老人ホームの経営を悪化させている」という現場の声をを受け、「入院中の入居者についても介護報酬を出すべきだ」と主張しました。しかし、答弁は、「入院する入居者の分を見越して高めに介護報酬を背でに設定してある」というものでした。私は納得できませんでした。

 2つ目は、「特別養護老人ホームの現場では、介護保険によってデスクワークが増え、入居者と話す時間が減ったり、常勤職員が減り、非常勤職員が増えている。厚生省は「介護保険はおおむね順調」と評価しているが、等区別養護老人ホームの介護職員の多くは介護保険でサービスが低下したと感じている。厚生省は実態を把握できていない。特別養護老人ホームの介護職員さんなどを対象に、介護保険導入によってサービスの質がどう変わったかについて調査すべきではないか」と質問した。そかし、前向きな答弁は返ってきませんでした。

 3つ目は、老人ホームの個室化二巻して、「もし津島大臣が特別養護老人ホームに将来、入居されるとしたら、個室化4人部屋かどちらが良いですか?」と質問しました。津島大臣は、「そんなのは当たり前のことで、答えるまでもない」と答弁。にもかかわらず、今後、「老人ホームの個室化」を推進するとの答弁はありませんでした。

 介護報酬のアップを!! 

 次に、「ケアマネジャーやデイサービス、グループホームの介護報酬を3年後と言わずに、来年度から引き上げるべきだ」と主張しました。ケアマネジャーは、忙し過ぎて今のままでは十分に機能しませんし、デイサービスも介護報酬が低く、職員が苦しんでいるからです。グループホームも同様です。しかし、「介護報酬は3年後まで変えない」との答弁。

 大まかな質問と答弁の趣旨を述べましたが、一言で言えば、ほとんど前向きな答弁はありませんでした。

 そのほか、老人保健施設間の「たらいまわし」の問題、身体拘束ゼロ作戦の徹底などについても質問しましたが、詳しくは、ホームページに議事録が出ているのでご覧下さい。

 さらに、納得できなかったのは、「グループホームには、夜間の介護を必要とする痴呆性高齢者が入居しているのだから、夜勤が必要ではないか?」と質問したところ、「夜勤は必要ない」、つまり、宿直で対応できる、という答弁だったことです。

 私は納得できず、私が開設しているグループホームのホームページやメールマガジン(登録して頂くと無料で毎週私からグループホームの最新情報がメールで届きます。ともにhttp://www.yamanoi.net/ からアクセス/登録できます)で、「グループホームは夜間、宿直で対応できるか?」と問題提起したところ、「絶対、夜勤で無いと無理」「昨日も宿直したが、一睡もできなかった」という現場職員からの声がメールで私のところに殺到しています。

 厚生委員会の定例日は、毎週水曜、金曜ですので、本来は、臨時国会でも介護保険の集中審議をせめて2,3日おこなうべきでした。強行採決については、どの党が悪いという議論はさておき、国会が混乱した結果、介護保険を議論する時間がなくなったというなんとも情けない実態です。私も今回たった30分という質問時間では、聞きたいことも聞けず、答弁にも納得できていません。

 介護保険が導入され、ケアマネジャーさんをはじめ、介護現場の方々が混乱の中を手探りで必死で働いておられることを思い起こすと、介護保険について国会がほとんど機能していないことを、私は悲しく思っています。

 議員になって半年を振り返ると、自己採点は40点くらい。これは私の努力不足もありますが、それ以上に、今回書いたように、そもそも介護保険についてほとんど議論する機会がなかったわけです。来年の通常国会では、きっちり介護保険について議論したいと思います。


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