やまのい和則のホームページ 福祉


介護保険でこう変わる〜親の介護は安心か〜
第2回 どんなサービスが受けられるのか

 A子さんは82歳。脳こうそくで倒れてから10年間、寝たり起きたりの生活が続いています。嫁のB子さん(56歳)が、ほとんど1人で介護を受け持ってきました。長い間のご苦労には、本当に頭が下がる思いです。

 こんな場合、介護保険が導入されると、どんなサービスが受けられるのでしょう?。
 まず、B子さんが市町村の窓口に介護を求める申請を行います。すると、福祉の専門家である調査員がB子さん宅を訪問。72にわたる調査項目をチェックし、マークシート方式で書類に記入されます。「自力でトイレに行けるか」「自力で食事をできるか」「自分の名前を答えられるか」などです。
 この調査結果をコンピューターで分析し、1次判定がされます。この判定と、掛かり付けの医師が作成した診断書をもとに、福祉と医療の専門家で構成された「介護認定審査会」が議論をし、最終的に6段階に分けた判定がされます。
 このA子さんの場合は「食事、排泄、着替えのいずれも一部介助が必要」とみなされるので、支給限度額が月額27万円と判定されたとしましょう。介護保険ではこのように必要なサービスが、金額に換算して判定されるしくみになっています。さらに利用者の負担は1割なので、A子さんの場合は27000円の利用料となります。

 では、月額27万円でどのようなサービスが受けられるのでしょうか?。
 27万円なら、例えば毎日1回のホームヘルプ(週7回)を中心に、デイサービスを週3回、ショートステイを2ヶ月に1回という組み合わせが想定されます。ホームヘルプとはホームヘルパーが家庭を訪問し、家事や介護を手伝うサービス。デイサービスとは最寄りのデイサービスセンターなどで、お年寄りが半日、入浴やリハビリ、レクリエーションなどを楽しむサービスことをいいます。車による送迎付きです。さらに、ショートステイは別名短期入所と呼ばれ、お年寄りを1週間程度老人ホームで預かるサービスのことです。
 このような介護プランの作成は、申請がなされてから30日以内となっています。

 ただ、一見充実した制度に見えますが、問題点もあるのです。3つ指摘しましょう。
 まず、調査員の1回、1時間だけの訪問で本当に正確な判定ができるのかということです。痴呆(ちほう)症のお年寄りの場合など「まだらぼけ」という言葉があるくらいで、日によって症状が著しく異なることもあります。たまたま体調がよいときに調査員が訪問したなら、介護ニーズは実際より低く判定されてしまいます。
 次に、A子さんのように、月額27万円程度のサービスが必要と判定されても、肝心の自治体にホームヘルパーやデイサービスセンターが不足していれば、判定通りのサービスは受けたくても受けられません。
 第3に、隣接していても、福祉が進んだ自治体もあれば、遅れた自治体もあります。となれば、1人あたり同じ2500円程度の保険料を毎月払っても、似たような症状のお年寄りが、住んでいる地域がわずかに違うだけで、受けられるサービスがずいぶん異なるという事態も起こりうるのです。

 介護保険の導入は2000年からの予定。「保険あって、サービスなし」とならないよう、自分の住んでいる町の福祉の充実度を、私たちも厳しくチェックする必要があるでしょう。
 このコーナに関してのご感想、ご意見、ご要望などがありましたら
やまのい和則事務所までお願いいたします。

●「介護保険」のメニューに戻る
●福祉に戻る

ホーム