朝日新聞社説 00/10/26付け


やまのいの質問が朝日新聞の社説に取り上げられました。
10月25日(水)衆議院厚生壁貫会で.山井が行った精神医療についての質問が、朝日新聞社説に載りました,

貧しい医療に決別を


「大臣、狭くてプライバシーも守れない日本の今の精神病棟で、暮らせますか」

民主党の山井和則議員は、見学した四ヶ所の精神病院の写真を示して尋ねた。

「大変な事だ。自分がその立場になったら精神的にも打撃を受けるだろろなあと思います」。

津島雄二厚相は、こう答えた。

 25日の衆院厚生委員会は、はからずも、日本の精神医療の問題点を政府自身が認める場どなった。
 
 厚相は、自身の精神病院訪問の経験から、こうも語っている。

「患者さんを良い状態で治療して、早く社会復帰させてあげたい。日本は他の先進国に比べ病床数がきわめて多く、しかも長く入院ずる。医療体制に構造的な問題があると感じております」


 日本でλ院期間渉異常に長いのは、手薄な人手と密接な関係がある。

先ごろ臼本を訪れたカナダとオランダの専門家は、厚生省公衆衛生院長への手紙で

「精神科の医師は患者11〜13人に一人、というのが国際的な常識であり、48人に一人という日本の基準を早急に改善すべきだ」と忠告したという。


 欧米諸国だけではない。アジアでも例えば台湾は欧米なみの基準だ。

 日本でも審議中の医療法改正案が成立すると、内科や外科などでは「看護職は入院患者三人に一人、病室面積は一人あたりの6.4平方m以上」となる。

医師は「患者16人に一人」で据え置きとはいえ、一歩前進だ。


 ところが、とりわけ温かな環境と手厚い人手が大事な精神医療について、厚生省は改善を進めようとしない。


 医師は他科の三分の一、看護職も薬剤師も他科より少なくて構わない、という差別構造の撤廃は先送りされそうな情勢である。


 日本医師会や日本精神病院協会が改善に強く反対し、自民党や厚生省に「圧力」をかけているからだ。


 同じ厚生委で、福島豊厚生政務次官が明らかにした医療監視結果によれば、入院患者48人に医師一人という低い基準さえ満たしていない精神病院が29%もある。


 そうした病院ほど経営者が高い収入を得ていると、この世界に通じた人はいう。そのあたりに改善を嫌がる理由があるようだ。


 厚生委の前夜、国会議員、医師、看護婦、入院体験を持つ人々が精神差別を考える会が東京でであった。


 主催団体の一つ、全国精神障害者団体連合会の代表である横式多美子さんは8回の入院体験を踏まえ訴えた。

 「入院して驚くのは看護婦さんの少なさ。ナースステ一ションでカルテをつけるのに追われ、患者と話す時間などないのです」

「ベットとベットのすき間は30cmくらい」

「保護室(隔離室)の多くは、窓に鉄格子、床はコンクり-卜、むき出しの便器のとなりで食事をとらなけれはなりません」

「病院の中はストレスがいっぱい」

「これは昔のことではなく、みんな今のことなのです」

 日本の医療の貧しさをを象徴する精神科差別を、政治は放置すべきでない。


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