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介護保険でこう変わる〜親の介護は安心か〜
第1回 医療保険の介護版

 先日、高校時代の親友から電話がありました。「大阪に住む一人暮しのお母さんが痴呆(ちほう)になり、困っている」とのこと。もともと看護婦さんであった彼のお母さんは、2年前に退職してから急にぼけ出したといいます。
 「自分は既に家庭をもって、金沢で働いている。金沢で引き取って同居しようか?」という相談でした。特に、彼の奥さんは2人の子育ての真っ最中で、姑を引き取ることには否定的だという話です。
 このように、年老いて弱った親を引き取ることを「呼び寄せ」といいます。しかし、急に環境が変わることにより、痴呆が悪化するケースも多いのです。とりあえず、彼は福祉事務所に電話し、週2回、ホームヘルパーさんに家事の手伝いに来てもらうことになったそうです。

 さて、2000年に介護保険が導入されたとすると、このような場合は、今とどう変わってくると思いますか?。
 介護保険の導入で40才以上の全員が強制的に月2500円(平均)の介護保険料を徴収されます。この保険料は所得や住んでいる自治体によって多少変わってきます。親友の場合、夫婦だと2人分だから月5000円(平均)。ただし、会社員の場合は、事業主が半額を負担し、残りの半額が医療保険のように給料から天引きされます。しかし、退職後は全額を支払う(年金から天引き)ことになります。
 保険料を払った見返りとして介護保険証を受け取り、介護サービスを受けられるのは原則として65歳以上。「40才から64才までは保険料をとられるだけか?」との批判はありますが、40才から64才までは、若年性痴呆など老化に伴う病気が原因で介護が必要になった場合だけ、サービスが受けられます。だから、交通事故で車椅子生活になった場合には、老化ではないので、40才で介護保険料を支払っても介護保険によるサービスは受けられないことになります。

 話が戻りますが、先ほどの親友のお母さんのケースでは、介護保険の仕組みに沿って、彼は市町村の「介護認定審査会」に申請することになります。すると、調査員がお母さんの家を訪問し、インタビューして状態を調べ、1ヶ月後をめどに、体の状態に合った介護プランを立て、サービスが提供されます。例えば、月水金曜にホームヘルパーを2時間ずつ派遣するというように。

 分かりやすくいえば、介護保険は医療保険の介護版。医師が病気に対して処方せんを書いて治療するように、介護保険では介護や医療の専門家が介護プランという処方せんを作り、それに沿ってサービスが提供されるというものなのです。
 具体的な申請の手続きや介護プランについては、次回に詳しく説明します。

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