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介護の際の男女の意識の差

 やまのいは、1991年から1993年までスウェーデンに留学して、高齢者福祉の研究をしていました。
 「スウェーデンでは税金が高いから福祉は充実している」とはよく言われます。しかし、スウェーデンでの高齢者福祉の充実の理由として、労働組合への女性の参加があげられると思います。
 労働組合といえば、日本では「男性一色」のイメージがあります。でも、スウェーデンでは労働組合といえば、男女両方が主体となる組合であり、生活者の代表でもあるのです。これに比べてほとんど、日本の労働組合が「生活者」の代表と国民から認知されていません。この最大の理由は、女性の参加が少なく、しかも労働組合自体が生活感覚に欠けているからだと思います。

 では、どうして日本の労働組合では女性の参画率が低いのでしょう?。その1つの理由は、「家事は女性の仕事」という考えが、いまだに強いからだと思います。ここで、老親の介護を例にして、どのように男性と女性とで意識が違うかを考えてみましょう。このような男と女の意識のズレは、女性の社会参加をも妨げていると思います。

〜男と女のズレ〜
boy  やまのいはいろんな勉強会で話をさせてもらう機会がありますが、女性の集会で聞く声と男性の集会で聞く声が、全く正反対であるということがよくあります。
 女性の会に参加すると、「介護は家族だけの力では無理。なんとか福祉サービスを充実させてほしい」という切実な声をよく聞きます。会場からは「寝たきりや痴呆になった親の世話で苦労した」などなど、介護者としての女性の発言がいくつも飛び出してきます。こういった、「家族だけで老いを支えるのはむずかしい」という共通認識が女性の会にはあります。

 ところが、男性の会では事情が全く違ってきてしまいます。

 例えば、ある労働組合の勉強会の時、32人の出席者全員が「介護は家族でできる」と言っていました。出席したメンバーは、30代、40代の男性。そこで、「もし自分が将来寝たきりになったらどうする?」と1人の男性に尋ねてみました。すると、「妻に面倒みてもらう」との答え。「自分が亡くなった後、残された妻は誰に面倒をみてもらうのか?」との問いには、「嫁」との答えが返ってきました。

 このときは、企業の労働組合だったせいか、共働きは32人中3人だけでした。その3人に「ご両親の面倒を奥さんに任せるのなら、奥さんの仕事はどうなるのですか?」と聞くと、「もちろん辞めさせます」とのこと。彼らの1人は「うちは妻の教育は行き届いてますから」と胸を張って答えていました。
 話をさらに聞くと、その男性は東京に住み、両親は福岡で暮らしているとのことだ。「ということは、もしもの時には奥さんがお子さんを置いて、単身赴任されるのですか?」と聞くと、「まあそうですね」との答え。「ところで、そういう話を奥さんは了解されているのですか?」というと、「そんな話は夫婦の間でしたことがない」という返事でした。

 現状では日本の場合、女性の肩に老人の介護の多くがかかっているというのがほとんどです。だから主婦の方などは、老後や福祉サービスのことについて、危機感をもって勉強しはじめています。ところが男性の方はというと、仕事のことで頭がいっぱいなせいか、老人介護の問題は家族で、それも妻や嫁のがんばりで解決できると楽観視していることが多いのです。
 モ−レツサラリ−マンほど「老後は家族で」といいます。女性が仕事を続けることは、はたして親不孝なのでしょうか?。このような日本的な世間体を変えていくことが、福祉においても今後は大切になるのだと思います。
〜学生の場合〜
 親の介護を、大学生はどう考えているのでしょう?。ある大学でやまのいが高齢者介護の問題について連続講義したときに、大学生100人(18歳から22歳)にアンケートをとらせてもらいました。いじわるな質問もちょっとありますが、いくつかの声をご紹介しましょう。


 「親が痴呆や寝たきりになったら家で介護しますか、それとも施設や病院に預けますか?。もし、家で看るとすれば誰が看ますか?」


学生の答え
 「家。親としても自分の家のほうが気楽だと思うから。家で看る場合は僕が看ます。やはり、長男ということで、親の面倒をみる義務があると思いますから」(長男、20歳)

(女子学生に対して)
 「結婚の時、彼が『俺の親の介護をしてくれ』と言ったら、結婚しますか?、やめますか?」


 「やめます。『介護する』という条件がつくなら、もし『いつか看てくれ』と言われても、絶対にイヤ。女がやるのは当たり前という考え方が許せません。介護するってことは、体力的、精神的、金銭的にとても大変なこと。安易に頼むってことが許せません。そういうプロポーズするのって、信じられないです。『介護』ってどういうことか、どれだけ大変か、わかっていないんじゃないですかねぇ?」(長女、21歳)

 「やめます。別に彼の親を看る必要はないと思うから。そんなことで束縛されるのはイヤ。彼の親と結婚するわけではないし、彼の親をみたからって、お金にならないし。いわゆる『無償労働』をするわけだから納得できないです。公的サービスが不十分だからといって、そういった家族とか(とくに女性)の『無償労働』を期待していると、ますます公的サービスがよくならないと思います」(長女、19歳)

 「やめます。介護で自分の人生を無駄にしたくない」(長女、21歳)

 「結婚します。別に苦だとは思わない。自分が役立つのなら、できるだけこのことはやってあげたい。それでうまく行かなかったら、その時に考え直してみます」(長女、21歳)

 「おそらくやめます。私はひとりっ子なので(親は『面倒みなくていい』と私に言っているが)、親の面倒を私がみなければならないと思います。相手が長男だったりすると、このあたりがネックになって結婚が難しいかもしれない」(長女、18歳)

 この質問の結果は女子学生19人中、「結婚する」が8人(42%)、「やめる」が11人(58%)でした。

(男子学生に対しての問い)
 「結婚前に彼女が、『仕事を続けるから、あるいは、自分の親を面倒みるから、あなたの親の介護はできない。』と言ったら、結婚しますか?、やめますか?」


 「結婚する。結婚というものは、そういうもので決めるものではないと思います」(長男、姉あり、21歳)

 「結婚する。親の介護の問題で結婚をやめるのはあまりにもナンセンスだし、彼女の人生の一部をおそらく、したくもない自分の親の介護に費やすということは、彼女を苦しめることに他ならないと思います。おそらく、親もそのことは理解してくれると思うし、たとえ理解してくれなくても、自分が折れるわけにはいかない」(長男、18歳)

 男子学生は78人中61人(81%)が「結婚する」、14人(19%)が「結婚をやめる」でした。

 このような若者の本音を、皆さんはどう思われるでしょうか?。「近頃の若者は親不孝」と思われるかもしれません。しかし、子どもが減り、一方では寿命は伸び、介護の期間は長期化しています。このように変化していくこれからは、「子が親の面倒をみるのは当たり前」という考えでは、やっていけないように思うのです。

 このコーナに関してのご感想、ご意見、ご要望などがありましたら
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