やまのい和則のホームページ 福祉


介護保険でこう変わる〜親の介護は安心か〜
第4回 これこそ”目玉サービス”

 A夫さん(88歳)は、妻(81歳)と2人暮らし。A夫さんは3ヶ月前に脳卒中で倒れてしまいました。早朝から夜間に及ぶ1日8回のおむつ交換などで、今度は奥さんが寝込んでしまいました。
 別居中の息子さん(51歳)も同じ大阪に住んでいましたが、この共倒れの危機に、1度に親2人と同居することもできず、困ってしまいました。実際、お年寄りの場合、引っ越しによる環境の変化が原因で、痴呆症が悪化することも多く「呼び寄せ同居」も考えものなのです。

 こんな場合、介護保険が導入されるとどうなるのでしょうか。
 これまで述べてきたように、まず息子さんが市町村の窓口に申請することから始まります。すると、調査員がA夫さん夫妻の家を訪問して、福祉・専門家の集まった「介護保険認定審査会」での議論を経て、介護の必要度を判定します。

 A夫さんの場合は、6段階あるうちの6番目(一番重い)。つまり「虚弱な配偶者と2人暮らしで、夜間もサービスが必要なケース」と判定され、月29万円程度までのサービスが受けられることになりました。
 ここで、在宅サービスを利用するか、老人ホームなどの施設サービスを利用するかを選択できますが、奥さんは痛む腰をさすりながらも「できれば家で夫を介護したい」といいます。

目玉サービス「24時間ホームヘルプ」

 最高である6段階目での在宅サービスとしては、次のようなサービスが受けられます。週3回は日中、リハビリを受けたり入浴できるデイサービス、月に1週間は老人ホームで預かってもらうショートステイを利用。さらにデイサービスがない日には、週に合計11時間20分、ホームヘルパーさんが訪れ、介護を手伝ってくれます。
 このホームヘルプは1日1回でなく、1日数回来てくれます。早朝や夜間はおむつ交換のために20分単位で通ってくれます。このようなホームヘルプは巡回型ホームヘルプと呼ばれ、これこそが介護保険の目玉サービスといえます。
 すでにこのようなサービスがスタートしている枚方市(大阪府)や宇治市(京都府)では「介護による共倒れが防げた」「入院せずに在宅で暮らし続けることができた」「寝たきりが予防できた」などという効果が上がっています。私が働く城陽市でも、来年度から24時間365日対応の巡回型ホームヘルプをスタートすべく、準備が進んでいます。

 しかし、ここで大きな問題があります。
 市町村による福祉の格差の存在です。A夫さん夫妻が枚方市、宇治市、城陽市のような、24時間365日対応の巡回型ホームヘルプが整備された自治体に住んでいれば、問題はありません。ですが、そうでなかったら同じ保険料を払っても、A夫さん夫妻は充分なサービスを受けることができず、共倒れになるか、老人ホームか病院に入らざるを得なくなります。こうなれば「老後の沙汰も金次第」ではなく、「老後の沙汰は住んでいる自治体次第」となってしまいます。
 介護保険の2000年からの導入を控えて、我々も自分の住んでいる町の福祉サービスの充実度合をしっかりチェックしてみる必要があるでしょう。
 このコーナに関してのご感想、ご意見、ご要望などがありましたら
やまのい和則事務所までお願いいたします。

●「介護保険」のメニューに戻る
●福祉に戻る

ホーム