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   やまのい和則の
     「軽老の国」から「敬老の国」へ

     - Yamanoi Kazunori Mail Magazine -

            第97号(2001/01/31 No.2)

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メールマガジンの読者の皆さん、こんにちは。
いま、京都に戻る新幹線の中。

 通常国会が150日の会期で、今日1月31日に開会しました。

このメールマガジンで、これからの5ヶ月間、どのような活動が
報告できるか楽しみです。
皆さんにお役に立てる情報を提供し、このメールマガジンを通じて、
政治と福祉を良くして行きたいと思います。

☆      ☆      ☆      ☆      ☆

------通常国会 初日------
 さて、今日(31日)1日の報告です。
朝8時から第一回の民主党の厚生労働部会。
(厚生部会と労働部会が合体して初めての会議)。

しかし、この会議、大所帯になって大変だ。
議員だけでも30人、スタッフを入れると50人。

これでは、政策の詰めた議論などできない。

民主党、参議院選挙の政策の、厚生労働関係部分について、少し
議論したが、大所帯過ぎて議論にならない。
あちこちから、
「私は昨年まで厚生部会だったので、労働問題なんかわからない」
「私は労働部会だったので厚生問題はわからない」
という声が聞かれる。

       ☆      ☆      ☆

 省庁再編が、国会での福祉の議論にどのような影響を及ぼすのか。

1つには、このように個々の議員がカバーする分野が二倍に増える
ので、ますます専門性が薄れ、官僚任せになる危険性があると感じ
た。

       ☆      ☆      ☆

 私は、新たに「ホームレス問題のワーキングチーム」の事務局長
になった。
これで、私の役職は
「介護保険をより良くするワーキングチーム」と
「朝倉病院問題調査チーム」の事務局長に加えて3つになった。

2月に大阪のホームレスの現場を、鍵田衆議院議員と視察に行くこ
とになった。

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 そのあと、厚生労働省とのヒヤリング。
国会質問の準備である。
やっと、本格的な国会活動が始まった。

いつ私が委員会で質問できるかはわからないが、気合を入れて準備
にかからねば。

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------議員と一般市民------
ある問題について、
「資料を出せない」という役人さんと、
「どうして出せないのか?」などと、激しい議論になる。

同席した水島広子議員が、会議のあとポツリと言った。
「必要な資料が欲しいと言っても、『出せない』と役所は言う。

でも、国会議員が言っても、資料が出てこないんだったら、結局、
私たちも、一般の市民と同じね。

国会で議論するために、いろんな資料を、役所から開示してもらう
ために、私たちは、国会議員になったんじゃなかったっけ」と。

確かに、その通り。

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------総務委員会------
 その後、NHKの方々から予算の説明を20分受ける。
今年から私は、総務委員会にも入ったので、旧郵政省管轄のNHK
の予算も担当になってくる。
NHKの予算や事業報告の話を聞いた後、
「福祉の番組に力を入れて下さい」と要望させてもらった。

厚生労働委員会に加えて、総務委員会にも入ったので、どれだけ
仕事が増えるのか。

 12時から今年初の衆議院本会議。10分で終了。

その後、国会前で座り込みをしておられる、連合の方々の励ましに
行く。

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------所信表明------
2時から改めて本会議。

 森首相の所信表明演説が30分。
19ページの演説原稿の中に、福祉という言葉と、介護という言葉
が1回ずつしか出てこない。
「福祉」は保育に関する記述のなかに1回、登場。
「介護」という言葉は、「介護休業法」という記述で1回だけ。
あとは、社会保障という言葉は出てきた。
確定拠出年金法案については、少し触れてあった。

       ☆      ☆      ☆

 このように所信表明演説では、福祉や介護はほとんど触れられて
いない。つまり、いまの日本の大きな課題として介護や福祉は、
認識されていないのだ。
「今の不安なすさんだ社会をどうするのか?」という危機感が感じ
られなかった。

 そのあと、河野外務大臣の演説、麻生太郎経済財政政策担当大臣
や宮澤財務大臣の演説を3時半まで聞いた。

       ☆      ☆      ☆

------国会で何を議論する?------
 つくづく感じる。

国会では、KSD疑惑や機密費の問題が焦点となっていることもあ
って、福祉や介護などという問題は、ほとんど相手にされていない。

厚生労働委員会でも、KSD問題が大きな争点になる。
実際、民主党でも多くの議員が、KSD問題や機密費の疑惑追及の
ために必死になっている。

KSD問題や機密費の疑惑追及も、必要なことだが、その反面、
個々の政策は、どうしても後回しにならざるを得ない。

       ☆      ☆      ☆

------地方分権------
 ふと感じる。

そもそも「福祉の議論」を国会に求めるのが無理なのだろうか。

国会とは、もっと「大きな」問題を議論するところなのだろうか。
本当はそうかもしれない。

理想としては、個々の地域の福祉の問題は、本来、もっと地方自治
体で議論すべきなのだ。スウェーデンなどでもそうだ。

しかし、日本では、地方自治体では、議論できない。

このように日本の国会は、慌しくて福祉の議論など十分にできない
にもかかわらず、日本の福祉行政は徹底した中央集権であるのだ。

自主財源の乏しい日本の地方自治体は、独自の福祉施策ができない。

       ☆      ☆      ☆

------福祉の充実は------
私の意見は、国会が福祉の議論を十分しないのなら、思い切って
福祉の財源と権限を、地方自治体にもっと分権すべきだ、というこ
とだ。

そうしないと、結局、日本の福祉は進まない。

 介護保険でもそうだ。
国会できっちり議論できないにもかかわらず、介護保険のほとんど
のことは厚生省が決めており、地方自治体が独自の判断でできる
部分は非常に少ない。

       ☆      ☆      ☆

 本会議のあと、自動車の販売会社の方々の話を聞く。
不況の中での厳しい販売競争。
その中で、心身ともに疲れる販売員の方が増えている。

       ☆      ☆      ☆

------不安と不況の悪循環------
 今日の森首相の演説で、
「日本の目指す方向は、市場メカニズムに任せ、自己責任を明確に
する方向だ」というようなくだりがあった。

しかし、私はそうではないと思う。

昨日、紹介した、神野先生の著書「希望の島への改革」(NHKブッ
クス)にもあったように、

これ以上、競争を激しくしてどうするのか。

逆に、行き過ぎた競争が不安をあおり、不況を長引かせている。

セーフティネット(福祉)を整備し、
「失敗しても、あるいは、競争に敗れても、これくらいの生活は
保障しますよ」という安心感こそが、政治に求められているのでは
ないか。

こう書くと、
「そんな甘いことを言うと、国際競争に生き残れない」
という批判があるかもしれない。

しかし、安定した福祉がないからこそ、不安が広がり、貯蓄が増え、
消費が鈍り、景気は悪化するという悪循環になっているのだ。

不安と不況の悪循環だ。

「社会の安心感を高めることが、消費を拡大し、景気を回復させる」
「行き過ぎた競争にブレーキをかける」ことが、
いまの政治に求められるのではないか。

       ☆      ☆      ☆

 そして、このような「安心できる福祉」のためにならば、私たち
は、もう少し多くの税金を払ってよい、という気分になるのではな
いだろうか。

-------東京往復------
 以上、多くのことを考えさせられた通常国会の初日でした。
長いメールマガジンですみませんでした。

今から京都に帰り、明日朝、会合に出て、午後また東京で会合。
日帰りです。また、こういう生活が始まりました。
           やまのい和則 拝

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